正規分布を含め、多くの知られている分布は左右対称である。 このような対称分布は現在では完成されていて、多くの文献でそれらを眺めることができる (Johnson, Kotz & Balakrishnan, 1995; Kotz, Balakrishnan & Johnson, 2000)。 しかし、現実のデータは対称とは限らず、むしろ非対称であることが自然である。 非対称な分布としては正の領域で定義されている 指数分布やそれの拡張と見なせるGamma分布やWeibull分布等ある。

一方で、データの存在領域が実数全体で解釈しやすい歪みのある歪対称分布として近年、 脚光を浴びつつある最も有名なものはAzzalini (1985) が提案した正規分布を歪めた歪対称正規分布がある。

当時は少数のデータであれば正規分布の方が使いやすいということもあり、対称分布の研究はあまり注目されなかった。近年になり、ビッグデータの流れができ始めると、データに歪みが入っていることがはっきりと観測できるようになり、正規分布では捉えきれない現象も捉えようという時代になってきた。 また、歪対称分布の研究が改めて注目を浴びるようになり、 Azzaliniらの手法を用いた新しい歪対称分布が提案されるようになってきた。

このAzzalini 型の分布族は生成の仕方が容易であるが 単峰性が自然に保証されていない、Fisher情報量が退化してしまう、等の欠点を持っている。