地震・水害等の自然災害と、COVID-19のような世界的な感染症蔓延(パンデミック)では、社会と事業継続計画への影響が異なります。自然災害は突然起こり、施設・設備等の社会インフラへの被害が大きいですが、局所的な発生であり周囲からの支援を受けることができます。一方、パンデミックの場合は段階的に起こり事業継続計画の準備時間がありますが、人に対する被害が大きく、影響は全世界的で長期的のため、予測は困難で周囲からの支援を受けにくく、国・自治体・各地域・各組織で独自に 感染リスク・社会的責任・経営面を勘案して、主体的に事業継続のレベルを決めることが求められます。
感染の流行期は長期化する恐れがあるため、研究室での感染拡大防止対策をしながらの研究継続が求められます。例えば、発熱者が発生した場合にはこれまで以上の自宅待機期間を求められる場合があり、業務のシェアや在宅可能業務の拡大などにより対応をすることが望まれます。このように、感染防止対策はこれまでの研究環境管理や働き方を大きく変えるものですので、業務との調和を図って研究継続への影響を最小限に抑える工夫が必要です。また、今後の科学的知見や経験知、ワクチンや治療薬の進歩などの変化は今後の働き方にも影響を与えるものであり、適宜対応できるように健康管理の専門職と連携をして情報をモニタリングしておく必要があります。
クラスター(集団)発生のリスクが高いのは密閉、密集、密接の3つの条件がそろう場所です。具体的に想定されるのは通勤時の公共交通機関や会議室などです。これらの状況を避けるために通勤ラッシュの時間帯を避けての通勤・自動車での通勤・在宅での勤務を行ったり、会議はWeb会議を利用したりするなど対策を心がけてください。また、可能であるならデスクで人が向かい合わせにならないよう、他の人との距離が近くなりすぎないように配置の変更も検討してください。クラスターが発生した場合には多くの勤務者が自宅隔離の状況になり、結果的に業務に大きな支障が出る可能性が高くなります。クラスター発生となった場合にはその情報がニュースで拡散されることにより大学のイメージダウンなどにつながる可能性も考えられます。ほかにも研究室によってはクラスター発生の原因となりうる様々な環境が考えられますので、研究室全体でクラスター発生予防の意識を持つようにして対策を講じてください。
(作成中)
キャンパスの再開・出勤を伴う学内勤務の再開条件を事前に検討しておく必要があります。また、各職場毎にも、同様の事務所再開条件を検討します。検討する際には、以下の要素を加えて計画を立ててください。
①職場の教職員の現在の健康状態と日々の健康状態共有方法、②教職員の居住地域/職場地域の感染推移、③再開時の人員計画(同時出勤は20%程度とする出社シフトを組む等)と業務計画(学内からのみ可能な勤務と在宅勤務で可能な勤務の再切分け、出勤した職員の業務負担が過重にならない業務調整)、④再開時の安全衛生管理体制(長期不在後の清掃、職場で1人勤務になる場合の防犯及び健康管理、心身不調を避けるための業務量調整)の確認
パンデミックは長期間繰り返し続きその期間は予測できません。感染症第1波襲来時に感染症対策として設定・実施した、感染症蔓延レベルとそのレベルに応じた感染症対策の強化・緩和や業務縮小・拡大を、第2波・第3波が来た時にも同様に設定・実施が必要になります。
特に事業場内・キャンパス内・組織内で感染確認された教職員が出た場合、どのように業務を継続するか(組織内の教職員を一定期間在宅勤務を主と切り替える、健康管理や感染予防策を強化する、一部の業務の中止や〆切変更など業務計画を変更し過重労働やメンタルヘルス不調を防止する、等)、あらかじめ計画を立てておく必要があります。
感染症対策の基本は、ウイルスの飛散を防ぐことと、ウイルスが伝播しない行動をとることにあります。「ウイルスの飛散を防ぐ」ためには、感染症のような体調不良があったり、その可能性がある濃厚な接触があった場合などに、不要不急であれば勇気を持って「外出をしない」決断をすることが大切であり、またそれを受け容れる周囲の配慮が必要です。また、発症前の数日間など本人の自覚なくウイルスの排出がある恐れもあるので、咳エチケットやマスク着用・手洗いの励行、3密の防止、社会的距離の確保など「ウイルスが伝播しない行動」をとることを新しい習慣として身につけましょう。
L-2-2-1-1.飛沫感染の防止
L-2-2-1-2.接触感染の防止
L-2-2-1-3.体調不良者への対応←click
L-2-2-1-4.消毒とその方法
L-2-2-3-1.衛生管理対応
L-2-2-3-1-1.一般室内環境
L-2-2-3-1-1.一般室内環境
L-2-2-3-1-2.その他の衛生環境
L-2-2-3-1-2.その他の衛生環境
L-2-2-3-2-1.酸欠事故防止
L-2-2-3-2-2.薬品管理対策
L-2-2-3-1-3.電気安全
L-2-2-3-2-4.水回りの安全
L-2-2-3-2-5.高圧ガスボンベの使用前点検
L-2-2-3-1-6.その他停止していた機器の再稼働時の安全面での注意(作成中)
感染症の影響は長期化することが予想されるため、働き方にも「新しい生活様式」に準じた変化が求められます。感染拡大期には行政や感染症研究機関・学会等からトップダウンでの施策や技術的対応が求められましたが、これからは事業所単位でリスクを見積もり、本当に必要な対応を探索的に且つ効率的に進める必要があります。衛生委員会などの審議の場で関係者間での共通理解を図り、事業所の実態にあった「ニューノーマル」を柔軟に検討して対策を進めることが大切です。総括安全衛生管理者は対策の必要性を明確にし、衛生管理者や安全衛生担当者を窓口とした情報整理のもと、産業医や医療保健職等の専門職の助言を活用し、現場の実情にあったリスク評価とその対策・啓発を進めていけるように、安全衛生管理体制を改めて見直すことが望まれます。
在宅勤務や自宅待機の解除に際しては、感染リスクの高い構成員(免疫抑制剤を用いた治療をしている、高齢者、基礎疾患(心血管疾患,糖尿病,悪性腫瘍,慢性呼吸器疾患、慢性腎不全(透析導入者を含む))がある等)の出勤の可否について、原則的には在宅勤務の継続が可能となるような配慮が必要です。どうしても出勤が必要である場合は、例えば混雑を避けるための通勤手段の工夫、職場での作業空間への配慮(換気が良く人口密度の低い空間での作業等)、職場滞在時間の短くする等、安全に働けるための配慮を検討する必要があります。
また、妊娠中の労働者に対しては、母性健康管理措置指針の改正により、母性健康管理指導事項連絡カード等を介した主治医の意見に基づく本人の申告に基づき、作業内容や在宅勤務等の配慮が必要となります。
ニューノーマルとは新たな状態・常識を指す用語であり、構造的な変化が避けられない状態を意味します。元々はリーマンショックの後に出てきた概念ですが、今回のCOVID-19の流行後にも同様のことが考えられます。今回の感染症流行に伴い、在宅勤務でのネットワーク環境設備の問題・Web会議の導入、密集・密閉・密接を避けるための換気やデスクレイアウトの整備など様々な課題が明らかにりました。今後も再び感染症の流行などによって同様の事態になることも考えられ、次の危機に対して備えておく必要があります。また、終息するまでは感染症予防を継続して行う必要があり、引き続き対策を講じておかなければなりません。
今までとは違う体制で業務をこなしていく必要があります。以下のような感染予防策を講じてください。定期的な換気を行う。事務所内の机などのレイアウトを感染予防のために変更する(可能であれば他の人と距離が2m以上あき、向かい合わせにならないようにすることが望ましいですが、困難な場合は人と人との間に座位での顔の高さ(目安として地面から120cm程度)にパーテーションや簡易アクリル板などを設置することも有効です)。ドアノブ、電気のスイッチ、手すり・つり革、エレベーターのボタン、ゴミ箱、電話、共有のテーブル・椅子などの共有設備については、頻繁に洗浄・消毒を行う。
完全にCOVID-19の流行が終息するまではかなりの時間を要します。感染者数減少などの報道も増えると少しずつ感染に対する意識が弱くなりえますので、気を緩めすぎないことが必要です。再度流行し、第2波・第3波として非常事態となりうる可能性があることを常に意識してください。感染拡大のために体調不良者(発熱・咳・のどの痛み・倦怠感・関節痛・消化器症状・嗅覚や味覚の異常などの1つでも症状がある場合)はまずは出勤しないようにしてください。また、完全に終息するまでは気づかないうちに感染している可能性があるため感染拡大のためにマスクの着用を行ったり、咳やくしゃみをするときにはハンカチなどで覆ったりしてください。食事をするときも他の人と向かい合わせにならず、大声での会話はしないようにしてください。会議はWeb会議の使用も継続してください。頻回に手指をアルコールを含む消毒剤で消毒する、もしくは石鹸と水で洗うことを習慣にしてください。人が密になりすぎないために、フレックスタイム制を導入したり、時差出勤や在宅勤務を継続したりすることも有用です。
L-3-3-1-1.人間工学的環境整備
L-3-3-1-2.インフラ
L-3-3-1-3.コミュニケーション
L-3-3-2-1.通勤
L-3-3-2-2.出張(国内)
L- 3-3-2-3.出張(国外)
作成中
今後も流行により研究縮小を余儀なくされる可能性があることを想定し、研究継続に必要な人員確保のために、通勤頻度を減らす工夫(テレワークや時差出勤など)や公共交通機関以外を用いた通勤を推奨することと合わせて、職場と自宅の間の距離やその通勤経路に伴うリスクを考慮した出勤体系を想定しておく必要があります。なおその際、職員間に業務負荷の格差や、出勤による感染リスクへの不安に伴うストレスが発生する場合もあるため、業務負荷の格差を是正する工夫や感染防止対策の徹底などを図り、またこうした計画を予め周知して理解を求めておくことが望まれます。
感染流行期だけではなく感染終息後も、「新しい生活様式」の普及浸透や今後の流行への対策の必要性を想定した研究計画が必要になります。感染流行期は、例えば「卒業が近い学生や若手研究者の研究」「短期のスポンサーシップの研究」などを優先すること、また研究室の人数制限やフィジカルディスタンス確保を想定した研究室レイアウト等を考慮した運営計画を立てることなどが、「研究成果の創出」と「研究者・学生の健康や安全を両立」するために必要です。
なお、競争資金による研究については、文部科学省等での相談窓口が設置されています。
新型コロナウイルス感染症対策に伴う外出自粛・仕事や研究活動の制限等により、一部の業務の延期や変更・中止が必要となる可能性が高まっています。予定の業務計画遂行の困難さに伴う焦りや段階的な出勤再開後の長時間作業等から、身体的・心理的負担が急激に高まることが想定されます。出勤を伴う勤務開始前から、段階的な出社に伴う業務計画について関係者で相談する機会を設け、再開後の長時間労働やメンタルヘルス不全のリスクを減らしましょう。 L-4-1-3-1.メンタルヘルス対策
パンデミックのような非日常下では、人は短期的には不適応や過適応を起こす可能性が高まります。感染症に対する不安も人によって異なり、軽視することはできません。更に、職員それぞれの置かれた異なる背景(家庭・経済的状況等)や、職場内コミュニケーション質・量の変化が加わって、結果的に業務量格差が生じることが想定されます。指示と報告の齟齬や、人間関係の悪化も起こりえます。①ストレスが増え不安が増すことは自然なことです。それぞれの不安を認め合いましょう。②Web会議やチャットなども利用して、いつもより意識的にコミュニケーションの質や量を確保し、業務量格差を是正しましょう。③不調が生じたら、積極的に職場内で共有しましょう。また上司は積極的に1対1で部下の不調有無を確認しましょう。長引く不調(目安2週間以上)は、早期に相談機関や病院に繋がることが重要です。
<管理監督者>係員や若手職員と、段階的な出社を伴う勤務に切り替わる際の業務計画について話し合い、今後無理なスケジュールとならないよう相談する時間をあらかじめ確保してください。チームミーティングに加え、1対1ミーティング、業務担当毎のグループミーティング、など、意識して様々な単位でコミュニケーションを確保してください。 直接顔を合わせることが難しい時期も、Web会議等により定期的に実施してください。部下の不調に気づいたら、本人と1対1で話す時間を確保し、必要に応じて早めに相談窓口に繋いだり受診を勧めましょう。
<係員・若手職員>働き方の変化により大きなストレスを感じるのは自然なことです。上司に、働き方が変わる前後の業務計画について早い段階で相談しましょう。また、自分だけですぐにできるストレスマネジメントも取り入れてみましょう。もし心身不調が続いていると感じた際には、早めの休養に加え、周囲の人に相談することも重要です。合わせて、学内外の相談窓口を適宜利用しましょう。
L-4-1-3-2.長時間労働対策
感染症流行時に滞っていた業務などが再開となり、一気に業務が増加することが予想されます。過重労働によって脳・心臓疾患の発症のリスクが増加し、うつ病などの精神疾患を発症することもあります。過重労働対策として、まずは事業所全体として過重労働が起こりやすい状態であることを共有してください。また、他にも「不規則な勤務形態になりすぎないよう夜勤や交代勤務の形態に気を配る」「出張を行うような場合COVID-19対策でストレスがかかりやすいことが予想されるため、回数が増えすぎないようにする」「本人の勤務形態や勤務時間がわかるシステムを整え、必要に応じて産業医や産業保健スタッフにすぐに連携をとれるようにラインケアの重要性を管理職に認識させる」といったことを行ってください。脳・心臓疾患の発症リスクとして高血圧や糖尿病といった生活習慣病も挙げられます。生活習慣病がある場合には定期的な医療機関の受診を忘れないようにしてください。COVID-19の感染予防対策が長期にわたることで精神的ストレスとなることも予想されます。誰にでも感染のリスクはありますので、体調不良の時には無理して出勤するのではなく、休養を取るといった習慣を組織全体で作り、仮に感染した場合に責任を追及されるようなことがないように啓発を行ってください。
室内の人口密度を上げないために、出勤・登校のシフト管理しましょう。研究室管理者等の許可を得ずに、シフト外の時間帯に勝手に出勤・登校しないようにルールを守りましょう。カレンダーアプリなどで在室者のシフトをシェアしたり、室内入口のボードなどに在室者を記入して、室内の人数を把握することも有用です。
研究室のレイアウトを図面などで確認のうえ、その室内の面積に応じた在室人数を設定しましょう(例えば、培養室などの狭い室内では1名まで、25平方メートル以内の室内では多くても2人、など)。
3密回避のためには、在宅で作業をできる環境を用意することが有用です、例えばデータの分析などは在宅で実施することが望まれますが、その際はセキュリティ管理を適切に実施してください。
原則として2m以上離れて在室または実験できるように室内をレイアウトしましょう。床にマークをするなどの方法も有用です。安全管理等の理由により、やむをえず複数の人が同時に操作を行う必要がある研究施設や設備等においては、マスクやゴーグルを着用したり、アクリル 板・透明ビニールカーテン等による遮蔽等の措置を行いましょう。なお、状況に応じて、燃えにくい素材を使ったり、適切な消毒剤を用いて表面消毒を行いましょう。
また、関係者以外の建物内部への出入りは極力避ける必要があり、外部業者の出入りも制限を求められる場合があります。部局での運用を確認のうえ、必要に応じて、外部業者との接点をできるだけ減らすための発注・納品・検収方法を見直しましょう。
学外および学内のサプライチェーンが従来通りに稼働していない可能性があることから、実験の開始前には、必要な物品が揃っているかを確認しましょう。
実験に必要な機器や試薬等はもちろんですが、マスク等の顔を覆うガードや、作業後に消毒等が必要な場合(例:呼吸用保護具やレーザー用保護めがねを共用している場合など)の消毒液等、感染防御に必要な物品が準備ができているかを確認してください。これらの準備が整わない場合は、物品の準備または代替え手段が準備できるまでは、実験の実施を見送ってください。
出勤・登校者の制限で作業者が減ることは、作業の安全確保においてはデメリットになります。実験中はもちろんですが、機器や試薬管理の実験前安全確認、実験後の片付けにおける安全確保を従来以上に徹底しましょう。掲示物やチェックリストなどで作業者に啓発をすることも有用です。
また、単独で長時間の実験や共同施設を利用する場合、作業者の安全を確保する観点から、利用開始前・終了時の記録や、作業者への定期的な声かけ、万が一の際の連絡体制の整備などの安全対策を講じてください。
また、感染防止の観点からは、狭い室内での作業は一人作業が望ましいですが、一人では安全を確保できない実験研究の場合は、実験パートナーとは2m以上のフィジカルディスタンスを保って直接コミュニケーションを取るようにしましょう。それが困難な場合は実験を延期するか、止むを得ず接近する場合は双方でマスクを着用するなどの感染防止対策を徹底のうえ、参加者も最小限にするなどの対策をしてください。
作成中
(作成中)
L-5-2-1. 研究室再開/事務職場再開ツール
・基本的感染防御対策
・再開時の安全衛生チェック
・再開後の安全衛生チェック
・発熱者およびその周囲に対する正しい対応
・感染対策と研究継続の両立