昆虫やダニ類を使った研究の相談に応じます。また、高校生からの質問も歓迎しています。
ハダニは被子植物が誕生する白亜紀(約1億年前)以降に多様化したと想像できます。現在、ハダニの行動や生活史は種によって様々であることが数々の研究からわかっており、進化生物学の観点からロマンあふれる研究対象です。我々のグループでは、これまでほとんど生態の知られていない常緑広葉樹に寄生する種の生活史や行動の進化を重点的に研究しています。ハダニのライフスタイルは多様で飽きることはありません。一緒に研究して生態の秘密を解明してみませんか。
(1) ハダニの季節適応
ハダニでは増殖率を最大化するような進化が起こったと普通は考えられています。しかし、不規則な撹乱のある環境では増殖率を最大にするのが最適な戦略とは限らず、休眠や分散の能力も個体群の持続性に重要です。
休眠の生理的なメカニズムについては多くの研究報告がありますが、それらの生態学的な意味については十分に明らかになっていません。近年の我々の研究で、常緑樹林のような比較的安定な環境に住む種では、草本のような撹乱環境に生息する種とは休眠性が異なることがわかってきました。休眠パターンの進化に寄主植物の時間的・空間的な安定性がどう関係してきたのか、その選択圧を解明することを目標としています。
(2) 造巣性ハダニの生活史戦略と防衛行動
ハダニは捕食者と一緒に葉面で暮らしているので、それらに対抗する手段を進化させています。常緑樹に寄生するハダニは、防御物質が多い葉を食べるように特殊化した種であり、増殖率は低い傾向にあります。ページ上部の写真と右図はアラカシに寄生するカシノキマタハダニという種で、本種のメスは一生にせいぜい20~30卵しか生まず、ハダニ科では最少の部類です。この低い増殖率を埋め合わせるよう、本種は捕食者に対する対抗適応を発達させているはずです。
本種は濃い巣網を張りますが、これは捕食回避にどう役立っているのでしょうか。また、捕食者がこの防衛を打破しているとすれば、それは一体どのような戦略なのでしょうか。興味深い題材だと思います。
(3) 寄主植物への適応
準備中