プロではありません。(参考までに、プロの「パストラーレ合奏団」は名古屋にあるようです。)
部活、サークルではありません。また、それらのOB、OGが作った合奏団でもありません。
ヴァイオリンの誰かがケースから楽器を出して、チューニングをしようとします。それを見たヴィオラのおじさんが、あわててAの開放弦を弾きます。なんとなくそれでチューニングが始まります。どうして?どうやらヴィオラのおじさんは前の日に練習していて、それにA線がスチール弦なんだそうです。いやいや、最初に音を出さないと、ほかの人の音に合わせられないみたいです。最近は1世代下の若い団員も加わり、彼女が取り出したチューニングメーターなるものを珍しそうに使う光景も見られるようになりました。果たしてチューニングメーターを正しく使えているか、怪しいものですが。
とりあえずチューニングが終わり練習開始です。
ウチは指揮者がいません。
たいていはコンサートマスターが仕切ります。当団はコンサートミストレスですね。そこでコンミスと略します。ミスコンではありません。
一応1曲通してみます。期待通り、人数分の音程が聞こえますね。ときどき、「おっ」という声が聞こえたり、微妙にずれたタイミングで足を踏む音が聞こえたりします。
皆が一斉に最後までたどり着くかが問題。たいていは、誰かの音が余ったり、楽譜を一段抜かして早く弾き終わって、周りをきょろきょろ見回す人がいます。ちゃんと過不足なくたどり着いた人も、なにやら首や肩のストレッチをしています。手が上がらないとぼやく人もいます。たまに全員が同じ小節数を弾いて同時に終わったりすると、自分たちにもできるんだという達成感に満たされたりします。シャープやフラットが4つ以上の曲を取り上げようとすると、婦人会から反対運動がおきます。そうそう、ウチの団には、パストラ婦人会があるのです。国で言えば国会に相当。いやいや三権分立ではなく、全権を掌握している集団です。
指揮者がいない分、とても民主的というか、単に統制がとれていないのだけど……
セカンドヴァイオリンの人から「そこ、ヴィオラ遅れる」と指摘されるかと思うと、今度はコンミスが「セカンドの音程もうすこし何とかしてぇ」、コンバスからは「みんな笑顔で弾きましょう」と声がかかり、コンミスは後ろの一世代下の娘さんから「このフレーズの弾き方がちょっと違う」とつっこまれたり……ではもう一回この曲をはじめから通しましょう、というときに、「あれ?本番っていつになったんだっけ」とのつぶやきに、しばしミーティングに変わったり……
とまあ、こんな感じで、ほそぼそと活動を続けています。