このページは個人的に面白いと思った(主に物質合成手法に関する)論文を、自分のための備忘録として作成しています。
NaIをマイルドな低温トポケミカル脱フッ素化試薬として使う反応。
Ca3N2を固体窒素源として使う酸素-窒素交換トポケミカル合成反応。
還元電位の低い金属(GaやZnなど)の溶解反応を利用した有機カチオン挿入法であるガルバニック法の提案。有機金属種やキラル分子を含む多様な分子性カチオンを、バルク結晶から少数層フレークまで温和な条件で挿入できるらしい。
ε-Cu0.9V2O5からNO2BF4でCuを酸化脱離してλ-V2O5(V4O10二重層がvdWギャップで積層)を作り、そこへLiI〜CsIでアルカリ金属イオンをトポケミカルに挿入し、アルカリ種と組成で層間の配位サイト選択が切り替わり、層のずれが八面体の半分の単位で離散化していくのをきれいに整理している。
フッ素化→還元という逐次アニオン挿入・抽出でトポケミカル還元反応選択性を切り替えられる。LaSr2CoRuO7では、直接還元で1D鎖相(LaSr2CoRuO5.3)になる一方、フッ素化後に還元すると2D無限層相(LaSr2CoRuO4.5F1.5)を得ている。
Mo2Ta2O11をMo(CO)6共存下で加安分解することでMoO4二重層にトポケミカルにMoイオンが挿入されることでMoO6単層に再配列し、Mo4.33+カゴメ格子をもつ新しい酸窒化物Mo3Ta2O10Nを創成している。
Cs0.5RhO2をぬるま湯で煮込むことでCsイオンをトポケミカルに引き抜いて準安定層状vdW三角格子1T-RhO2を合成して、約1.0 eVの絶縁体で2 Kまで磁気秩序・スピングラス不在、ラマンで分数化マヨラナ励起の兆候を示すQSL候補であることを報告。
K2Se2を出発原料として、Se2ダイマーを保った化合物KxNbSe2を合成し、ソフト化学的な脱カリウム処理を施すことで、Nb原子と[Se2]ダイマーが一次元鎖をなすTC = 9.5 Kの超伝導体である新多形Nb[Se2]を合成してJACS。
イオン交換試薬の化学ポテンシャルを設計変数にしており、固体イオン交換で到達できる準安定相の範囲を広げる方法論として重要。
金属間化合物LaScSiと水を反応させることでトポケミカルに酸水素化物LaScSiOxHyを合成してJACS。
高濃度高温水蒸気合成によって、新しいミスフィット層状酸水酸化物 [Ba2Ox(OH)y]0.55InO2の合成に成功している。新物質がいろいろ見つかりそう。
Li2MN2 (M = Zr, Hf)の層状骨格を保持してMgMN2の層状準安定相を作る。窒化物でもヘテロ価イオン交換が可能であることを示していて重要。
高圧でTaS2とMgH2を反応させることでマグネシウムと水素を同時にTaS2へ挿入することで、TaS2へのマグネシウムインターカレーションに成功している。
遷移金属ダイカルコゲナイドWS2にアニオンである硫黄をインターカレーションしている。
メカノケミカル反応を用いてAg2+イオン(S = 1/2)を含むフッ化物ペロブスカイト/層状ペロブスカイトを合成している。
KV6Sb6からカリウムイオンを引き抜いて(ほぼ)ファンデルワールス結晶カゴメ金属を実現。
Cs2Ni3S4を塩酸と反応させてCsを半分引き抜いたCsNi3S4でフラットバンド+カゴメ強磁性を実現している。
Sr2MnO2Se2に対して、ナトリウムナフタレニドを用いてSeダイマーを切断しつつNa+をインターカレーションしている。
MgPS3とCoCl2のトポケミカル反応でCoPS3を合成してChem. Mater.。トポケミカル反応はアルカリ金属ベースなことがほとんどだが、マグネシウム化合物スタートでもよいのはいい情報。
金属間化合物Na0.25AlGaを使って水素化物を使わずにペロブスカイト酸化物LaNiO3をLaNiO2に還元することに成功してChem. Mater.。新物質がいろいろ探せそう。
硝酸二アンモニウムセリウム(III)四水和物を用いてスピネルLiRh2O4のリチウムを引き抜いてAサイト欠損スピネルλ-RhO2を合成している。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液を使ったwet oxidationによってbrownmillerite型Fe酸化物薄膜をperovskiteへ戻すような酸素交換反応。
単なるイオン挿入脱離だけではなくアニオンレドックス反応に伴う化学結合の再構築に注目した新しいトポケミカル反応を開発している。
超高圧下(25万気圧)で、グアニジニウムイオン(CN3)5-という新しいポリアニオンを作り出している。
α-RuCl3の単結晶をヨウ化アンモニウム水溶液に浸して置くことでアンモニウムイオンと水を層間にインターカレーションさせ、(NH4)0.5RuCl3·1.5H2Oを合成している。
SnFClを使って、ペロブスカイト中のPbイオンをSnイオンにトポケミカル交換する画期的な反応。
K0.5WS2を酸に浸すことで単斜晶構造の準安定WS2を合成している。しかも8 Kの超伝導体。
LaOCl → LaOCuS:溶液中の [CuS]⁻ をCl⁻ と置換して酸化物シート間に挿入するアニオン・サブユニット挿入を提案・実証。
SrO, SrH2, V2O3を原料に高圧合成するとペロブスカイトSrVO3-xHxが合成され、Srを増やすとルドルスデンポッパー(RP)相Sr3V2O7-xHxやSr2VO4-xHxが合成されるものの単相が得られずSrVO3-xHxやV2O3がどうしてものこってしまうところに、塩化物SrCl2を加えるとRP相の単相ができ、その場XRDによってこの単一相が反応中間体Sr4OCl6を経由して安定化することを明らかにした論文。
アモルファス相を急速加熱することで(液相から見た)過冷却状態を作り出し、最終的に準安定相を得る合成法。
金属間化合物LaFeSiとテフロンPTFEを反応させることで、層間にフッ素イオンをインターカレーションさせることに成功している。
Li2FeSbO5をテトラフルオロほう酸ニトロニウムと反応させることでリチウムを半分だけ引き抜き、Fe3+/Fe5+の電荷不均化状態を有するLiFeSbO5を合成している。
イリジウム酸化物の単結晶をプラチナ坩堝を用いて作成するとIrサイトにPtがドープされますよ論文。
金属間化合物 LaFeSi(P4/nmm) を酸素雰囲気で穏和酸化することで、格子対称性を保ったままLa四面体空隙(2b)にO²⁻をトポタクティック挿入し LaFeSiO1-δ を得ている。TC ~ 10 Kの超伝導体。
硫黄の脱離挿入で新しい準安定層状オキシカルコゲナイドを合成している。
ボールミルのみでBaTiO3-xHxを合成し、従来のCaH2固相還元に対する迅速・大量合成ルートを示している。
層状 LiNiB から Li を室温付近で部分脱離し、Li0.5NiB 型の準安定ホウ化物へ Li 脱離に伴い [NiB] 層が “zip-lock” 的に凝縮し、通常の単純な空孔生成ではない構造再編成を示す。
Zr-doped CeO2を固体酸化剤として使い、200℃程度でY2O2Biへ酸素をトポタクティックに挿入している。気相オゾンや高酸素圧に頼らない低温酸化剤として重要。
スピン軌道の強いイリジウムやルテニウムの酸化物を磁場中で合成すると物性が変わることを報告した論文。
層状アルカリ金属チタン酸化合物とアルカリ金属ヨウ化物を乳鉢で混合するだけでアルカリイオン交換反応が促進されることを報告した論文。
本論文は、NaMoO2の高結晶化ルートを示す。直接の固相反応では低結晶性にとどまるため、まずNa欠損相Na2/3MoO2を高温固相反応で合成し、ついでNa金属と低温反応させてNa欠損を補填する二段階法により高結晶性NaMoO2を得ている。構造解析の結果、Moの四量体クラスター形成を明らかにしている。
XeF2をMeCNに溶かしたsolvothermal fluorinationにより、Sr2Co2O5からSrCoO2.5F0.5を、La4Ni3O8からLa4Ni3O8FおよびLa4Ni3O8F2を合成している。
CaH2を使って層状ZrNClからCl-を引き抜いて、超伝導ファンデルワールス物質ZrNを合成している。
トリフェニルホスフィンをフラックスとして用いることで鉄とセレンを低温(325°C)で直接反応させ、超伝導体FeSeを合成したことを報告した論文。
MoAlBを水酸化ナトリウム水溶液につけておくと、Alが一部引き抜かれて、そこからさらに600度でアニールすることでAlがちょうど半分抜けて結晶化した準安定な新物質Mo2AlB2を合成している。
固相メタセシスにおける反応経路が副生成物のアルカリ金属化合物の種類に依存することを示した画期的な論文。この方法で、高温高圧が必要なマンガンパイロクロアの常圧低温合成を実現している。
インターグロース・メタセシス反応を、鉄ヒ素系超伝導体でもやってのけた論文。SmFClとLiFeAsからSmFFeAsを合成している。
擬一次元超伝導体K2Cr3As3を金属ナトリウムとナフタレンを溶解させたテトラヒドロフラン中で反応させることでカリウムイオンをナトリウムイオンに交換し、新しい超伝導体Na2Cr3As3を合成している。
"液相輸送法"を用いた単結晶育成のレビュー論文。
水熱反応を用いてカゴメ銅鉱物ボルボサイトからカゴメ銅鉱物ベシニエイトへとトポケミカルに変形させることに成功した論文。
ファンデルワールス層状化合物Ti2PTe2とカドミウムを80°Cというお湯程度の低温で反応させることで、層間間隙のアニオン四配位サイトにカドミウムをインターカレートしたことを報告した論文。
層状ペロブスカイトFeLa2Ti3O10を酸素中で焼くことで、鉄の一部を脱離させ、新しい層状ペロブスカイトFe2/3La2Ti3O10を合成している。鉄脱離過程で、残ったFeイオンが六配位サイトから四配位サイトへ移動している。
KCo2S2, KCo2Se2 からトポケミカル脱インターカレーションにより、anti-PbO 型の準安定 CoS/CoSe を合成している。
KCo2S2, KCo2Se2 からトポケミカル脱インターカレーションにより、anti-PbO 型の準安定 CoS/CoSe を合成。
EuTiO3-xHxをアンモニア処理し、H⁻の可動性と空孔を利用して N³⁻/H⁻、さらに N³⁻/O²⁻交換を進める。 水素化物を窒化反応の前駆体設計に使うという発想で、混合アニオン合成の設計原理を変えた研究。
ペロブスカイト酸化水素化物 BaTiO2.5H0.5を出発物質にし、多段階低温トポケミカル反応へ展開。 H⁻を「生成物中の珍しいアニオン」ではなく、可動・脱離可能な labile ligandとして使えることを示した。以後の酸窒化物・酸フッ化物・混合アニオン設計に直接つながる。
固相メタセシス反応を使って、高温高圧反応が必要なパイライト型の化合物を低温常圧(250-350℃)で作り出す新しい方法を開発している。
Ruddlesden–Popper 型 Sr2FeO4をCaH2 で低温還元し、FeO4square-plane が連なった Sr2FeO3を合成。 Fe 酸化物で square-planar 配位を安定化した重要例。CaH2還元による酸素脱離トポケミストリーの物質設計力を示している。
Ba2YFeO5を高酸素圧下で酸化し、Fe⁴⁺を含むBa2YFeO5.5を得る。酸化物イオン挿入により中心対称親相から非中心対称相へ変換。トポケミカル酸化で極性・磁性を同時に設計している。
アジ化物を使った準安定なアルカリ-遷移金属複酸化物の低温合成のレビュー。
チタン酸バリウムBaTiO3と水素化カルシウムCaH2を混合して反応させるだけで、酸水素化物BaTiO3-xHxが合成され、Tiが還元されることにより電気伝導性を示すことを報告した論文。
層状物質Na0.9CoO2と硝酸ランタンを反応させることでトポケミカル反応を引き起こし、新しい層状物質La0.3CoO2を合成している。
酸化タングステンWO3をテフロンと反応させることで酸素サイトが一部フッ素に置き換わりタングステンが還元され。それに伴い電子ドープされることで超伝導になる。
V2O5を硫黄と反応させることで準安定なMagneli相V4O9の単相を得ることに成功したことを報告した論文。
トポケミカル還元反応を用いてコバルト1価を実現した論文。
水素化カルシウムを還元剤として用いることで、鉄原子が酸素と平面四配位し、正方形構造を形成する新物質SrFeO2を合成することに成功している。
La3Ni2O6は、低原子価 Ni を含む double T′ 型ニッケレートで、無限 NiO2層を持つ物質として報告された。最近のニッケル酸化物超伝導周辺の文脈から見ると、この論文の重要性はかなり高いです。
LiH や CaH2を用いた金属水素化物還元によりパイロクロア系の欠陥化学を開いている。金属水素化物還元が非ペロブスカイト酸化物にも拡張可能であることを示した。
NaH によって Sr7Mn4O15から酸化物イオンを選択的に脱離し、構造的に関連した Sr7Mn4O12を得た研究。「酸素が抜ける」こと自体ではなく、apex oxide と face-shared oxide のうち、どのサイトの酸素が抜けるかを実験的に示している点が重要。
層状ペロブスカイトY2Ti2O5S2をカリウム蒸気中で反応させる力技で層間にカリウムをインターカレーションすることに成功している。
ファンデルワールス物質ZnNClに対し、固相メタセシス反応を用いてCl⁻イオンをS²⁻イオンに置換し、新たな層状化合物Zn2N2Sの合成に成功している。
Ruddlesden-Popper型ペロブスカイトK2La2Ti3O10とBiOClの二種類の層状化合物を混ぜあわせることで、それぞれの成分が交互に積層して新しい層状化合物(Bi2O2)La2Ti3O10を作り出している。
近年盛んに研究されているNiO2無限層超伝導体の先駆的な研究かつ水素化物を用いて前駆体酸化物の酸素を引き抜いて新物質を合成するというコンセプトの先駆的な研究。ペロブスカイト酸化物に対して水素化ナトリウムを反応させることで200°C程度の超低温で1価のNiという極めて珍しい電子状態を実現している。