研究室でこれまで取り組んできたテーマは以下の通りです.
しかし,これらは,これから行う研究を縛るものではありません.これから研究室に入ろうとする人には,以下のテーマに限らず,新しい発想に基づく研究を期待しています.
都市のなかで起きる犯罪は,時間的・地理的に集中することが知られています.それは,犯罪を犯す人や,そのターゲットになる人や物,また犯罪を防ぐ人の行動が存在する場所が,場所の物理的,社会的な特徴と関連を持って分布しているからだと考えられています.したがって,場所の物理的,社会的な特徴に介入する「まちづくり」は,重要な犯罪予防の手段となりえます.そこで,犯罪やその他の逸脱行動の発生の時空間的パターンを明らかにしたり,犯罪と物理的,社会的な環境との関わりを明らかにする研究や,犯罪予防を無理なく効果的に実現するためのまちづくりの手法に関する研究を行なっています.
(主なテーマ)
都市における犯罪・犯罪不安の実態と要因
地理空間ビッグデータを活用した犯罪分析
防犯カメラや防犯パトロールなどの場所に介入する犯罪予防策の取り組み実態把握と効果検証
公園・店舗・住宅・大学キャンパスなどの場所ごとの犯罪予防
防犯まちづくりの効果的な方法論の開発
農作物窃盗や金属盗等の農村地域における犯罪とその予防
子供・女性への脅威事案を対象とした研究
日本の郊外住宅地では,今後,少子高齢化,人口減少が急速に進み,管理が放棄された土地(空閑地)が大量に発生することが懸念されています.こうした空閑地は,放置されると周辺に様々な迷惑を及ぼしますが,資源として上手に活用できれば,逆に周辺の住環境の価値を高めることもできます.そこで,大量に発生する空閑地を地域の半公共空間として上手に活用し,そこに新たな人間との関係性を創り出すことで,むしろ郊外住宅地が抱える様々な問題が解決された魅力的な住環境,「低密だが持続可能」な都市像を探求するための研究を行なっています.
(主なテーマ)
都市郊外部における空閑地の地理的分布と拡大プロセスの解明
空き空間と非地縁活動のマッチング事業の評価
諸外国での空閑地を活用したコミュニティガーデンの事例調査と日本での応用可能性の検討
農ビジネスや多拠点居住,新モビリティ等を活かした低密かつ持続可能な社会の可能性検討
土地の暫定利用を通じた地域住民の生活支援,見守りの可能性の検討
郊外版のWalkability指標の検討
自立した生活のために様々な人からの社会的サポートが求められる人々(高齢者,子ども,障がい者,外国人,不登校の子供,刑務所出所者など)がいます.そうした人々の生活上の問題を明らかにしたり,公共空間での地域との社会関係の構築を通して,無理なく地域の人々がその生活を支えることのできるコミュニティ(ケアリング・コミュニティ)を形成するための方法を研究しています.
(主なテーマ)
刑務所出所者の再犯防止と就労支援
高齢者や障がい者の生活支援の視点からみたコミュニティガーデンの意義
子どもの移動自由性と保護者のセキュリティ意識との競合関係
公共空間での他者への援助行動と信頼の役割
更生保護施設やフリースクールなどの施設における地域との関係構築の実態解明
公共空間を活用した外国人と日本人の交流の場づくり
地理空間情報は,位置情報ビッグデータの時代を迎えています.大量,多種,常に生産されるデータをまちづくりにどう活用するのか.この問いに対して,人による地理空間情報の利用の面からアプローチしています.空間と結びついた様々な情報をデジタルデータ化するツールの開発・応用や,地理空間情報を現実の社会課題解決のために応用するための方法論,既存の地理空間情報から新たな価値を創出するための技術を明らかにする研究を行っています.
(主なテーマ)
流動人口データ,ラベル付き人流データに基づく都市空間の利用実態の把握
場所と関連づけられた人々の思い出の収集と分析
GPSを用いた人間活動の計測とシミュレーション
Google Street Viewと機械学習を用いた社会推論の可能性
危険情報の効果的な見える化と人への伝達方法の検討
スマホによる歩行者ナビと認知地図との関連
地理空間情報を活用した「星景」の発見
環境心理学は,人間と環境との関連全般を扱う学問領域です.都市空間の認知・評価・行動や,都市のイメージ,認知距離,場所愛着,領域性,混雑,居住地選択,経路選択,回復環境,自然環境,環境配慮行動など,環境心理学に関するテーマ全般を扱います.
(主なテーマ)
場所愛着(地域愛着)の形成要因と行動への影響
空間の領域性表現としてのみどりの可能性
混住寮における異文化交流の促進要因
自然環境によるストレスからの回復効果
被災により失われた愛着のある風景の調査