3, 4回生ゼミ(事例演習Ⅰ・Ⅱ/ 専門演習Ⅰ・Ⅱ)について
3, 4回生ゼミ(事例演習Ⅰ・Ⅱ/ 専門演習Ⅰ・Ⅱ)について
3回生配当の事例演習Ⅰ・Ⅱ、4回生配当の専門演習Ⅰ・Ⅱに関しては、同一の教員が担当するゼミに所属して2年間活動します。
この大学生活後半の2年間でのゼミ活動を通じた「経験」は、大学卒業後の皆さんの人生に少なからず影響を与えることになるでしょう。
すでに、1, 2回生でゼミ(演習)を経験している皆さんに改めて説明するまでもないことかもしれませんが、「ゼミ」は「講義」ではありません。
もちろん、ゼミも大学の授業である以上は、教育という側面も存在しますが、ゼミにおける教育の主体は教員ではなく学生の皆さんです。
さらに、ゼミ活動を通じて得られるものは、必ずしも学問的な知識に限定されません。
ゼミを通じて、より汎用性の高い思考力や表現力、他者との人間関係の構築など、どのような進路を選択した場合においても必要となるスキルをゼミ活動を通じて身に付けてもらいたいと思います。
卒業研究
北村ゼミは、各自が関心をもつ憲法上の論点を卒業研究のテーマとして設定し、学説・判例・比較憲法といった様々な観点に基づき「卒業研究」を遂行し、卒業論文としてまとめることを目的としています。
京女法学部は、卒業研究(卒業論文)が必修となっており、日本国内の大学の法学部ではかなり珍しいことです。
この点に関して、多くの学生さんが「法学部なのに卒論書かなければいけないなんて…」と卒業研究に対してネガティブな印象をもっている人ことも事実ですし、その気持ちは十分に理解できます。
しかし、卒業研究に対しては、できれば積極的な姿勢で臨んでもらいたいと思っています。
「研究成果を論文にまとめる」という行為は、どのような進路を選択するとしても、今後の皆さんの人生にとって貴重な経験になります。
自分の問題意識の整理、必要な情報の収集、論理的かつ明快な文章の執筆-これらは卒業論文の執筆という過程で皆さんが直面する課題であり、これらを乗り越える過程こそが、皆さんの成長の糧になると確信しています。
北村ゼミの特徴の特徴の一つとして、3回生の前期から具体的な卒業論文の執筆をはじめ、4回生の春に卒業論文の第1稿(12000-15000字程度)を完成させることを挙げられます。
自分の関心のある領域に基づき担当教員と協議して、具体的な研究テーマを設定することが、研究の第一歩です。
設定したテーマに基づいて、卒業研究全体の見取り図を作成し、序論としてまとめることまでが3回生前期の課題です。
その後、3回生の後期から、具体的な論点に関して、本格的に研究を進めていき、各章ごとに報告と論文執筆を繰り返していきます。
その際に重要なことは、自分の卒業研究に対して、「真剣に」かつ「楽しく」取り組むことです。
第一に、「真剣に」取り組まなない研究に意味はありません。
第二に、「楽しく」取り組まなければ研究は苦痛でしかりません。
「真剣に」と「楽しく」は、両立できるものです。
ゼミ生同士が、時に学年の垣根を超えて交流しつつ研究を遂行する場として、僕の研究室はいつでもゼミ生に開放しています。
そうした環境の中で、自らの卒業研究に真摯に向き合える人にゼミに参加してもらいたいと思っています。
毎回のゼミの場
ゼミは、受講生同士が「議論」する場です。
具体的には、自分の卒業研究に関する成果を発表し、他のゼミ生と批評しあう場です。
他のゼミ生や教員の前で報告する際には緊張するかもしれません。
ここで大事なことは、ゼミとは「成長する場」ということです。完璧な報告というものは存在しませんし、仮に存在するとしてもその場合には成長の余地がなく、ゼミは必要ありません。
「報告・議論を通じて、自分の不十分な点を自覚し、少しでも自分を成長させる」という姿勢でゼミに参加することが求められます。
また、報告者以外のゼミ生は、報告者に対して必ず生産的なコメントすることが求められます。報告に対してコメントをしないということは、報告に対して無関心であるという態度以外の何物でもなく、ゼミという場において極めて失礼な行為です。
「生産的なコメント」とは、そのコメントに基づき報告者自身の研究がより良いものとなる契機となるものを指します。
質問でも構いませんし、指摘でも構いませんが、相手の人格を尊重した上で、学術的な姿勢に基づく批判的思考が求められます。
事前に配布された報告資料を熟読し、当日は集中して報告を聞き、コメントする。
その一連の過程こそが他者の卒業研究に対する貢献であると同時に、自分自身の思考能力の向上につながります。
「よかったです」、「わかりやすかったです」といったコメントは、その瞬間のみ報告者の自己肯定感を高めるかもしれませんが、長期的には相手にとっても自分にとっても何ら生産性のないものです。
したがって、自分の発表と同様に、むしろそれ以上に、他者の卒業研究を尊重し、よい良いものにするために貢献する意思がある人にゼミに参加してもらいたいと思っています。