概要

Introduction

生命体は、集団、個体、器官、細胞、オルガネラなど様々なスケールにおいて固有の「サイズ」を保っているように見える。現代の分子細胞生物学はこれらを構成する分子を対象に解析することで生命とは何かという命題に切り込んできたが、意外なことにそこには「サイズ」の恒常性という観点が抜け落ちている。生物の最小単位である細胞レベルにおいても、外部の環境が変化するのに伴い、細胞そのもののサイズや内包するオルガネラのサイズは大きく変化する。では、分子の集合体としてのこれら単位構造のサイズはどのように規定されるのであろうか?

分子~細胞内構造~細胞~組織 のさまざま階層において、存在するスケールの問題を絞り、ウエットな実験系から数理モデルを使った研究を横断的に俯瞰することで、細胞を構成する様々な「サイズ」がどのように創成されるのかに迫りたい。

当HPをはじめた切っ掛け

古くから細胞や組織の大きさ(サイズ)をどのように制御するのかという「サイズ問題」については記述されてきました。しかしその当時は、分子の情報や測定技術が不足していたため、制御の仕組みは解明されていませんでした。昨今の技術革新で、サイズに関連する分子の解析、細胞レベルの様々なサイズの測定が飛躍的に進展しました。今まさに、様々な階層における生物の「サイズ問題」に切り込むチャンスと言えます。

しかし、細胞生物学の階層で、このサイズ問題を考える土壌がありませんでした。そこで、原裕貴と山本一男が発起人となり、2017年12月8日のConBio2017(2017年度生命科学系学会合同年次大会)にて、『「サイズ」で斬る分子細胞生物学』というワークショップを開催しました。そこで細胞における「サイズ問題」を、様々な角度から議論しました。その議論を点ではなく、線として発展させるために、このHPを作成するに至りました。

Objectives

日本での生物の「サイズ問題」を扱う研究者に少しでも役立つ情報を発信・共有することです。サイズ問題に取り組む研究者が日本にもいることを示すことは、研究を進展・発展させる為に有用だと考えます。また、当研究分野の情報交流が行えればと思います。