はじめに

本学の教育目標

 本学は、教育基本法及び学校教育法の定めるところに従い、豊かな人間性を涵養するため幅広い知識を授けるとともに、専門学芸の研究と教育を行い、キリスト教精神に基づいた教養豊かな識見の高い国際的人材を育成することを目的とする。  

建学の精神

キリスト教主義に基づくこと。そして語学を身につけた国際人を育成すること。 

学園創設者・初代学長 清水 安三(1891~1988) 

 桜美林学園の「寄附行為」(学校法人の根本規則。会社などの「定款」に当たる)には、「本学園はキリスト教主義の教育によって、国際的人物を養成するをもって目的とする」とある。 

 本学園の理事だった故大原総一郎博士はそのご生前、「百年後の日本」と題する懸賞文を募ってはどうかと、政府に提案されたが、果たして百年後に日本なる国が、世界の地図の上になおも存在しているであろうか、私はひそかに心配している。 

 日本国民は、世界にかつてない非攻非戦主義のパシフィックな憲法を持っているが、果たしてパシフィスト精神を持っているであろうか。そこに、日本の存亡の問題が存している。日本国民が、軍備を用いずに祖国を護ろうと思うならば、少なくとも周囲の各国民の感情を害してはならぬ。常に、周囲の各国民との間に、意思の疎通を図るべく努めねばならぬ。  

 では誰が、周囲の国民に、本国民程に beloved nation “ 愛好すべき国民 ” はないと、思わせ得るであろうか。それは、語学の達人である。よって本学は、我が国の周囲の国々の言語を教えんと欲するのである。  更に、語学だけでは足りない。己を愛する如く隣人をも愛せよ、と教えるキリスト教を、みっちり教えるべきである。

 かくてキリスト教主義と語学、この二つをよく体得した人材を能うだけ多数教育せんとするのが、本学の建学の趣旨である。  

桜美林大学で学ぶこと

学長 畑山浩昭 

 これから本学で大学生活を始める皆さんに歓迎と激励の言葉を贈ります。大学は、あなたが大きく変われる特別な場所です。これまでの人生がどのようなものであれ、これから踏み出す新たな一歩が、自分を高め、成長するための大きな始まりになります。このような素晴らしい機会に恵まれたことに感謝しつつ、しっかりと準備し、大学での学びを確かなものにしていきましょう。

 この履修ガイドには、本学で学ぶ上において知っておくべき重要な事柄がまとめてあります。高い学修の成果を期待するには、学びの方法についてよく理解しておくことが肝要です。様々な学修を通して自分の成長を実感できるように、本ガイドを熟読して準備してください。基本は「授業」です。本学にはかなり多くの授業があり、個性的な先生方が揃っています。授業を担当する教授陣の多様性に驚くかもしれません。個々の授業の目的や計画、方法等については「シラバス」に詳しく記載されています。先生方の経歴等についても大学ウェブサイトで公開されています。しっかり調べて自分の学修を計画してください。

 大学での学修の醍醐味は、自分の興味や関心に基づいて、知識を増やし、技能を高められることです。社会の一員として有するべき教養も身につきます。分からなかったことが分かるようになる、できなかったことができるようになるということは、自分の思考や行動が、より自由になるということです。分からないことやできないことに起因する思考や行動の制限や束縛は、言わば不自由な状態ですが、学問の継続によってその状態から自分自身を解放することができるのです。新しい知識や技能を修得することによってそれまでの考え方や行動が変わることは、私達がよく経験することです。大学はそのような経験を得られる最高の場所なのです。知や技の力によって個々人の生活や社会のあり方を進化させることができるのです。

 能動的に、積極的に授業に参加してください。大事なことは「問いを持つ」ことです。問いを持って授業に参加し、先生や友人と対話しながら問いの答えを捜し求めるつもりで学修を進めることです。様々な問いに答える先に、自由に思考し、行動できる自分が待っていると想像してください。先生も学生も、学問上の様々な問いに答えようとする人という意味では同じ立場です。著名な学者でも、I’m a student of Psychology (私は心理学を研究しています)と表現したりします。先生や学友と一緒に、学究に勤しんでください。

 学びの場は教室だけではありません。国内におけるフィールドワークやインターンシップ、サービスラーニング、また、国外における留学も、短期から長期まで様々なプログラムが用意されています。オンラインを利用したリモート授業もあります。理論と実践という言い方があるように、知識として学んだことを実践の中で検証したり、実際の経験を知識として整理したりすることも必要です。留学生も数多く在籍していますので、グローバルな視点で物事を捉え、世界的な課題や問題にも果敢に挑戦してください。

 大学生活を続けていくと、様々な問題や課題に直面することもあるでしょう。勉学のみならず生活上の悩みも生じます。知識や技術の修得を可能とするのは、心身の健康維持が大前提です。スポーツに励み体力を向上させることや、精神的に強くなるための鍛錬も必要です。大学時代に大きな思想や哲学に出会うことも、本質的な問題解決につながります。本学のモットーは「学而事人」です。学んだことを他者や社会のために役立てる、学んで人に奉仕するという教えです。なぜ自分のためではなく、他者のためなのか?自分の幸せ、他者の幸せ、あるいは広く社会の平和は、個人では実現できず、お互いに依存することによって成り立っています。したがって「共生」こそが、人類に繁栄と平和をもたらすという信念に基づいたことばが学而事人なのです。建学の理念であるキリスト教の精神や国際的、グローバルな価値観を学び、学而事人を実践していく中で、知識や技術の修得のみならず、もっと大きな学び、精神的な基盤、偉大な叡智にたどり着けるように努力してください。

 本学に在籍する学生や卒業生は、オベリンナーと呼ばれます。オベリンナーのネットワークは国内に限らず、世界中に広がっています。桜美林大学の一員としてのメンバーシップを手に入れた皆さんは、これからこのネットワークが様々な形で支えてくれます。桜美林の伝統を継承しつつ、今度は皆さんが新しい伝統を創造して欲しいと願っています。勉学に、スポーツに、研究に、文化活動に、皆さんの大いなる活躍を期待しています。

「チャペルアワー」について

 本学には「チャペルアワー」が設けられています。「チャペル」とは「学校・病院等、教会以外の施設にある礼拝堂」を指し、「チャペルアワー」とは「大学で行われるキリスト教の礼拝の時間」を表しています。キリスト教の礼拝自体が教育的側面を持っていますが、特に、高等教育機関である大学の礼拝はそれが強く前面に出されています。「普遍的な真理」「究極的な存在」との出会いを通し、諸学問へのアプローチの土台が形成されると共に、自己を相対化し、真実なる自己との出会いが可能となります。その意味において、大学というアカデミックな機関における「チャペルアワー」は大変重要な役割をもっています。大学の先生方や近隣の牧師の方など、それぞれの学問的領域や現場からの豊かな「メッセージ」を通し、多くの啓発を得ることができます。自由参加のプログラムですが、自己探求、真理探求のための貴重な機会として受け止め、積極的に出席することを期待します。

 

 チャペルアワーの予定や、動画のアーカイブは、大学ホームページのほか、Moodle内にある キリスト教センター』のページでご覧いただけます。また、チャペルアワーに関するお知らせはSNS等でも発信しておりますので、詳細はMoodle内にある 『キリスト教センター』のリンクをご参照ください。各キャンパスの掲示版でもご覧いただけます。

アドバイザーについて

 本学には、教員がアドバイザーとして学生一人ひとりを担当し、教学指導・学生指導を行う制度が設けられています。アドバイザーは、学生の履修登録と成績をモニターするとともに、学生生活においても1学期に最低1回は学生に指導や助言を行います。

 学生は学群長に対して、アドバイザーの変更を願い出ることができます。芸術文化学群、ビジネスマネジメント学群、健康福祉学群の学生が「専攻演習」を履修した場合は、その担当教員をアドバイザーにすることができます。

  アドバイザーは授業の他に、オフィスアワーという時間を設けています。これは学生との相談に当てられる時間です。時間帯は e-Campus に掲示してあります。オフィスアワーには基本的にアドバイザーが教員オフィスに在室していますが、学内の急用で席を外す場合もあります。アドバイザーとのすれ違いを無くすため、学生は可能な限りEメール等でアドバイザーと面談時間の約束をしてください。


 相談や指導に際して、アドバイザーは必要に応じて家庭や個人的な事情にふれる場合があります。ただし、プライバシーに関わる事項の回答については、各学生の意思に任されます。 

 アドバイザーの指導について不服があるときは、学群長に申し出てください。学群長は、公平な立場で問題の解決にあたります。 

 桜美林大学は、公益財団法人日本高等教育評価機構による大学機関別認証評価を令和元(2019)年度に受審し、「評価の結果、日本高等教育評価機構が定める評価基準に適合していると認定する。」という評価をいただきました。

 そのなかで、『学修支援体制として、専任教員が入学から卒業までの4年間、学生一人ひとりに学修面の指導や助言を行う「アドバイザー制度」などを活用し、成績不振学生の対応を積極的に行い、一定の成果を挙げている点は評価できる。』を始めとした多数の「優れた点」が挙げられています。