My main research interest concerns the neural basis of decision-making in humans (e.g., neuroeconomics). The influence of attention and intention on decision-making is also my issue in scientific research. I use functional magnetic resonance imaging, transcranial magnetic stimulation, eye-tracking, psychophysics, and computational modeling techniques to investigate those processes in the human brain. I also pursue the neuroscientific issues about functional interactions between brain areas (e.g., dynamic causal modeling) and decoding the cognitive processes (e.g., convolutional neural network, support vector machine). In the years to come, I would like to develop these studies and use other neuroimaging techniques to carry out multidisciplinary investigations.
我々人間の行動はそのほとんどが脳により決められます。感覚情報が脳に入力され、処理が行われ、意思決定がなされ、行動として表出されます。私は、この脳の情報処理が様々な場面に応じて柔軟に決まる知的過程に興味を持って研究しています。とくに、身体や脳の状態、それに社会的状況がどのように意思決定に影響するかを調べています。私の研究の特徴は、情報処理の内容を推定する数理モデルを用いることにあります。数理モデルには、外界から入ってくる情報だけでなく、個人ごとに異なる要素も含めて解析をすることができます。ベイズ統計や機械学習(深層学習を含む)による先進的なデータ解析方法も用いて、人間の柔軟な知能に関する深い理解を目指しています。
また、意思決定における情報処理の内容を反映する脳活動を調べています。脳活動の計測には非侵襲的な磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging, MRI)を用います。また、注意対象を調べられる眼球運動計測法(eye-tracking)などを一緒に用いることもあります。
・機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いた脳活動イメージング研究
社会的な意思決定に関わる課題をMRI内で実験参加者に行ってもらい、そのときの脳活動をfMRIにより計測します。課題を行うときに使った脳の場所では、神経が活動することで酸素が必要となり、血中の酸素化のレベルが変わります。その変化をMRIの信号として捉えます。数理モデルと脳活動を対比させることで、脳のどの場所が社会的な意思決定にどのように関わったのかを明らかにする研究をしています。
また、安静時の脳血流量(Cereabral Blood Flow, CBF)も計測しています。ここでは、fMRIの一つの方法であるpCASLという計測法を用いて、何も課題を行っていない状態、すなわちベースラインとなる脳活動を研究しています。
・定量的磁化率マッピング(Quantitative susceptibility mapping, QSM)などを用いた脳の状態推定
QSMは脳などの撮像対象の組織がもつ磁化率を定量的に評価して画像化するMRIの方法です。主に鉄成分とミエリン鞘を反映するので、それらの時間変化などを調べることができます。QSMを用いて脳内の鉄成分の周期的な変化などを調べる研究を進めています。また、化学交換飽和移動イメージング(Chemical exchange saturation transfer, CEST)を用いて、脳内のグルコースなどを画像化する研究も行っています。QSMやCESTの画像には、個々人の脳の状態を反映する情報が含まれていると考えられます。それらが意思決定をはじめ、脳の高次機能とどのように関連しているか、どのように個人差を生み出しているかについて研究しています。