◎ここでは、当領域の試験へ向けた準備のポイントを説明します
入学希望等調書は,口述試験のときに面接官が参照し,それをもとに質問をします。ですので,「その時点で可能な限り具体的に」まとめるようがんばって準備してください。所定の様式の「志望動機」「これまでの教育実践や研究で取り組んできたこと」の欄に記入する内容については、以下のポイントを心がけてください。
ポイントは2つ。とにかく最優先で考えてほしいのは,研究テーマをどうするかです。漠然とした,あるいは遠大なテーマなら語れるけれども,まだ具体的になっていないという受験生はけっこう多いのですが,私たちがとくにお聞きしたいのは,その中でも自分はこの部分に焦点を当てたい,この側面に強く興味を引かれている,といった具体的な研究テーマです。大学院の限られた期間内に研究としてまとめるためには,対象を絞り込む作業が必要になりますし,それによって,指導の方向性も少しずつ明確になっていくからです。自分の考えがまちがっているかもしれない,実現可能性が低いかもしれないなどと遠慮せずに,現時点での自分の考えを,しっかりと主張してください。
次に考えてほしいのは,その研究テーマについて,自分はどんな方法で研究していきたいかという点です。教育学者の論説を徹底的に読み解く,実践報告書を集めて比較検討する,関係者にインタビューする,質問紙調査で大規模にデータを集める,実際に授業を工夫して実施してみるなど,同じテーマでもさまざまなアプローチがあります。同じインタビューでも,教員に聞くか児童生徒に聞くかで,まったくちがった視点の研究になります。その中で,自分はどんなアプローチを使ってテーマに迫ろうとするのかについて,ぜひ考えておいてください。
聞きかじりの知識を使って無理やり具体的にする必要はありません(けっきょく口述試験の時にわかってしまいます)。「現時点での自分の考え」でいいので,できる範囲内でしっかり考えて,調書を作成してください。
口述試験では,調書に記載されている内容に基づいてお聞きします。2年間(免Pは3年間)の在籍期間の中で論文としてまとまりそうかどうか,コースの教員が指導可能かどうかを見きわめるためです。ですので,大学院でどのような研究をしたいのかについて,自分なりの言葉でしっかり説明できるようにしてきてください。
できれば,研究テーマに関連する文献を1本以上読んでおき,その内容について答えられるように準備しておいてください。また,入学希望等調書に記載した研修歴(卒業研究を含む)についても質問しますので,答えられるよう準備してきてください。
口述試験の時に,よく「大学院で○○について詳しく勉強したい」と抱負を語る人がいますが,勉強と研究とはまったくちがうものです。勉強というのは,すでにある知見を自分の中に取り入れる作業ですが,研究は逆に,自ら新しい知見を生み出して,世界に発信する過程です。
幅広く勉強して知識を深めることは,もちろん大切なことですし,大学院生活の中でもおおいにやっていただきたいことではあります。また,研究などと大風呂敷を広げる前に,まずはしっかり勉強してから,と謙遜する気持ちもわからないわけではありません。しかし,口述試験でお聞きしたいのは,その問題について「自分ならこう考える」,「自分はこうとらえ直したい」という自己主張です。必ずしも専門用語を使う必要はありませんので,ぜひ自分の言葉で,自分の視点で,その問題について語ってください。
※派遣教員・教職経験者、機関長推薦による出願者、教員採用試験合格者は免除
試験がオンラインでのみ実施となって以降、筆記試験に代えて、いくつかの問題を画面上に示し、一つを選んで15分程度でまとめてもらい、時間になったら5分程度で口頭で回答してもらう形式の口頭試問を採用しています。
大学院での研究に向けて必要な教育学・教育心理学の基礎的知識と,それを論理的に記述する表現力を見ます。出題の際,私たちがおおよその目安としているのは,教員採用試験(教職教養)の教育学・教育心理学領域でよく出題されている程度の問題範囲と知識レベルです。
学部段階で教育とは関わりの薄い勉強をしている学生も多く入学してきますので,入試段階でそれほど専門的な学力を要求してはいません。とはいえ,教育学や教育心理学の基本的なものの見方・考え方がわかっていないと,個人研究のテーマもなかなか定まりませんので,教員採用試験レベルの勉強はしてきてください。
実際に出題する問題はちょっとひねった問題にしてありますが,求めているのはそのレベルの基礎知識だということを頭に入れながら,勉強を進めてください。
領域ごとに,もう少し具体的に書いておきます。
1. 教育学
教員採用試験の教職教養の本にひととおり目を通し,教職に関する基礎的な知識は知っておいてください。
新聞や白書等を読んで,報道されている最近の教育事情・動向を把握しておくとよいと思います。
2. 教育心理学
教員採用試験(教職教養)の教育心理の参考書に出てくる程度の基礎知識について勉強してきてください。
実験結果の表やグラフの読みとりもよく出しています。
☆過去(R6)の出題はこちらから