*水素水 #とは

水素水と言うのが近頃話題なので、一体どんなものなのか、を考えようってお話というか、メモ。

経緯:

・母が、水素水が発生することにより洗濯物を乾かす時に匂いがでない、という触れ込みの製品を買ってきたから

・最近話題だから

方針:

実際に効果があるかないかについては今の所触れる予定がない。また、真面目に調べる気は全くないです(効く人には効くし、効かない人には効かないというのが私の考え)。なので、Googleで検索して上の方にあったやつとかWikipediaに載ってるものをじゃんじゃん利用します。また、原稿が途中なのにもかかわらず、ネットに上げ、公開しているのは、なんか管理するのが面倒だからと、HDDの容量を使いたくなかったからです(使ってるかもしれないけど難しいことはわかりませぬ)。

目的:

そもそもどんなもので、どんな効果が期待され、どのように作るのか、をまとめたい。

本文:

水素水ってそもそも何やねん。

Wikipediaには次のようにある。「水素水(すいそすい)、分子水素を溶解させた水である。水素水は無味、無臭、無色である」(2016.03.07閲覧)

じゃあ、効果ってどんなんなのさ。

飲んだ場合:

Wikipedia: 活性酸素による生体内酸化ストレス値の低減、LDL値の減少

Mind-Craft[1]: 体内の活性酸素(フリーラジカル)を素早く中和

血液透析用水に水素水を使用:

Wikipedia: 透析患者の慢性炎症、酸化ストレスを抑制

不明な用法による効果:

ヘルスケア大学[2]: 悪玉活性酸素(酸化力の強い悪玉活性酸素の「ヒドロキシルラジカル」と「ペルオキシナイトライト」)のみを除去

などなど。いろんな効果があるみたいですが、概ね共通項とみられる部分として、活性酸素の除去が行える、と言うことらしいです。

さて、私、勉強不足で活性酸素がいかなるものなのか知りません。Wikipediaによって補完してしまいましょう。尤も、そのWikipediaには正確性に対する疑問が提議されていますが。さておき、「活性酸素(かっせいさんそ、: Reactive Oxygen Species、ROS)は、大気中に含まれる酸素分子がより反応性の高い化合物に変化したものの総称である」

要は酸素が大気中にて酸素分子として存在する以上に反応性が高い(反応性が高いってどういう意味だ?)状態になったもののことを指すのでしょう。

じゃあ、さしあたって、活性酸素のうち、[2]で悪玉として紹介されている(善玉と悪玉の違いってなんだ?: [3]: この活性酸素には、善と悪の2種類があり、善玉の活性酸素は、体外から侵入してきた細菌やウィルスを、白血球がこの活性酸素を使用して攻撃し除去してくれます。)「ヒドロキシルラジカル」と「ペルオキシナイトライト」とかいうものがどんなものなのか見ていきましょう。前者は・OHというラジカル(ラジカルってなんぞね?: Wikipedia: 不対電子をもつような原子分子あるいはイオンのこと)後者がONOO-というラジカル分子種[4]だそうです。

どちらの物質についても筆者は詳しいことを知りません。

さ、まとめ直します。

水素水は、分子水素(H2)が溶解した水のことで、少なくとも・OHとONOO-を除去(除去ってなんだ?: 筆者: 大気中の酸素分子と同程度に反応性が高い状態に変化する、と解釈)することができる。

(活性酸素の除去はテロメア長の維持につながったり[1](維持してどうするのかは知らない。ちなみに該当記事にはテロメアが長いことと人間としての長寿命であることの関連は記載がなかった。うまい。)、遺伝子が傷つきにくくなることにつながる(傷ついても大概修復されるが))

<反応性が高い、の意味>

<活性酸素が実際にどんな反応を引き起こすのか>

活性酸素は[5]p. 415にあるようにDNAに変異をもたらす重要な原因と考えられている。これらは生存する限りにおいて発生を妨げられないが、細胞がそれに対応しない筈もなく、なんか名前の長いなんたらーゼs(多分酵素)によって分解される運命にある。一方でその運命から逃れる者たちがいないではない(暗黒微笑)(適当)。要は普通にすり抜けられて、DNAを破壊されることもままあるよと。[5]p. 415には”正確な回数はよくわかんないけど各細胞ごと毎日何千回と破壊されてる”的なことが書いてある。で、ここで破壊されっぱなしか、という話になると、そうでもないにゃ、って話になるわけですにょ。まあ、修復されなかった場合も、要はただの突然変異という見方もできますし。そういう話じゃなかった。修復されるって話でした。DNAが二重鎖だからとか、なんかいい感じの酵素があるとかそんな感じで修復されるのでだいたいは治る。という話。でもって、ここで、「突然変異の蓄積と発がんとの間には強い相関関係がある」そうで、あんまり修復の時に取りこぼしが出るようだと(修復する対象が多すぎるとか酵素が少ないとかが原因で)がんの発生が取りこぼしが増えるのに伴って増えるよ、というお話。

テロメアはともかく、なるほど確かに活性酸素を減らせばDNAを破壊する要因が減り、突然変異の蓄積が減少、がんがあまり多くない状態になり、結果として寿命が伸びるとかはあるかも。ただま、相関関係と因果関係は別だというお話もあるですが、この場合、筆者的にはいいような気がするのです。(筆者の感想です。帰結に飛躍があったり誤りがあるなら、筆者の後学のために教えてくださると助かります)

<普通の水に溶けている水素量と、水素水に溶けている水素量>

[3]にはこうある。『若い頃、高校の化学の授業で習ったように、水素の原子記号は「H」で、原子番号は「1」。

構造が一番簡単で、常温・常圧では無色、無味、無臭の気体。』

ここまではいい。任意の自然数n歩は譲らないといけなそうだが、いい。

ただ、同じ高校の授業では多分こう習ったはずなのである。[6]p. 13「水に溶けない気体は,水上置換で補集する」そんで、水上置換の図の中に、適用例として「水素」と載っている。中途半端に高校の授業を思い出さずに、しっかり思い出してもらっていただくと、"水素は水に溶けない"というこれまでの流れをひっくり返しかねない事実に気づくはずである。分子水素は水に溶けない。事件である。

いや、無論そんなわけはないの。溶けるわけです。(というか、存在することができる?)まあ、化学の授業を聞いていれば誰もが知っているように(二酸化炭素であれば、水上置換で捕集することがある、とかも習ったと思います。二酸化炭素は「水に溶ける」けど大した量じゃないからいいか、っていうような。何が言いたいかって、水上置換だなんだって言っても関係ないですよ、その論点で水素水はないとかいうのは間違ってるんじゃないか、っていうこと)、ここでいう溶けない、というのはあくまで難溶性の気体であるというお話なわけですね。

ここで、溶ける量というのが気になるわけなんですが、某園さんから「水素水」なる商品が出ておりますので、これをもとにしてみましょう。私、買いました。論文ですらありませんが、純粋に溶ける量を検討するより、飲むときに溶けている量と考えた方が実際的ですのでこれを溶ける量として採用します。

さて、該当の水には水素濃度0.3ppm-0.8ppm(生成時水素濃度1.6ppm以上)とあります。また、水素が空気中に逃げない様にするためにキャップと水面の間をできる限り小さくしてある、とも書いてあります。キャップと水面の間の空間は、思いの外広く、えー、と思ったのを覚えております。ともあれ、濃度の話でした。該当の水素水は410mlで、記載のある水素濃度は質量パーセント濃度でしょうから、その前提で考えます。で、水素水の重さは面倒なので、1cc=1ml=1gで考えます。水素は軽いですし、量が少なそうなので、影響はないと考えます。むしろ温度による変化の方がはるかに重大かと。もし、水素の量が多ければ、計算をやり直せばいいですし。さて。ppmというのはパーツパーミリオンの事です。神代の聖剣でないものだけを指します。ともあれ、106g水素水があれば水素が0.3g-0.8g含まれていますよ、という意味です。嫌な予感がしてきた人もいるかもしれませんが、今回検討する商品は410mlですので、某園の商品を飲みきると1.23\cdot{}10^{-4}-3.28\cdot{}10^{-4}gの水素が胃の中に入る、ということになるでしょう。(吸収されるとは言ってない)

これに関しては、[7]に興味深いグラフが載っています。P. 8図2です。表示されている水素の量がそもそも間違っているものから表示自体は正しいものまで。某園のものは表示自体は正しいようですので、上記考察も多少意味があるかと。

[3]には上記の引用の続きに以下のようにある。『原子の中では一番軽く、単原子では酸素以上に活性度が高く、他の物質と容易に結合する性質があります。

このような原子上の水素を、「活性水素」と呼んでいます。』

あれ、水素分子が溶けた水じゃなかったの? と矛盾を感じつつ考えてみます(単に文献ごとの整合性がないともいう)。活性酸素の活性度が高くて体に悪いことするから水素に助けてもらおう的な話だったはずなのに、酸素以上に活性度が高いやつ持ってきたらもっとひどいことになるんじゃない? やだー、こわーい。毒を以て毒を制す系男子だー(謎フレーズ)、と言う冗談はさておき。それ、活性水素とかいうやつ。水素ラジカルってことっすか? そもそも水中でH・が丸裸のまま存在できるのかい? つーか、その言い方だとWikipediaの定義と矛盾してないかい? って話になるわけですね。まあ、後者は[3]がそもそもまあ。あれなので。あれですが。(つたわれ)

前者の方の考えに至ったのは、そもそもH+が実はヒドロニウムイオンH3O+が水和した状態で存在してるっぽいとかそういう関連のサムシングがあるのでどうたらこうたら(筆者がわからない)あるのでどーなんだろーなと。まあ、上記の[3]で言われてるのがこれ(H+)だったら酢でも飲めば? で片付くのでいいとして。違う物質という前提で、存在できるか/どれだけ溶けるかについてだけ調べたいと思います。

<水素原子(水素ラジカル)>

Wikipedia水素原子「地球上では、単離した水素原子は非常に珍しい。」

そうかー。珍しいかー。なるほどー。鵜呑みし、否定に都合よく捉えるならここでこの話は終わり。以上。

<水素水はどのような理由で、活性酸素と優先的に結合するのか>

活性酸素以外のものと反応しても良くない? 選択的に活性酸素と結合する保証は? 活性酸素って酸素ラジカル以外にもある(というか、[2]によれば酸素ラジカルではない)みたいだけど、そいつらとくっついたときも”無毒化”できるの?

<飲んでるけど、それでいいの?>

薬だって、そのまま飲むと、胃で効き目がなくなったり、初回通過効果とかいって肝臓で不活性化されちゃったりする感じだった気がするけど、飲むのでファイナルアンサー?

<水素以外じゃダメなのか>

要は還元すればいいだけじゃね? という話。チオ硫酸ナトリウムとか金属ナトリウムとか。前者はともかく、後者は死んだりするかな。多分メイビー。食ったことあるやついるのかな。いそうな気もするけど。あと他にも硫化水素とか? おお、温泉地に行けばオーケーじゃない。さ、あとは、こいつが体内に取り込まれた時にどうなんのか、って話ですな。

<原論文どこだ>

さて、じゃあ、製法に移ります。わたくし、反応とかどうせ見てもわからないので。

<マグネシウムで発生するって、それ本気なのか。しかも、多分表面とか酸化してるだろうけどいいのか。>

<その他の製法や、企業が利用している製法にはどんなものがあるのか>

新しく(2016/12/15)資料[7]が公開されました。

こういった方向性の話題の時欠かせない存在。国民生活センターです。

やはりというべきか、効果のあるなしに言及しないいい資料だと思います。表示をしていいとはいってない。

いずれにせよ、P. 16にある「飲用により期待できる効果」の項目は本稿のどんな効果が期待されるのか、に回答しうるもので、注目されるべき資料です。さて、引用開始。

「水分補給」が最も多い回答でした

引用終了。

そのほかの効果では、ダイエット・疲労回復・美容・アンチエイジングなどがリストに上がっています。これまで、買ってきて飲むことを前提につらつら書いていたので、生成器に関する回答はとりあえず見ない方向で。

上記の中で、水素水に特異的な効果を探すことで解答を得ることができるはずです。

[1]: http://www.mind-craft.net/?p=3172, Mind-Craft (マインド・クラフト), 水素水を作る

[2]: http://www.skincare-univ.com/article/006589/, ヘルスケア大学, 水素水に副作用/デメリットはある? 2015/12/15更新, 2016.03.07閲覧

([2]は以下の3つを主張するものと考えられる。悪玉ならば除去されるものが存在する、善玉ならば常に除去されない。これに[3]での善玉でないならばすべて悪玉を合わせて考えれば、以下のようになる。すべての活性酸素のうち水素水によって除去されるものであれば悪玉……あんまり実りある結論とは言えない気がする。)

[3]: http://suisosui-pw.biz/, 水素水の驚くべき効果!

[4]: http://photosyn.jp/pwiki/index.php?%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%82%AA%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88, 日本光合成学会

[5]レーニンジャー新生化学

[6]改訂版フォトサイエンス化学図録、数研出版

[7]独立行政法人国民生活センター、『容器入り及び生成器で作る、飲む「 水素水 」』、http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20161215_2.pdf

ほとんどわからないので、リンクだけ。物質の解説は以下にかいつまんで。というか、ただの「みました」のハンコ。

同仁化学製品、Peroxynitrite溶液、http://dominoweb.dojindo.co.jp/goodsr7.nsf/View_Display/P332

<LDL値ってなんだ>

LDLというのはLowDensityLipoproteinというもので、HDLがいわゆる善玉コレステロールとされるのに対して、悪玉、と呼称されることの多いリポタンパク質のことである。リポタンパク質は血中で脂質が安定して存在するため(ためってわけじゃないだろうけど)の形態である。一方、コレステロールと言うのはそういう名前の物質で、細胞膜などの成分となっている。前述のLDL, HDLはいずれもコレステロールを輸送するリポタンパクの種類のことであって、コレステロールそのものが善だ悪だという話ではない。というか、コレステロールが全くないとかになると、しめやかに死亡するはず。なんというか運送屋さんの性格の差みたいなもの。道路を掃除しながら行く奴もいるし、誰かに唆されて道路を壊す奴もいる的な。

蟻酸水はネタです。念のため。