研究会の沿革

北海道大学農学部附属演習林(当時)の研究者が中心になり、さらに数人の研究者、行政担当者、住民運動家らが集まって、1997(平成9)年度に「道北の地域振興を考える研究会」(以下、研究会)を結成しました。"道北地域"とは北海道の北部地域を指します。

  このころ、国道40号音威子府バイパスの中川地方演習林(現在は中川研究林)通過問題が解決に向けて大きく前進したため、 研究会は将来の音威子府バイパス建設と音威子府村・中川町の地域発展との関連を強く意識する状況のなかで、活動を開始することになりました。 しかし研究会はその点に止まらず、両自治体を含む道北地域全域について、社会、経済、文化など過疎地域の諸問題を広く研究し、 地域の将来方向を考えていこうとする目的も有することとしました。

住民参加の講演会は基本的に1年に1回、実施してきました。講演会はいずれも名寄市立大学(2005年度までは市立名寄短期大学)を会場に、 主催・当研究会、共催・名寄市立大学道北地域研究所、後援・上川北部地区広域市町村圏振興協議会により実施しています。 参加人数は毎回およそ100人です。講演者には各地、各領域の有識者を招く場合が多く、講演のテーマは北海道開発の歴史、北海道開発計画、 地域振興政策、市町村合併、自治体財政、保健・医療・福祉、産業クラスター、農業、森林・林業、木材加工・木質利用、教育の現状、 地域づくりの特徴、大学の役割、外国の農林業など、多岐にわたっています。 

研究会メンバーによる勉強会・セミナーも随時行なっています。講演会やセミナーの内容は、研究会誌『北海道北部の地域振興』に掲載されており、現在ナンバーXIIまで発行されています。

また、 研究会が2006年度で10周年に達したことを記念して単行本を上梓することとし、 研究会会員を中心に20人あまりの著者を得て、上記のとおり2008年5月に『北海道北部の地域社会―分析と提言―』(神沼公三郎・奥田仁・佐藤信・前田憲 編著、355ページ、筑波書房)を発刊しました。研究会活動の10年あまりを集約し、また研究会活動では足りなかったテーマをいくつかの書き下ろし論文で補って、 道北地域の現状分析を行い、さらに21世紀のあるべき姿を政策提起しています。