内田ゼミは,コーポレート・ガバナンスの実証研究に取り組んでいます.
コーポレート・ガバナンス
コーポレート・ガバナンスとは,ステークホルダーが安心してビジネスに関与できるようにするための経営者への規律付けのことです.
経営者は,株主・債権者・従業員・サプライヤー・顧客・地域社会といったステークホルダーが関与することではじめてビジネスを営むことができます.ステークホルダーが経営者のビジネスを支援するのは,それに対して何かしらの対価を期待しているためです.
しかし,ステークホルダーが期待する対価を受け取れないこともあります.例えば,経営者がステークホルダーを悪意をもって騙そうとしたり,あるいは,努力はしているもののステークホルダーが期待する水準に成果が達しなかったりする場合です.そのようなときに,期待に応えるように経営者に影響力を行使することができなければ,ステークホルダーはビジネスへの関与を躊躇してしまいます.
そうした懸念を緩和するために必要となるのがコーポレート・ガバナンスです.経営者への規律付けがうまく機能していれば,ステークホルダーは事前に支援に対する対価を期待できるようになり,安心してビジネスに関与できるようになります.
実証研究
実証研究とは,理論で想定される因果関係(何が原因で何が起こるか)が実際に存在するかをデータ(現実)と照らし合わせて検証することです.実証研究を行うことで,理論が現実を説明できているか,現実において何が原因で何が起きているのか,を知ることができます.
その結果,理論的には考えられることが,実際には観察されないこともあります.そのようなときには,現実を説明する新たな理論が必要となってきます.このように,理論と現実を行ったり来たりすることで,企業が,社会がどのように機能しているか,世の中の仕組みが見えてくるのです.
コーポレート・ガバナンスの実証研究
コーポレート・ガバナンスの実証研究では,経営者とステークホルダーの関係をデータに基づいて考えていきます.一見,経営者が思いのままに経営していると思われる企業は,実はステークホルダーの影響を色濃く受けています.そのため,ステークホルダーからの影響を理解することなしに,経営者の意思決定を適切に理解することはできません.
このような学びを通じて,新たな知見を得た後に,いつもと同じ世界が少し違って見えるようになることを目指しています.