音楽企画課の仕事

生きる喜びを感じてもらう仕事

公共ホールに求められる『使命』は、街の大きさや文化政策の方向性、ホールの機能、予算規模等により千差万別です。したがって、「りゅーとぴあに求められることは何か」を音楽企画課の職員みんなで考え、把握することからすべてが始まります。りゅーとぴあコンサートホールは、クラシック音楽が最も美しく響くよう設計されました。ここを主な会場として、市民の皆様が音楽の美しさを深く味わい、生きる喜びを感じていただくことが、音楽企画課の仕事です。

そのために、次の業務を行なっています。

●りゅーとぴあの『使命』を実現してくださる優れた音楽家を、全国から探します。出演を依頼したい音楽家が見つかったら、その音楽家の特質が最大限伝わるよう曲目や公演の時期を調整し、広く市民の皆様にPRします。コンサート当日は、お客様と音楽家が音楽を通じて一体となれるよう、心を込めて会場の準備をします。これらの業務を、《公演企画制作》と言います。

●250人以上の子ども達がオーケストラや邦楽合奏、合唱に参加し、やがて仲間達と壮大でかっこいい音楽を演奏する喜びに顔を輝かせます。その日のために《ジュニア音楽教室》を運営し、子ども達が自分自身の努力で上達していく、その支援をしています。

●まだ音楽の喜びを知らない人に、音楽の喜びを届けていく《アウトリーチ》事業を展開しています。オーディションで選ばれた地域の音楽家と、小学生にぴったりのプログラム開発を行ない、市内のたくさんの小学校を訪問しています。

それでは、この3つの業務を少し詳しくご紹介しましょう。

《公演企画制作》 かけがえのない一期一会の瞬間のために

「趣味が仕事でいいですね!」「自分の好きな音楽家を呼べるんですか?」
この仕事をしていると、こんなご意見や質問をいただきます。しかし私達は、自分の趣味で出演者を選ぶことはありません。りゅーとぴあの「使命」を実現してくださる優れた音楽家をお招きしようと、常に心がけています。

そして、次の3つのことをとても大切に考えています。

(1)音楽を深く愛するお客様が増える、そのきっかけとなりたい。
コンサートにお客様から来ていただくために重要なのは、お客様から信頼し期待していただくこと。そこで各ジャンルのコンサートを「シリーズ制」で行ない、質の高い公演を継続して開催しています。「このシリーズなら安心ね」と、お客様から思っていただきたいのです。そして、様々な音楽体験を積み重ねた、深く音楽を愛する聴衆が増えていくことを目指しています。

(2)新潟市の魅力が一層高まる、市民に愛される場所になりたい。
「新潟市にりゅーとぴあがあってよかった」「りゅーとぴあがあるからこれからも住み続けたい」と市民の皆様から思っていただける、そんな存在になりたいのです。そのために、誰もが聴きに行きたいと思う公演や、ホールの敷居が低くなるような事業を展開しています。

(3)新潟市の特長の一つとなり、地域をアピールする道具になりたい。
新潟市以外の日本全国、あるいは海外の皆様に、新潟市を理解していただくときの文化的な「顔」となりたいと願っています。そのために、明確なポリシーや一貫性を持ち、特徴あるインパクトの強い事業を展開しています。

私達、音楽企画課のスタッフが、東京や大阪でコンサートを聴くときはいつも真剣勝負です。「この方を新潟市にお招きしたら、どんな素敵なことが起きるだろうか」と考えながら、耳を澄ませます。

「この方こそお招きしたい」という音楽家が見つかっても、すぐにコンサートができるわけではありません。開催時期や予算状況、他の企画との兼ね合いなど、調整しなければならないことは数多くあります。また、その音楽家の魅力が最大に発揮されるよう、どんな曲目で演奏していただくかも相談しなければなりません。出演する音楽家と公演日、曲目が決まったら、今度は市民の皆様にプレゼンテーションです。その音楽家が奏でる音が、どれほど素敵なのか。このコンサートに来てくださったら、どんな喜びが待っているのか。もし、まだその音楽家のことをご存知なかったとしても、どうか私達を信頼してコンサートにお越しくださいとPRします。

そして当日は、万全の準備を整えます。楽屋、ステージわき、舞台・・・ロビーでも、お客様をお迎えするための準備を整えます。こうして、いつ「奇跡の瞬間」が訪れてもいいようにするのです。音楽家とお客様が共に過ごす時間が、一期一会のかけがえのないものとして心に残るように・・・。

公演実現まで、時には10年以上かかることもあります。しかし音楽によってステージと客席が一体となったとき、それまでの苦労は一瞬で報われます。

《ジュニア音楽教室》 子ども達の成長を目の当たりにする瞬間

かけがえのないものと言えば、子ども達の成長する時間もその一つです。ぐんぐん能力や才能を伸ばすことができる子ども時代は、無限ではありません。しかし、時と場所を用意すれば、彼らは信じられないほどの輝きを放ちます。私達は音楽を通じて、そのような場を作っています。

新潟市ジュニア音楽教室は、3つの団体から成り立っています。ジュニアオーケストラ教室、ジュニア邦楽合奏教室、ジュニア合唱団です。いずれも、全く楽器をやったことがなくても、たとえ楽譜が読めなくても参加できます。そして周囲のサポートを受けつつ本人が努力すれば、数年後にはプロの音楽家が演奏する曲にも挑戦できるようになります。参加したときは小さな小学生だった子が、高校生になって堂々と演奏し、仲間達をひっぱって音楽を創っていく姿は何度見ても感動的です。子ども達はここで音楽の喜びや奥深さを知り、一生の友となる仲間と出会い、お互いに成長します。私達スタッフは、その姿を最も近くで見ることになります。もちろん様々な問題が発生し、どうしたらいいか一緒に頭を悩ますこともしばしばです。《公演制作》が短距離走、あるいはせいぜい中距離走なのに比べて、ジュニア音楽教室の仕事は終わりのないトライアスロンのようなものです。でも、演奏会が終わって、子ども達が晴れやかな笑顔で喜びを分かち合っているのを見ると、長く続いた苦労をはるかに超える喜びを覚えるのです。

それからもう一つ。これは大人の皆様はきっとうなづいてくださると思うのですが、子どもの頃に覚えた音楽は、一生忘れないものですよね。このジュニア音楽教室で演奏した曲は、子ども達の中に一生残ります。そして楽しいとき、つらいとき、折に触れて心に蘇り、支えていくことでしょう。

これって、とても素敵なことではありませんか。

《アウトリーチ》 それは地域に生きる人達の幸せに直結していく

まだ音楽の喜びに出会っていない人は、実はたくさんいらっしゃるように思います。もちろん「私には音楽なんて関係ない」というお考えを、否定するつもりは全然ありません。でも、もし食わず嫌いでしたら、「一度、お試しになってはいかがでしょう」とおすすめするのが、《アウトリーチ》です。

りゅーとぴあ音楽企画課では、準フランチャイズ・オーケストラである東京交響楽団の楽団員と行なうアウトリーチと、新潟在住・出身の音楽家と行なうアウトリーチの2つを実施しています。特に時間をかけて取り組んでいるのは、新潟在住・出身の音楽家と小学校を訪問することです。オーディションで選ばれた音楽家と、何度も何度も相談を重ねて小学4年生向けのプログラムを作り、小学校の音楽室などで生演奏を聴いていただきます。小学生の皆さんは好奇心旺盛ですが、ちょっと演奏が悪かったり進行の精度が落ちたりするとすぐに集中力を失います。演奏する側を忖度しない、実は世界一厳しい「聴衆」なのです。

そんな小学生の皆さんに音楽の喜びを知っていただくためには、演奏の質を高めることと共に、いろんな作戦、工夫が必要です。私達は音楽家と相談を重ね、ありとあらゆる工夫を盛り込んで45分間のプログラムを制作します。そして小学生から単に「楽しかった」だけではなく、その先の「音楽が好きになった」「もっと音楽のことを知りたい」「音楽をやりたい」という思いを引き出したいと願っています。

実はこの《アウトリーチ》、小学生のためだけにやっているのではありません。一年間に十数回も小学校に行っていると、音楽家自身が鍛えられ、その技量や音楽性を各段にあげていきます。新潟市に優れた音楽家が増えていく。それは、新潟市に生きる皆様の幸せに直結することなのだと思います。私達はこの活動を通じて、たくさんの子ども達が音楽の喜びに出会うことと、子ども達が憧れる優れた音楽家がたくさん生きている街を作りたいと願っています。

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