社会インフラの老朽化が深刻な社会問題となっている昨今において,防食塗装のメンテナンスについてロボット技術等を活用した作業の自動化· 効率化を実施するために多くの研究が行われている.本稿では,屋外での塗装作業ロボット化における品質管理に欠かせない,未乾燥塗装膜厚計測を同軸プローブ法を用いて実現のための基礎検討について検討している.同軸プローブの中心導体露出部と未乾燥塗装膜を接触させたときの等価回路を交流特性から示した.これは,外部導体に被覆された部分と,中心導体の空気中に露出した部分及び,その先端部分の未乾燥ウェット塗装膜と接触した部分の容量の並列接続の等価回路として考えられることを示した.また,測定試料の塗装膜厚T を変化させたときの反射係数S11 の変化特性は,T が0μm から200μm と増加するにつれて,S11 が低下することが分かり,同軸プローブを用いて未乾燥ウェット塗装膜厚の変化を検知できることが示唆された.今後の課題として,印加する高周波電圧の周波数帯によってS11 の変化特性の傾向が異なること,塗装膜厚T とS11 の関係性を明らかにすることによってウェット塗装膜厚の計測手法の確立を進める予定である.