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こんにちは。高知大学・昆虫生態学研究室の伊藤です。私はハダニを主な材料として植食者の生活史や行動の進化を研究しています。ハダニは農業害虫として有名ですが、私は生態系の構成員と捉えて研究を行っています。
Contact: Prof. Katsura Ito (Ph. D), Kochi University. e-mai: ktr@kochi-u.ac.jp
が、朝倉書店から出版されました(2024)。ハダニ研究の最前線の成果をぜひごらんください。教科書ではありますが、イラストもふんだんに使っており、読んでいて楽しくなるような本になるように心がけました。
出版情報
Nagata K, Negoro Y, Ito K* (2025) Overwintering at multiple life stages in Schizotetranychus shii (Acari: Tetranychidae), a specialist of evergreen chinquapin. Exp Appl Acarol 94, 10 (2025). https://doi.org/10.1007/s10493-024-00978-5
これまで非休眠と考えられてきたシイノキマタハダニについて、日が短くなるとメスが産卵を止めることを発見しました。これは明らかに休眠と考えられます。しかし、冬季には葉の上で全ての発育段階が見られます。この論文ではその謎を解明しました。
Ito, K.*, Takatsuki, K. (2023) Hybridisation between host races broadens the host range of offspring in Eotetranychus asiaticus (Acari: Tetranychidae). Experimental and Applied Acarology 84: 389-405. Link Full text
ハダニのカウンターアタック(2022)Link
巣を作る習性を持つカシノキマタハダニは侵入してきた捕食性アザミウマに対して口針を突き刺して追い出すことがわかりました。本種は捕食性のタマバエも攻撃する習性を持っており、捕食ー被食関係が逆転している興味深い種であることがわかってきました。
ハダニのホストレース (2023) Link
ハダニのホストレース(寄主系統)は限られた植物しか利用できませんが、異なるホストレースの間で交雑が起こると、その子孫は両方のホストを利用できることを示しました。この結果はハダニの寄主範囲が交雑によって進化したことを物語るものです。
ナナフシの鳥による分散 (2023) link
エダナナフシやナナフシモドキは無翅昆虫ですが、遺伝分析をすると遠隔地に同じ遺伝子配列(ハプロタイプ)が見られることが長年の謎でした。以前の共同研究により、これらのナナフシ類は卵が鳥の消化管を通じて遠隔地に運ばれるとことが示唆されていたのですが、この研究では遺伝子分析を行うことでその予想を力強く裏付けました。昆虫が鳥により運ばれることは驚きをもって受け止められ、SNSでも一般の方、研究者の間で話題となりました。
ナナフシの遺伝的変異 (2021) Link
エダナナフシには有性生殖集団と無性生殖集団があります。マイクロサテライトマーカーを使ってそれらの間の遺伝的変異を比較したところ、無性集団には変異がきわめて少ないことがわかりました。