現在,我が国の生物多様性は野生動植物の減少や里やま・里海の荒廃,外来種の侵入などにより深刻な危機に直面しています.このような課題を解決するためには,地域の特性に合わせた多様な主体による保全活動が必要です.現在当研究室では,以下の様な課題に取り組んでいます.
・干潟生物の生息条件のモデル化と生物による環境評価手法の検討
・干潟生物の基礎生態の解明
盤洲干潟は,東京湾に残された唯一最大の自然干潟であり,非常に貴重な環境が残されています.しかし,現代において自然のままの姿を残し続けることは難しく,盤洲干潟にも徐々に環境の変化が訪れています.そのような環境を保全し,後世に伝えていくために何をすべきかを研究しています.
・トウキョウサンショウウオへの開発の影響と保全手法の検討
・メダカ生態特性に着目したメダカ保全手法の検討
近年,生物多様性における里地・里やまの重要性が見直されてきました.里やま環境の保全には常に人が手を加え続けることが重要であり,従来の「保護」の考え方では守ることはできません.しかし,主に農業従事者の高齢化により,里やまの多くは管理放棄され,急速に環境の劣化が進んでいます.そのような環境を守り,後世に伝えていくための活動と研究をしています.
・矢那川の環境・生物調査
・実河川を用いた実践的学生実験
矢那川は木更津市中央を流れる小さな河川です.下水道の普及により水質は改善され,様々な生物とも出会えるようになってきました.当研究室では卒業研究のフィールドとして活用し,様々な研究活動を行っています.また,「環境工学実験」で実際の河川をテーマに水質試験や生物調査を行うことで,より実践的な学生実験のプログラムを行っています.
・近世以降の木更津市周辺の小櫃川の流路変遷
・モデル河口湖調査と浸透実験池
地域の環境を考える際には,地域固有の文化・歴史に関する配慮が欠かせません.主に木更津市史の編さん事業に関連して過去には上記のような調査・研究を行ってきました.