吉祥祭では毎年、文化祭実行委員会が何日もかけて会議を行い、その年のテーマを決定しています。テーマを決める際には、誰にとっても身近なトピックであると同時に、考察の広がりや深みがあるかも意識されました。

 4月に全校生徒にテーマが発表された後、各団体はテーマを中心にそれぞれの企画を練り、吉祥祭当日への準備を始めます。テーマは吉祥祭全体の根幹をなすものであり、そのテーマによって吉祥祭全体で統一感を感じることができます。

 今年度吉祥祭実行委員会では、第87回吉祥祭のテーマとして「テクノロジー」を掲げます。テクノロジーとは科学的知識や自然の資源、現象を応用し作り出された技術・道具・システムと定義されており、技術の総称、科学の実用化を指します。またテクノロジーの歴史は古く、石器の発明や農業技術から、人工知能やナノテクノロジーに至るまで、あらゆる産業や学問分野にわたります。

 現在、生成AIやメタバースなどの発展により、私たちの生活はより便利になってきています。しかし、その一方で情報の信頼性への意識の低下や思考力の低下、偽情報による犯罪など、テクノロジーが私たちに与える影響は必ずしも良いものであるとは限りません。現在開催されている大阪万博は、こうした未来の技術と向き合う機会であり、今こそテクノロジーの持つ力や向き合い方について考えるべきではないでしょうか。

 「テクノロジー」というテーマを掲げるにあたり、文化祭実行委員会では「私たちが生活している社会やかつての社会の中の『テクノロジー』」、「自然環境に影響を与える『テクノロジー』」、「『テクノロジー』の未来」という三つの研究の方向性を示しました。展示や芸能など、様々な形で生徒の研究の成果をご覧ください。

 テクノロジーは現在の私たちが想像するよりはるかに大きな力を持っています。テクノロジーが人類の希望となるか脅威となるかは、未来を担う私たちにかかっています。吉祥祭を通して、皆さんが過去、現在、未来のテクノロジーと向き合い、世の中をより良くする一員になることを願っています。