Gastroenterology project team

 

 犬の慢性腸疾患に関する研究

   犬慢性腸炎は食物抗原などに対する腸粘膜の過剰な免疫反応に起因する腸管の慢性炎症性疾患であり、腸粘膜へのリンパ球の浸潤を特徴としています。慢性腸炎を発症した犬は持続的な下痢による消化吸収不良を呈し、重度の場合には死に至ることもあります。慢性腸炎の治療には食物抗原を加水分解した低アレルギー食などの食事療法、炎症を制御するためのステロイド剤等の免疫抑制剤が用いられており、これらの治療に良好に反応して長期生存できる動物が存在する一方で、難治性であり1年未満で死亡する動物も存在する。慢性腸炎が難治性となる機序の一つとして、病変に浸潤したリンパ球がリンパ腫という悪性腫瘍へ進展する可能性が挙げられる。つまり、「腸炎」を起こしているリンパ球自身が炎症刺激の持続により「リンパ腫」に進展する「炎症から発がん」が生じている可能性である。我々の研究室では、「腸炎からリンパ腫への進展」に関わる機序を明らかにして、新規診断マーカーの開発、治療ターゲットの創出に発展させることを目指しています。

研究資金

犬の慢性腸炎からリンパ腫への進展:悪性化に寄与する遺伝子の同定と診断・治療応用(科研費2023-2025年)

 

研究業績(*責任著者)

Ohta H*, Yamazaki J, Jelinek J, et al. Genome-wide DNA methylation analysis in canine gastrointestinal lymphoma. J Vet Med Sci 2020; 82(5):632-638.