2021年に50歳になりました。
清掃船「清海」で毎日海のパトロールをしながら海に浮いているごみを集めています。
ごみが流れていると海が汚れてしまいますし、漁師さんが網をあげても魚はとれず、ごみばかりだとたいへんです。
また、大きな流木があると船とぶつかって人がけがをしたり、船が壊れたりして大変危険です。
別府湾をお掃除しているとたくさんのごみが流れていることがわかります。ではこれらのごみはどこから来るのか考えてみましょう。
まず思いつくのが
(1)海岸や川などへのポイ捨て
泳いだり魚釣りに来た人が使ったペットボトルや空き缶、お菓子の包装、食品トレーなどが直接川や海に 捨てられたものがごみになっていることはわかると思います。
でもそれ以外に大切なことがあります。
(2)川から海へ流れ込む
ごみの多くはもともと別府湾にあったものではなく、内陸部から水路や川を通って流れてきたものだということです。
清海や別府湾の近く住む人がいくら頑張っても山の近くに住む人々の協力がなくては海はきれいになりません。
別府湾でも山口県のある町の境界を示す杭が見つかったこともあります。パソコンで調べてみると山口県の山の中にある町だったのでびっくりしました。大水の時などに山などが崩れて海に流れでたのかもしれません。
他にも、海岸で海ごみをよく観察してみると
(3)海流に乗ってよその国からやってくる
お菓子の容器等で外国の言葉で書かれたものが見つかることがあります。
海には海流があってごみは海流に乗って遠くに運ばれます。
世界の海はつながっているので、外国から日本に来るごみもあるけれど、日本からアメリカなどの外国に 流れ外国の海を汚すこともあります。特に 回収できない小さなプラスチックごみは海流に乗って海を漂い続けることとなります。
(1)海水浴場や海辺の公園が汚れる
海辺の景色も悪くなるし、ごみでけがをするかもしれません。これでは安心して遊べません。
(2)船の運転や漁業を妨げる
船に流木等の大きなごみがぶつかって事故になるかもしれませんし、漁港にごみがたまり漁船が漁に出られなかったり、漁船の網にごみがかかって漁の邪魔になることもあります。
(3)海の生き物を傷つける
プラスチックのごみを海の生き物がえさと間違って食べたり、海鳥が釣り針を飲み込んで傷ついたりして死んでしまう生き物もいます。
海ごみの分け方として「自然ごみ」と「人工ごみ」と呼ぶことがあります。
海のごみを種類ごとに分けた正確なデータはありませんが、だいたいこんな感じかなというくらいの正確さで今までに集めたごみを見てみると、自然ごみが大部分(90~80%程度:体積比)で、人工ごみは20%前後(およその推測)です。
自然ごみのうちで、ももともと海にあったものは海藻などごく一部で、大部分は陸から運ばれてきた葦や草、竹、流木などです。
人工ごみのうち多くはプラスティックごみで、漁船が漁に使う発泡スチロールなどもありますが、多くは皆さんが暮らしの中で使う容器などで陸から流れてきたものです。
人工ごみにはどんなごみがあるの?
大分県が2019年に行った調査では、大分県の海岸に流れ着いた人工ごみの約70%がプラスチックごみで、15%が発泡スチロールでした。☞ 円グラフ「人工ごみ(種類別)」
また、その中で、プラスチックごみの種類を調べてみると、もともと海にあったごみは約17%で、多く(83%)は陸から海に流れ出たごみであることがわかりました。☞ 円グラフ 「プラスチック類の内訳(体積)」
プラスチックごみの多くは皆さんの暮らしの中で使って、ポイ捨てなどしたごみが海を汚していることがわかります。
マイクロプラスチックってなに?
◆ マイクロプラスチック
皆さんの中にはマイクロプラスチックという言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。
ごみの中でも、ペットボトルやレジ袋、食品トレーなどプラスチック類で作られた容器等がごみとなったものをプラスチックごみと呼んでいます。
プラスチックごみの中でも、太陽の光や波により砕かれて大きさが5㎜以下になったものをマイクロプラスチックと呼んでいます。
◆ 生き物への影響
魚やクジラなど海の生物や海鳥がえさと間違えてプラスチックごみを食べて死んでしまうことがあります。魚などを食べる人間の健康にも悪い影響を与えるのではないかと心配されていますが、はっきりとしたことはよくわかっていません。
◆ このまま増え続けると
昔のごみは時間がたつとだんだん腐っていき、においや汚れは目立ちますが、自然にかえっていきましたが、プラスチックごみは腐ることがないので永遠に海の中を漂うことになります。プラスチックごみは腐らないので、人が取り除くしかありませんが、中でもマイクロプラスチックは小さすぎて清海でも回収できません。
昔のごみと今のごみにどんな違いがありますか(その1)?
これは以前、マスコミの取材を受けた際にいただいた質問です。
それまで、違いを考えたことがなかったのでちょっと困ってしまいましたが、よく考えてみると大きな違いがあることに気づきました。
昔の海岸などを見ると、砂浜にはアサリ等の貝がたくさんいて、学校で遠足にも行っていました。砂浜は黒くて、匂いがしたり、見た目は今より汚かったように感じます。それは、食べ物の残りや、おしっこなどが汚れたまま川などに捨てられ、川を通って海に流れていたからではないかと考えたりしています。栄養があるので、砂浜にたまり、腐ったりして匂ったりしていたのです。
ところが、現在では市役所が下水道を整備したことにより汚い水が直接川に流れることはなくなり、分別収集に力を入れることで、皆さんがごみを出すときは種類ごとにまとめてごみステーションに出すことがが当たり前になってきました。
皆さんもお母さんから「今日はぺとボトルの日だから集めて」とか「燃えるごみの日だからお部屋のごみ箱を持ってきて」と言われてお手伝いをすることがあると思います。
皆さんの気持ちの持ちようも変わってきましたし、いつのまにかごみを分けることが習慣になって、ごみをポイ捨てすることが少なくなり、海や海岸は昔と比べて随分きれいになったように思います。
でも、ごみの種類が少し違ってきたことによる心配事もできてしまいました。
昔のごみと今のごみにどんな違いがありますか(その2)?
◆ 暮らしの変化とごみ
〇昔に比べてごみの種類はどのように変わったのでしょうか。
私たちの身近な暮らしを例にとると、
お店では現在、ジュース等の飲料はペットボトルで売られることがほとんどですが、昔は何度も使える(リサイクルできる)ガラス瓶に入って売られていました。40年位前にペットボトルが広まったと言われています。
昔はお肉や魚は竹の皮や木の薄いシートに包み、もう一度新聞紙に包んで買い物かごで家まで持って帰っていました。現在ではエコバッグなども普及してきましたが、プラスチックなどの食品トレーに並べられたものをレジ袋に入れて持って帰っています。
昔は自然の中にある材料で作られていた包装材料が今ではプラスチックに代わってしまい、便利だということもありますがプラスチックごみが増える大きな原因になっています。
〇では、どうすればプラスチックごみを減らせるのでしょうか。
そのためにはプラスチックをできるだけ使わない。そして、ごみとして出さないことが大切です。
現在ではスーパーやコンビニなどと協力してプラスチックごみを減らすためにレジ袋やスプーン等を有料にするなどプラスチック類を使わないようにしたり、飲食店の中にはストローやカップなどプラスティックを使わない材料にするなどの工夫をしているお店もあります。
ペットボトルのラベルが小さくなったり、ボトルが薄くなったりすることもプラスチックごみを減らす工夫の一つかもしれません。