本研究では,高校生が物理現象を効率的かつ効果的に学習できる「物理学習支援用 RT 教材」の開発を目標としている.RT 教材の開発において,筆者らは,物理現象を生徒自身の五感で体感することの重要性を考え,RT を用いた諸物理量の感覚化に注目した.まず,高校物理の力学分野で学習する物理量を整理し,それらを計測可能な物理量と,組立物理量(理論式から得られる物理量)に分類した.そして,分類された各物理量間の相関関係を図式化して提示することで,各物理量の意味と関係性が視覚的に把握できる学習ツールを提案し,その学習効果を確認した.これに基づいて分類された物理量を,それらの物理量の定量化に対応できるセンサ群の選定および同センサ群を適切に配置した物理学習支援用ロボットを開発し,その評価を行なうために授業を実施した結果,その学習効果を確認した.
近年注目を集める IoT,ビッグデータ ,AI,ロボット などの技術は産業構造に大きな変革をもたらす第四次産業革命技術と呼ばれている .日本でも超スマート社会 「Society5.0」の実現を目指して ,これらの技術の 社会実装が進んでいるが ,それらを担う理工系人材の需要と供給にギャップが生じている .この 需給ギャップを埋める ためには , 高校生が情報技術 を基盤とした科学技術 に興味を持って学習し ,理工系人材へと成長するような新しい教育手法 が必 要である .先行研究により「 IoT学習環境 」と「ロボット教材」は 高校生 の情報・ 科学技術への意欲・関心を高める上で効果的であると 多くの 報告 がある. IoT技術とロボット技術を融合した教材システム を開発,教育実践することにより ,生徒 の意欲・ 関心を高めることが できるのではないかと考える. ICT・IoT教育において ロボット教材を活用した IoTシステム構築実習の 効果的な 学習指導計画 を提案し ,その授業実践 を実施している.
モデルベース開発(MBD)学習
S-coRT社製の教材ロボットでMATLAB/Simulinkによる【倒立制御】