この記事はSimutrans Advent Calendar 2023に参加しています。
みなさんこんにちは。ahakuokuです。
今回は、Simutransにおけるリアルな国鉄形配線の組み方について解説します。
なお、私もこの手の配線については割と初心者な方ですのでもしかしたら的外れな解説になっているかもしれません。何卒ご了承ください。
国鉄形配線。そう言われると大半の方は東北本線などのJR幹線によくある感じの2面3線の駅を想像される方が多いかと思います。
▲よくイメージされがちな国鉄形配線の例
しかし、私は国鉄形配線の真髓はこれではないと考えます。
国鉄形配線の真髓というもの、それは運転上の拠点駅(≠ターミナル駅)です。
それでは、今回は運転上の拠点駅の配線を作ることを目指して解説していきたいと思います。
本格的な解説に入る前に、国鉄形配線で注意すべきものについて解説します。
国鉄形配線ではやむを得ない事情がある、もしくは電車のみが通る線路以外では基本的に避けるべきでしょう。
機関車列車(特に蒸気機関車)は電車以上に勾配に弱いです。
瀬野八(22.6‰)のような電車では難なく上り下りできる勾配でも、機関車列車ではボトルネックになります。
Simutransにこれを反映させるのであれば、勾配の間を数マス開ければそれっぽくなるかと思います。
使うことで使用する土地を削減できる場合や線路容量逼迫が緩和できる場合以外はむやみやたらに使わないようにしましょう。
後述するシングルスリップスイッチやダブルスリップスイッチほどではないですが、保守の手間が増えます。
景観用線路であれば、片開き線路があると思いますのでそれを使えば表現できるかと思います。
用地の制約上どうしようもない場合以外は絶対に避けるべきです。
シーサスクロッシング以上に保守が大変ですので、特に国鉄では採用例もあまりありませんし、私鉄でもむやみやたらには使われません。
ヨーロッパのターミナル駅では多用されていたりもしますが、日本でそのような配線をしたら保守担当の人間から石を投げられるでしょう。
ポイントとポイントの間を1マス開ければ、そのようなものを使っているとは取られないはずです。
「駅の役割?とりあえずこれぐらい電車が発着するし、こういう運行形態にしたいから、これをこうして…」と考えているかもしれませんが、ちょっと待ってください。
電鉄であればそれでいいと思いますが、国鉄では違います。電車や通過していく貨物列車のみならず、過去にはこのような役割もありました。
機関車の機回し
客車の留置・入換・組成
現在では旅客駅となっている駅での貨物扱い
荷物扱い
機関庫
といったところでしょうか。
また、国鉄形配線では過去には旅客駅にもそのような役割があったという歴史を軽くでもいいので考えましょう。
「なんでここにこんなポイントがあるの?」というものは、そういうものの名残であったりします。
では、各役割ごとに必要なものはなんでしょうか。
この項では、用途別に必要なものを解説します。
とりあえず最低限の旅客扱い機能だけを備えた基本形について説明します。
▲国鉄形配線の基本形。基本的にこれをベースにして機能を付け足していく形で配線を組む。
先ほども出した画像ですが、これが国鉄形配線の基本形になります。よくある2面3線の国鉄形配線ですね。
一番上のホームの線路に面していない側に駅舎があり、大抵のケースでは島式ホームとは跨線橋で結ばれます。
また、ホーム長も長く取りましょう。2面3線あるような駅では最低でも旅客列車10両分ぐらいはあるはずです。
では、これに旅客ホームを足してみましょう。旅客ホームが足される場合は基本的に駅舎と反対側に1面2線が足されます。
旅客ホームが足される理由としては、支線が分岐したり、大規模駅で1路線あたり2~3線では足りないという場合がほとんどです。
今回の例では、複線の本線から単線の支線が分岐する3面5線の駅を例示します。
実際の国鉄形配線では、そのような駅には側線が足されるケースがほとんどですが、解説のため省略します。
▲1面2線のホームと単線の支線をつけてみた例。側線がないのを除けば多分こんな感じだと思う。
足してみました。支線が実際に分岐するまでもう少し距離に余裕があれば右にあるシーサスは片渡りx2にしても問題ないかと思います。
また、支線用ホームで有効長があれば本線用のホームより短い方がそれっぽくなるでしょう。
ところで、この配線をSimutransでやると「左へ向かう本線の列車が1番線を通過する」現象が発生することがあります。
この配線に限らず、Simutransで国鉄形配線をやるとありがちな現象ですのでその場合は中継点を置きましょう。
一旦基本形に戻って、今度は側線を足してみましょう。
側線を足すことで、車両を留置することができます。
基本形のような分岐もないただの2面3線の駅に側線が足されることはあまりありませんが、解説上側線のみを足します。
側線の数は駅規模にもよりますが、Simutrans上で表現するなら最低でも4線ぐらいあった方がいいでしょう。
▲側線を足してみた例
側線を足してみました。側線にいる機関車列車がホームに入りやすくするように両側に引き上げ線を設けるのがポイントです。
今回は解説上側線のみを足していますが、基本的に先ほどの基本形に貨物扱い以外の何らかの機能が足されている場合に側線が足されます。
側線の有効長は必ずしも旅客ホームの有効長と同一である必要はありません。
また、駅舎と反対側に側線が置かれているケースがほとんどですが、必ずしもそうする必要はありません。
ただし、駅舎の機能に支障が出る状態にしたり、建物を大規模に破壊したりしないように十分注意しましょう。
また基本形に戻って、今度は貨物扱い機能を足してみましょう。
過去には旅客駅と貨物駅の区別がなく、現在旅客駅となっている駅でも貨物扱いを行っている駅が大半でした。
といっても、現代の貨物駅のような派手な設備があるわけではなく、かつての二軸貨車が1~2両だけしか置けないような設備でした。
▲ホーム右上にあるのが貨物ホーム
貨物扱い機能を足してみました。大抵の駅では貨物ホームは1線のみですが、主要駅となると2~3線ほど確保されることもあります。
貨物ホームは大抵アドオンにある古い見た目のホームのような見た目をしていることが多いです。屋根が付いていることもありました。
ただし、石炭のようなばら積みにあたる貨物を扱う駅は低床ホームでした。
そんなところに貨車を置いてどうやって運ぶねん、と言うとヤードに持って行っていたわけです。
機関車列車は、基本的に折り返し時に機回しが必要です。
しかし、規模の大きな駅では他列車に邪魔されて機回しが満足にできない場合がありますので、その場合は機回し線の出番です。
なお、解説用の画像では解説上基本形に機回し線を足しただけの配線を紹介しますが、そのような規模の駅で機回し線が必要になることは基本的にありません。
▲機回し線を足してみた例
機回し線はホームとホームの間に追加します。
ホームの間に追加される機回し線が1線である必要性はありません。主要駅ともなれば2線になることもあります。
他列車との干渉を意識してみるといい感じのものが出来上がるかもしれません。
次は、機関庫を足してみましょう。
といっても、扇形機関庫はSimutransでは作れません。ではどうすればよいでしょうか。
Simutransでも作れる車庫としては、本線と並行になっている車庫といったものがあります。
では、そのような車庫を作るにはどうすればよいでしょうか。
蒸気機関車を収容する機関庫には転車台が必要ですし、給水・給炭設備も必要です。
また、蒸気機関車は基本的に航続距離が短く、50~100kmほどの距離しか連続して走れません。
それに注意して配線を組んでみましょう。
なお、例によって基本形に機関庫だけを足した配線例を出しますが、そのような規模の駅に機関庫は基本的に併設されません。
▲機関庫を足してみた例
機関庫を足してみました。駅舎の反対側にある線路が機関庫です。
側線と異なり、本線の双方につなげる必要はあまりありませんが、つなげてはいけないわけではありません。
どのような設備があるかは配線略図では示しにくいところがあるので、文章での解説を行います。
まず、機関庫のうち上の2線が実際に機関車を収容する線路です。実際にあるものは機関車1~2両程度の長さでしょうか。
一番下の線路は給炭・給水設備です。
下から2番目の線路は機関車を駅まで送るための線路です。また、その線路の一番右のところには転車台がある想定です。
「まだあるのかよ」と思われた読者の方、長々と書いてすみません。個々の役割の解説はこれが最後です。
国鉄形配線においては、必要なくなった駅設備が撤去されることがあります。
例えば、貨物ホームや中線はよく撤去の対象になったりします。
そのような駅の配線例を紹介します。
▲貨物ホームと中線が撤去された例
貨物ホームと中線が撤去されると大抵このような配線になったりします。
貨物ホームの撤去理由は貨物輸送の整理であるとわかりますが、中線の撤去理由はやはり列車本数の減少でしょうか。
お待たせしました。それでは、実際に配線を組んでみましょう。
今回配線を組む駅の条件としては、このようなものになります。
1950年代後半頃
重要幹線の電化/非電化の境界駅
単線の支線が分岐する
ここからはシムトラのスクショも交えて解説します。
まず、1950年代後半頃なので、貨物ホームが必要です。
重要幹線の電化/非電化の境界駅ですので、機回し用の線路(というよりかは列車を避けて運行できるような線路)や機関庫も必要です。
また、重要幹線から単線の支線が分岐しますので、支線用ホームも必要でしょうか。
それから、この規模の駅でも基本的に側線は足されますので、側線も足しましょう。
機能を考えるとこんな感じでしょうか。東側がなんかそれっぽくない感じはしますが…
これで要求されている機能を満たすことはできるでしょう。
この国鉄形配線、リアルに寄せる分デメリットもありまして、その一つが「デッドロックしないように信号を置くと信号間隔が長くなってしまう」というものがあります。
そのような場合、以前執筆した「Simutrans OTRPでリアルな挙動をする信号を組もう」の記事を参考にするのもありでしょう。
もしくは、支線直通などをしない前提で信号を置いてしまうのも手ですが、国鉄プレイの醍醐味は半分ぐらい失われてしまいます。
長々と書いてしまいましたが、この記事は以上です。
この記事をぜひ参考にしていただき、よい国鉄プレイに役立てていただければ幸いです。
こんな長い記事をここまで閲覧いただき、ありがとうございました!