日本地理学会2025年秋季学術大会(弘前大学)の一環として、1泊2日の下北ジオパーク巡検を開催します。
集合: 9月22日(月)11:10 JR大湊線 下北駅(青森県むつ市)
解散: 9月23日(火)18:00ごろ 同上
企画: 鈴木比奈子(専修大)*,河本大地(奈良教育大),新名阿津子(高知大),宮原育子(宮城学院女子大・名誉)
キーワード: ジオパーク,地域振興,下北ジオパーク,青森県むつ市
1. 巡検の主旨
日本地理学会ジオパーク対応委員会では、これまで2010年、2011年、2013年に現地巡検を開催してきた。ジオパークを実際に体感してもらい、地域がもつ資源を知り、未来を考え、地域を応援することが目的である。
今回は、学会が青森県開催ということで、同県内にあり、本州最北の下北ジオパークを対象として巡検を開催することとした。主に津軽海峡と陸奥湾側のエリアを巡り、本州最北端の自然と人々の営みが織りなす「まさかりの大地」を学ぶ。本巡検を通して、下北半島の地形や日本の地方がおかれている現状について体感し、議論することが目的である。
なお、本巡検は、日本地理学会ジオパーク対応委員会が主催し、下北ジオパーク推進協議会事務局が共催する。
2. 下北ジオパーク
下北ジオパークは、青森県むつ市、大間町、東通村、風間浦村、佐井村が構成団体となり運営されているジオパークで、2016年9月に日本ジオパークに認定された。「海と生きる「まさかり」の大地 〜本州最北の地に守り継がれる文化と信仰〜」をテーマに、恐山をはじめとした地質遺産が保全されているジオパークである。周辺を太平洋、津軽海峡、陸奥湾に囲まれた下北半島は、金太郎がもつ「まさかり」に例えられている。
3. 巡検ルート
JR大湊線下北駅に集合し、下北半島の西部を中心に巡る(図1)。
・9月22日経路:
海岸段丘や津軽海峡などの自然景観を中心に見学を予定。JR下北駅集合―大畑八幡宮―下風呂温泉郷(昼食、散策)―大間崎―佐井村(民宿みやの泊)
・9月23日経路:
「日本で最も美しい村」連合に加盟している佐井村など、津軽海峡側の人々の営みを中心に見学を予定。佐井村村内見学(昼食含む)―仏ヶ浦―牛滝―脇野沢漁港―サンマモルワイナリー―下北駅
👈図 1:下北ジオパーク巡検経路
・大畑八幡宮(むつ市)
薬研をはじめ下北の各地で生産されたヒバ材は、江戸時代〜明治時代には船で、大正時代以降は鉄道で全国各地へ運ばれた。そのヒバ材で建造された大畑八幡宮を見学し、地域の生活を知る。
・下風呂温泉郷(風間浦村)
温泉の硫黄をふくむ泉質である下風呂温泉は、室町時代から湯治場として知られ、津軽海峡を望む温泉郷である。「下風呂」という地名は、アイヌ語の「シュマ(臭い)・フラ(岩)」が由来と考えられている。風間浦村西部からは海成段丘が発達しており、気候と地殻の変動を見学する。
・大間崎(大間町)
大間崎は、幅約20㎞の津軽海峡を望む本州最北端の岬である。日本海と太平洋をむすぶ津軽海峡には、季節ごとに移動する魚が海流にのってやってくるため、これらをえさにするマグロが集まる町として有名である。段丘面上では牧畜により大間牛が生産されており、「陸まぐろ」とも呼ばれている。生物分布境界であるブラキストン線でもある大間崎を体感する。また、大間から宿泊地である佐井の間には、「材木石」と呼ばれる柱状節理のある岩石が多く見られ、屋根の重しや石垣の材料として活用されている(図2)。それらの景観も見学する。
👈図2:材木石(写真提供:下北ジオパーク)
・佐井(佐井村)、牛滝(佐井村)
「日本で最も美しい村」連合に加盟する佐井村は、人口1891人(2025年6月30日時点)の津軽海峡に面する下北半島のまさかりの刃の部分に位置する自治体である。室町時代からヒバの産地と積み出し港として栄え、北前船や弁財船がもたらした上方の文化が今もなお受け継がれている。一方で、人口の6割は佐井村の中心地区である佐井地区に集中し、村全体の人口は減少し続けている。牛滝地区は佐井村の最南端に位置し、2021年までに小中学校が閉校になったものの近年再開し、報道などでも注目されている地区である。
・仏ヶ浦(佐井村)
仏ヶ浦(図3)は、約400万年前の水中噴火によって形成された凝灰岩で構成される奇岩巨岩群である。国の天然記念物として指定され、凍結融解作用により削剥した奇岩や雨水の流下の痕跡が残る.日本語の「ホトケ」とアイヌ語の海辺・砂浜を表す「ウタ」から「仏宇陀(ほとけうだ)」と呼ばれており、転じて仏ヶ浦となったと言われている。図3:仏ヶ浦(写真提供:下北ジオパーク)
👈図3:仏ヶ浦(写真提供:下北ジオパーク)
・脇野沢(むつ市)
脇野沢は海底火山の噴出物が観察できる地区で、鯛島枕状溶岩を観察することができる。夏期にはカマイルカが回遊することで知られ、イルカウォッチングも開催されている。冬期はマダラが回遊してくることから地域の特産品としても知られている。
・サンマモルワイナリー(むつ市)
下北半島は冷涼なため、ワインの原料となるぶどうに適した北緯30度から50度の条件に当てはまる地域である。本州最北のワイナリーの土地条件や栽培の様子を見学する。
4.募集人員
15名程度(先着順、会員限定)
5.参加費
25,000円程度(バス代、保険、宿泊費(1泊2食付き)、昼食代込み)。参加人数によってバス代が変動するため,参加人数確定後に決定します。
6.申込締め切り
8月26日(火)(定員に達し次第締め切ります)
7.申込先
Googleフォーム👉 https://forms.gle/YiBmJ1PcmLFjuPNb8