このページは個人的に面白いと思った(主に物質合成手法に関する)論文を、自分のための備忘録として作成しています。
Mo2Ta2O11をMo(CO)6共存下で加安分解することでMoO4二重層にトポケミカルにMoイオンが挿入されることでMoO6単層に再配列し、Mo4.33+カゴメ格子をもつ新しい酸窒化物Mo3Ta2O10Nを創成してJACS。
Cs0.5RhO2をぬるま湯で煮込むことでCsイオンをトポケミカルに引き抜いて準安定層状vdW三角格子1T-RhO2を合成して、約1.0 eVの絶縁体で2 Kまで磁気秩序・スピングラス不在、ラマンで分数化マヨラナ励起の兆候を示すQSL候補であることを報告。
K2Se2を出発原料として、Se2ダイマーを保った化合物KxNbSe2を合成し、ソフト化学的な脱カリウム処理を施すことで、Nb原子と[Se2]ダイマーが一次元鎖をなすTC = 9.5 Kの超伝導体である新多形Nb[Se2]を合成してJACS。
金属間化合物LaScSiと水を反応させることでトポケミカルに酸水素化物LaScSiOxHyを合成してJACS。
高濃度高温水蒸気合成によって、新しいミスフィット層状酸水酸化物 [Ba2Ox(OH)y]0.55InO2の合成に成功している。新物質がいろいろ見つかりそう。
高圧でTaS2とMgH2を反応させることでマグネシウムと水素を同時にTaS2へ挿入することで、TaS2へのマグネシウムインターカレーションに成功している。
遷移金属ダイカルコゲナイドWS2にアニオンである硫黄をインターカレーションしている。
メカノケミカル反応を用いてAg2+イオン(S = 1/2)を含むフッ化物ペロブスカイト/層状ペロブスカイトを合成している。
KV6Sb6からカリウムイオンを引き抜いて(ほぼ)ファンデルワールス結晶カゴメ金属を実現。
Cs2Ni3S4を塩酸と反応させてCsを半分引き抜いたCsNi3S4でフラットバンド+カゴメ強磁性を実現している。
Sr2MnO2Se2に対して、ナトリウムナフタレニドを用いてSeダイマーを切断しつつNa+をインターカレーションしている。
金属間化合物Na0.25AlGaを使って水素化物を使わずにペロブスカイト酸化物LaNiO3をLaNiO2に還元することに成功してChem. Mater.。新物質がいろいろ探せそう。
MgPS3とCoCl2のトポケミカル反応でCoPS3を合成してChem. Mater.。トポケミカル反応はアルカリ金属ベースなことがほとんどだが、マグネシウム化合物スタートでもよいのはいい情報。
硝酸二アンモニウムセリウム(III)四水和物を用いてスピネルLiRh2O4のリチウムを引き抜いてAサイト欠損スピネルλ-RhO2を合成している。
単なるイオン挿入脱離だけではなくアニオンレドックス反応に伴う化学結合の再構築に注目した新しいトポケミカル反応を開発している。
超高圧下(25万気圧)で、グアニジニウムイオン(CN3)5-という新しいポリアニオンを作り出している。
α-RuCl3の単結晶をヨウ化アンモニウム水溶液に浸して置くことでアンモニウムイオンと水を層間にインターカレーションさせ、(NH4)0.5RuCl3·1.5H2Oを合成している。
SnFClを使って、ペロブスカイト中のPbイオンをSnイオンにトポケミカル交換する画期的な反応。
K0.5WS2を酸に浸すことで単斜晶構造の準安定WS2を合成している。しかも8 Kの超伝導体。
SrO, SrH2, V2O3を原料に高圧合成するとペロブスカイトSrVO3-xHxが合成され、Srを増やすとルドルスデンポッパー(RP)相Sr3V2O7-xHxやSr2VO4-xHxが合成されるものの単相が得られずSrVO3-xHxやV2O3がどうしてものこってしまうところに、塩化物SrCl2を加えるとRP相の単相ができ、その場XRDによってこの単一相が反応中間体Sr4OCl6を経由して安定化することを明らかにした論文。
アモルファス相を急速加熱することで(液相から見た)過冷却状態を作り出し、最終的に準安定相を得る合成法。
金属間化合物LaFeSiとテフロンPTFEを反応させることで、層間にフッ素イオンをインターカレーションさせることに成功している。
Li2FeSbO5をテトラフルオロほう酸ニトロニウムと反応させることでリチウムを半分だけ引き抜き、Fe三価/Fe五価の電荷不均化状態を有するLiFeSbO5を合成している。
イリジウム酸化物の単結晶をプラチナ坩堝を用いて作成するとIrサイトにPtがドープされますよ論文。
硫黄の脱離挿入で新しい準安定層状オキシカルコゲナイドを合成している。
スピン軌道の強いイリジウムやルテニウムの酸化物を磁場中で合成すると物性が変わることを報告した論文。
層状アルカリ金属チタン酸化合物とアルカリ金属ヨウ化物を乳鉢で混合するだけでアルカリイオン交換反応が促進されることを報告した論文。
CaH2を使って層状ZrNClからCl-を引き抜いて、超伝導ファンデルワールス物質ZrNを合成している。
トリフェニルホスフィンをフラックスとして用いることで鉄とセレンを低温(325°C)で直接反応させ、超伝導体FeSeを合成したことを報告した論文。
MoAlBを水酸化ナトリウム水溶液につけておくと、Alが一部引き抜かれて、そこからさらに600度でアニールすることでAlがちょうど半分抜けて結晶化した準安定な新物質Mo2AlB2を合成している。
固相メタセシスにおける反応経路が副生成物のアルカリ金属化合物の種類に依存することを示した画期的な論文。この方法で、高温高圧が必要なマンガンパイロクロアの常圧低温合成を実現している。
インターグロース・メタセシス反応を、鉄ヒ素系超伝導体でもやってのけた論文。SmFClとLiFeAsからSmFFeAsを合成している。
擬一次元超伝導体K2Cr3As3を金属ナトリウムとナフタレンを溶解させたテトラヒドロフラン中で反応させることでカリウムイオンをナトリウムイオンに交換し、新しい超伝導体Na2Cr3As3を合成している。
"液相輸送法"を用いた単結晶育成のレビュー論文。
水熱反応を用いてカゴメ銅鉱物ボルボサイトからカゴメ銅鉱物ベシニエイトへとトポケミカルに変形させることに成功した論文。
ファンデルワールス層状化合物Ti2PTe2とカドミウムを80°Cというお湯程度の低温で反応させることで、層間間隙のアニオン四配位サイトにカドミウムをインターカレートしたことを報告した論文。
層状ペロブスカイトFeLa2Ti3O10を酸素中で焼くことで、鉄の一部を脱離させ、新しい層状ペロブスカイトFe2/3La2Ti3O10を合成している。鉄脱離過程で、残ったFeイオンが六配位サイトから四配位サイトへ移動している。
ブラウンミラライト型Ca2FeMnO5をオゾン雰囲気下、200°Cで熱処理することで、酸素がインターカレーションされ、ダブルペロブスカイト型Ca2FeMnO6が合成されている。
固相メタセシス反応を使って、高温高圧反応が必要なパイライト型の化合物を低温常圧(250-350℃)で作り出す新しい方法を開発している。
アジ化物を使った準安定なアルカリ-遷移金属複酸化物の低温合成のレビュー。
チタン酸バリウムBaTiO3と水素化カルシウムCaH2を混合して反応させるだけで、酸水素化物BaTiO3-xHxが合成され、Tiが還元されることにより電気伝導性を示すことを報告した論文。
層状物質Na0.9CoO2と硝酸ランタンを反応させることでトポケミカル反応を引き起こし、新しい層状物質La0.3CoO2を合成している。
酸化タングステンWO3をテフロンと反応させることで酸素サイトが一部フッ素に置き換わりタングステンが還元され。それに伴い電子ドープされることで超伝導になる。
V2O5を硫黄と反応させることで準安定なMagneli相V4O9の単相を得ることに成功したことを報告した論文。
トポケミカル還元反応を用いてコバルト1価を実現した論文。
水素化カルシウムを還元剤として用いることで、鉄原子が酸素と平面四配位し、正方形構造を形成する新物質SrFeO2を合成することに成功している。
層状ペロブスカイトY2Ti2O5S2をカリウム蒸気中で反応させる力技で層間にカリウムをインターカレーションすることに成功している。
ファンデルワールス物質ZnNClに対し、固相メタセシス反応を用いてCl⁻イオンをS²⁻イオンに置換し、新たな層状化合物Zn2N2Sの合成に成功している。
Ruddlesden-Popper型ペロブスカイトK2La2Ti3O10とBiOClの二種類の層状化合物を混ぜあわせることで、それぞれの成分が交互に積層して新しい層状化合物(Bi2O2)La2Ti3O10を作り出している。
近年盛んに研究されているNiO2無限層超伝導体の先駆的な研究かつ水素化物を用いて前駆体酸化物の酸素を引き抜いて新物質を合成するというコンセプトの先駆的な研究。ペロブスカイト酸化物に対して水素化ナトリウムを反応させることで200°C程度の超低温で1価のNiという極めて珍しい電子状態を実現している。