ピンホールカメラプロジェクト
昔からある教材の一つに「ピンホールカメラ」があります。
小さな穴を通過した光をフィルムや印画紙に当てて写真を撮ることが可能です。
光の特性を学習する教材として使われてきましたが,これを令和の時代に対応したSTEAM教材として復活させたいと思い,教材開発プロジェクトをスタートしました。
●教材の開発目標
1.3Dプリンター,レーザー加工機などデジタルファブリケーションの活用
2.フィルムや現像液が入手困難なことから,チェキのフィルムを利用
3.光を中心としたサイエンスを楽しみながら学習できるカリキュラムの開発
4.ホームセンターや100円ショップで入手可能な部品も活用し,短時間での製作,学習を可能とする。
5.子どもたちがレンズを交換したり,焦点距離を変えるなど自ら課題を発見し解決できる要素を取り入れる。
試作 その1 ~オーソドックスなピンホールカメラ~ 2022/12/8
目標
最もオーソドックスなピンホールカメラを3Dプリンターで製作する。
用意するもの
・3DーCAD(Thinker CADを使用)
・3Dプリンター
・トレース用紙
・セロハンテープ
手順1 Thinker CADでパーツをデザインする。
手順2 3Dプリンターで出力する。 stlデータはコチラからダウンロード
手順3 サポートを除去し,つや消し黒で塗装(塗装しなくても多分大丈夫…)
手順4 外筒(太い方)にピンホールレンズを装着します。 内筒(細い方)にはトレース用紙をセロハンテープで貼り付けます。
手順5 外筒に内筒のトレース用紙を貼り付けた方を差し込み完成!
実写!! 外筒と内筒をスライドすることでフォーカスをあわせます。
(左)ピンホールカメラの映像 ※実際は上下が反転して見えます。 ※フォーカスが合っていません(私の視力の問題です)
(右)iPhoneで撮影した映像。こちらの風景を撮影しています。
☆課題
光造形3Dプリンターを使っても出力時間が3時間ほどかかります。
☆改善策
胴筒を塩ビバイプ(水道パイプ)で代用し,レンズのみを3Dプリンターで出力すれば短時間で製作できるのではないかと…(最初から判ってたのですが)
試作 その2 ~チェキ&虫めがねカメラ① レンズの試作と実験~ 2023/1/5
試作その1を経て,チェキのフィルムを活用したカメラを試作することにしました。
ピンホールカメラは得られる像が鏡像(上下左右が逆転した映像)となりますが,チェキのフィルムは裏面照射型ですので現像後に得られる像は正像になるはずです。
しかし,ピンホールカメラは光量が少ないためチェキのフィルムに感光するには時間がかかってしまいます。
そこで,今回は虫めがねをレンズとして利用することとしました。
ダイソーの虫めがね(2倍・小)を使用します。
レンズマウント部を3Dプリンターで作成し,
胴筒は塩ビパイプを使用します。
組み合わせて完成!
ピンホールよりも鮮明に映ります!(鏡像)
凸レンズの集光効果によって室内の映像でも明るく映ることが確認できました!
※ピンホールカメラとの比較で同じ風景を写したかったのですが,この日はあいにくの吹雪で写すことができませんでした…
追記:2022/12/20にリコーイメージング(株)からフィルムカメラプロジェクトの始動がリリースされました。
当研究室のプロジェクトと同時期にスタートしたことを嬉しく思っております。
詳細はコチラをご覧下さい。 PENTAX Film Project Start