ここでは眼球運動を計測する研究の方法、とくにTobiiとEyeLinkのデータをMatlabで解析する方法について説明します(※)。
TobiiはMRI compatibleではないので、行動実験のときに使用しています。二人同時にデータを取得するハイパースキャニングHyperscanningを行うこともできます。Tobiiで取得した眼球運動のデータは以下のように解析を行って、固視Fixationを抽出します。
Matlabでデータを読み込みやすいように、tsvファイルをExcelで開いて、xlsxファイルとして保存します。
データ抜けの補完(Gap fill-in)を行います。これは、データ抜けの検出(Gap detection)と線形補間(Gap filling)から成ります。
数値をADCpxからピクセルpixelに変換します。小川の場合はシンプルで、HD解像度を使っているので1080を掛け算するだけです。
メディアンフィルタ(サイズ5)を用いて、時間平滑化temporal smoothingを行います。
座標をピクセルから視野角に変換します。
速度を計算して、速度しきい値以下の固視Fixationの候補を識別します。これにより固視候補リストができます。
固視Fixationの候補を結合します。設定した固視時間以下、かつ、2つの固視候補の角度が設定したしきい値以下の場合に結合を行います。
短すぎる固視候補を削除します。これで固視リストが完成します。
解析目的に応じて、刺激や反応に同期した固視を固視リストから取り出します。
EyeLinkはMRI compatibleなものがあるので、MRI実験のときに使用することが多いです。EyeLinkで取得した眼球運動のデータは以下のように解析を行って、固視Fixationを抽出します。
EDFconverter (edf2asc)を使ってedfファイルをascファイルに変換します。この時点で固視Fixationが識別されています。
ascファイルから固視リストを作成します。解析目的に応じて、刺激や反応に同期した固視を固視リストから取り出します。
※Eyetribeは、Tobiiとデータ形式がほぼ同じですので、Tobiiと同様のデータ解析を行うことができます。ただし、サンプリング周波数が低いこと(30Hzまたは60Hz)に注意してください。