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ごあいさつ
アタッチメントは、人間が生まれつき持っている、心の安全がゆさぶられるような危機に面した時に、誰かに近づいて、安全で安心できる関係を求める本能的な行動のシステムです。アタッチメントは、子どもから大人、老人にいたるまで、人間関係を作る能力の鍵となっています。臨床の現場でも、研究においても、その人のアタッチメントの安心性(Degree of security)やアタッチメントのスタイルを知ることが重要です。イギリスのビフィルコ教授が開発したアタッチメント・スタイル・インタビュー(Attachment Style Interview;ASI)は、アタッチメントの安心性とスタイルを評価する方法です。
私たちは、ビフィルコ教授らによるトレーニングを受け、10年ほどかけて、2008年のビフィルコ教授の来日を機にASIの日本語版アタッチメント・スタイル・インタビュー(ASI-J)を完成し、日本でのトレーニングを始めました。臨床や研究にアタッチメントの面接方法が活用されています。
2017年にはビフィルコ教授が再来日なさり、ASIの臨床応用について講義してくださるとともに、子ども用ASI(小学生対象)を伝えてくださいました。
子ども用ASIは日本における信頼性と妥当性の確立途上ではありますが、2019年から2021年にかけて翻訳を完成させ、研究に使い始めています。子ども用アタッチメント・スタイル面接は、ASI-J(成人版、青年期版)のコース1で基本を修得した大学院生、専門家の方を対象に、研究や臨床で使いたいと思われる方々へのトレーニングをオンラインで始めています。
What's New!
✾5月28日にアタッチメント・スタイル・インタビュー研究会の一般公開講座「アタッチメントの理解と臨床応用 アタッチメント・スタイル・インタビュー(ASI-J)を用いて」が開催されました。大勢の方にご参加いただき、双方向の質問時間も活発に意見交換がおこなわれました。グループワークをはさみながら、和気あいあいと演習も実施しました。
✾アタッチメント・スタイル・インタビューのデモンストレーションの様子です。アタッチメント・スタイル・インタビューが評価面接であることが、デモを通して、理解していただけたと思います。この後、研究報告が続きました。
✾参加者のアンケートから (一部抜粋)
単に研究のみではなく臨床的に用いられそうと感じられ、さらにトレーニングを受けてみたいと思えました。(臨床心理士)
今後AAIやSSPによる子どもの愛着型との対応・予測研究などが進むと良いなと思いました。一方臨床ツールとしての側面も強いように感じられたので、臨床研究の積み重ねはあってもよいように思います。(臨床心理士)
今までは、幼少期に形成されたアタッチメントのスタイルが青年期以降になってもほぼ変わらないと思っていたので、今回講座を受講して希望が持てました。(学生)
研究と治療現場での事象を結ぶことの難しさを感じておりますが、少し糸口が見えた気がします。(臨床心理士)
初学者にもわかりやすく、ASIの概要から活用まで知ることができ、自分の関心と照らしながら受講することができました。(学生)
臨床でやっていることの証明をする必要性を最近感じていましたが、当たり前と思っていたことが研究方法を聞いて臨床へのアプローチや自分のやっていることの正当性が見えてきた気がしました。(助産師)
ASI面接を受けることによって被験者は心理教育にもつながるのかなと(なるといいな)感じました。(臨床心理士)
アタッチメント・スタイル・インタビュー研究会
代表 吉田敬子 (医療法人 風のすずらん会 メンタルクリニックあいりす院長)
トレーナー 吉田敬子 (医療法人風のすずらん会 メンタルクリニックあいりす)
林 もも子 (立教大学 現代心理学部)
池田真理 (東京大学大学院 医学系研究科)
事務局 柴原早紀 (立教大学 現代心理学研究科)
木原順子 (福岡市立こども病院)
錦井友美 (国立病院機構 長崎病院小児科)
ASI英国本部:The Lifespan Research Group, Director:Professor Antonia Bifulco, Middlesex University, London