女性教員懇話会の設立と理念

 本会の発足は、1981年に遡ります。その前年、ユネスコなどの主催する「婦人のための教育・訓練・雇用に関するセミナー」が埼玉県で開かれた際、一部の参加者が京都を訪れ、京都大学の女性教員と交流を持ったことがきっかけでした。その時の参加者はわずか2名でしたが、2人の間で、これを機会に学内の全女性教員に呼びかけ、情報交換と親睦交流をはかる集まりをもってはどうかということが話し合われました。その後賛同者を募り、何度かの協議を経て、1981年10月31日、楽友会館において第1回総会を開催し、「京都大学女性教官懇話会」が発足しました。当日の参加者は28名、「規約」と「申し合わせ」及び「京都大学女性教官実態調査委員会」の設置を決定した後、公開講演会や懇親会も開かれるという盛大なものでした。

規約第1条にもあるように、本会は(1)京都大学における女性教員相互の親睦と交流、(2)各自が当面する諸問題についての情報の交換、(3)女性研究者の地位の向上と差別の撤廃、を目的に掲げています。大学組織とは独立した自主的な組織であり、会員の思想・信条の自由を尊重し、会として政治活動や宗教活動を行うことはありません。また、本会は京都大学に在籍するすべての女性教員・研究員等を会員として想定しており、会費納入の依頼を行っていますが、これは強制的なものではありません。さらに、会費納入会員と、非納入のいわば潜在的会員との間にことさら区別を設けることはなく、いつでも自由に本会の活動に参加できる途を、全会員に開いています。 

上記のような趣旨のもと、本会は発足以来、さまざまな活動を行ってきました。女性教員の実態調査の実施と報告書の作成、「セクシャル・ハラスメント事件について事実の解明と性差別を撤廃するための委員会」の設置を求める要望書の提出、『女性教員・卒業生からみた京都大学−研究・教育環境調査から−』の刊行のほか、発足の翌年からはじまった総長懇談会は、毎年の恒例行事となっています。また、女性問題や会員の専門分野をテーマにした研究会や、年1回の総会の開催、ニュースレターの発行などを通して、会員同士が気楽に集い語り合うことのできる場を提供してきました。

2006年には名称を「女性教員懇話会」と改め、今なお多くの問題を抱える女性教員にとってさらに有益な組織となることを目指しつつ、現在に至っています。 

参考:瀬尾芙巳子「京都大学女性教官懇話会の設立と理念」・小野和子「矢野事件のころ」京都大学女性研究者支援センター編『京都大学 男女共同参画への挑戦』所収(明石書房、2008年)、1998年4月2日作成「経緯と歴史」

 京都大学女性教員懇話会の歩み

(*は京都大学等の動き)

2020年2月~「小・中・高等学校の臨時休校に関するアンケート 」(新型コロナウイルス感染拡大・休講措置を受けて)実施(2020年3月6日「W&W6」にて結果公表

2018年3月2日 「2018年度 女性教員懇話会からの提案事項」策定・公表

2018年2月 「育児・介護・働き方に関するアンケート」実施(2018年3月2日「W&W4」にて 結果公表)

2016年11月 「女性・子育て支援施設の現状と要望」にかかるアンケート及び設備状況調査 実施(2017年3月「W&W3」にて結果公表

  *2014年 京都大学男女共同参画推進センター設置 (女性研究者支援センター業務引継ぎ)

2009年6月 ランチタイムセミナー開始

      *2007年4月25日 京都大学女性研究者支援センター開所

2006年度末 名称変更(女性教懇話会から女性教員懇話会へ)

2006年12月9日 京都大学女性教員懇話会設立25周年記念シンポジウム―ダイバーシティへの取り組みに向けて―

        *2006年5月23日  科学技術振興調整費「女性研究者支援モデル事業」に「女性研究者の包括的支援「京都大学モデル」」(2006-2008年度)が採択される

        【「京都大学モデル」採択理由「女性教員懇話会や子育てグループ等、現場からの意見に基づいて練られた・・・」】

2006年2月15日 京大生による集団暴行事件に関して総長に要望書提出(同日記者レク,毎日新聞地域版等掲載2006年2月16日)

       *2005年11月9日 男女共同参画企画推進委員会発足 【参考】京都大学男女共同参画・沿革と活動

 2005年7月28日 京都府副知事 佐村知子氏との懇談会

 2001年4月17日 セクシュアル・ハラスメント問題に関しての要望書提出

2000年10月20日 セクシュアル・ハラスメント事件に関する要望書提出

1999年10月26日  京都大学セクシュアル・ハラスメント相談窓口:担当相談員の選任についての申し入れ

 *田邊玲子「大学におけるセクシュアル・ハラスメントへの取り組み」所収上野千鶴子編『キャンパス性差別事情~ストップ・ザ・アカハラ』(三省堂、1997)刊行

1996年3月「女性教員・女子卒業生からみた京都大学―研究・教育環境調査から―」(アンケート報告書)発刊

        【関係する新聞記事 読売新聞1996年11月16日 朝日新聞1997年1月10日 】

1995年度「京都大学女性研究者の研究状況調査研究」実施(京都大学教育研究学内特別研究費による)アンケート

1994年3月3日「矢野事件関係資料」(1993年3月~1994年3月)発刊

1993年―「矢野事件」,セクシュアル・ハラスメントに関する取り組み

1985年6月 総長懇談会(以降、定例化がすすむ)

1982年11月15日 総長との会見実現

1982年9月24日 京大女性教官に関する実態調査 予備的結果公表

1981年11月21日 京都大学女性教官懇話会 発足記念総会(第1回総会)

         【創設当時の様子 読売新聞記事(1983年12月25日記事)から】

1981年10月31日 発起人会による「規約」討議・承認:京都大学女性教官懇話会設立

1981年4月25日 京都大学女性教官有志会合 初会合

1981年4月10日 京都大学女性教官有志で会合を呼びかけ

【参考】京都大学における女性教員

京都大学教員数 2711名 うち女性教員279名(10.4%)

*職階別女性割合  教授 7.7%、准教授 10.6%、講師 13.1%、助教・助手 13.5%

(2019年5月1日時点)

京都大学男女共同参画推進センター「数字で見る女性研究者」より

歴代事務局役員

歴代事務局役員のリスト(限定公開、ご関心がある方は事務局までお問合せください。)

歴代代表

柳島静江(1982-83)、小野和子(1984-85)、大塚香代(1986-87)、瀬尾芙巳子(1988-89)、伊藤操子(1990-93)、小野和子(1994)、田邊玲子(1995-96)、新山陽子(1997)、稲葉カヨ(1998)、新山陽子(1999)、田邊玲子(2000)、木津祐子(2001)、小山静子(2002-03)、稲垣恭子(2004)、落合恵美子(2005-06)、横山美夏(2007)、横地優子(2008)、山田文(2009)、速水洋子(2010)、高山佳奈子(2011)、松下佳代(2012)、見学美根子(2013)、金光桂子(2014)、豊島文子(2015)、木下彩絵(2016-17)、齊藤真紀(2018)、小畑史子(2019)、和久井理子(2020)、深澤愛子(2021) 、和久井理子(2022)、片岡仁美(2023)

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