◎古いものと新しいもの
「フランス文学」や「フランス」と聞いてどのようなものを思い浮かべますか。永井荷風の時代であったならば、「フランス」は文学や芸術を意味したかもしれません。1960年代であったなら、「フランス」とは、サルトルとボーヴォワールに代表される現代社会に対する新しい視点だったかもしれません。今日の日本において、私たちはどのような「フランス」に心惹かれるでしょうか?
フランス文学専攻では、かつての「フランス像」を継承するとともに、新しい時代の「フランス像」を探したいと考えています。伝統として大切にされてきた作家・作品、フランス語の学習を重視すると同時に、新しい関心の持ち方にも開かれた学びの場でありたいと思います。
近代の日本の文化や社会において無視できない存在であった「フランス」についての学問を、私たちなりの仕方で継承することは、今日の日本社会へのささやかな貢献になるのではと考えています。
◎幅のひろい「フランス学」として
「フランス」で示される対象の範囲は広大です。時間としては、中世から現代まで。空間としては、ヨーロッパにとどまらずアメリカ大陸、アフリカ、太平洋にまたがる「フランス語圏(フランコフォニー)」という広がりが知られています。こうした広大な時空間を背景に、フランス語とフランス文学を中核にしながら、さまざまな領域へのつながりが生まれます。例えば次のような広がりが考えられます。
哲学:現代思想、現代の諸問題、移民、ライシテ(脱宗教性)
アート:美術、舞台芸術、BD、日仏交流
歴史:中世、キリスト教、啓蒙、フランス革命、植民地
言語:レトリック、翻訳、言語理論、包括語法
© Kohei Kida
コンセプトマップ
(中心に原動力としてのフランス語 両輪に文学と言語学 そこから様々な方向に進みます)
◎語学教育
機械翻訳とAIの時代に入り、語学教育は大きな転換期にあるようです。教員も戸惑いながら試行錯誤をしているのが正直なところです。新しいツールをつかって、一挙に外国語の文献の概要を知ることができることは、探求し論じることに新たな可能性を開いているようです。
一方で、スピードやコスパとは逆行するようですが、語学学習は何事かを丁寧に身に着けるという経験をもたらしてくれます。文章を丁寧に読むこと、一行を前に立ち止まってみること。外国語の習得を通して、じっくりと取り組む経験をするのも文学部における大学生活の味わい方のひとつかもしれません。
南米ギアナのサラダは、私たちが普段イメージする「フランス」とは少し違うかもしれません。