どの学校でも毎年度「反省会議」が行われます。だいたい、10月頃に中間反省会議、2月頃に年度末反省会議が設定され、中間反省で出てきた課題を年度末反省までに解決する、という流れが標準的です。
一方で、反省会議という言葉を聞いて「またこの季節がやってきたか。嫌だなぁ…」と思う先生方も少なからずいるのではないでしょうか。かく言う私がその一人であり、反省会議に対するダークな印象が自分の中に強くあります。
若かった頃、勤務校の反省会議では最後に自由な意見を発言できる時間枠がありました。そこで堰を切ったようにベテランの先生方が長時間に渡り学校経営・運営に対する「不平不満」を話し続けるわけです。「どこで言えばいいか分からないので、ここで言っておきます」なんて枕詞で始まるんですよね。当時は、反省会議とはそういうものなんだと思っていましたが、自分も歳を取るにつれてだんだんそれが苦痛になってきました。なぜ学校の先生って文句ばかり言うのかな?と、ずっと感じてきました。感情的な発言が多い学校は、本当に苦痛でしたねぇ。まあ、私も学校の先生なんですけれどね😆
そうなるのは、結局先生方と管理職のコミュニケーション不足だったり、先生方の思いとか情熱が学校運営になかなか反映されなかったりして、そこからズレが生まれてだんだん不満になっていくということなんですよね。それは残念なことですけれど、しかしこれを対面の会議で年2回程度喧喧ガクガク議論したところで、正直学校にとって何のメリットもなく、今風に言えばそんな会議があるから学校はブラック化する、とさえ言えます。つまり反省会議というのは、教職員自らが学校をブラック化しているという側面があるわけです。働き方改革時代の今、このようなブラックな会議の存在というのは、あまり望ましいものではないですよね。だいたい、不満を言うということは個人の感情が多分に入っており、過剰なメタ情報がくっついているわけです。話もずれてしまうし、何より会議が長時間となり場合によっては2日に分けて反省会議をする、なんてこともあります。
つまり、反省会議こそまさに格好のDXターゲットです!
★
じゃあどうするか。結論から言うと、今私が考えているのはチャット化です。本校では部長主任会議の機能をチャットに置き換え、校長の確認(決裁)までをすべてチャットで完了し完全ペーパーレス化を実現しています。意思決定のプロセスをすべてチャットに載せているので、普段から見える化されている状態です。さらに学校課題集約フォーム(目安箱のようなもの)も設置し、活用されています。
イメージとしては、
・学校課題の集約と整理 → フォームやスプレッドシートを活用
・整理した課題への意見の集約 → チャットで意見交換し、スプレッドシートに記録をとる
・毎月の定例職員会議の中に「今月の反省」枠を作って、GWS上でまとめた「今月の学校課題」を対面審議する
・学校課題解決進捗スプレッドシートで、今どこまで課題が解決されているか、常に見える化する
・10月には前期トータルを俯瞰した大きな課題の確認と解決方法の検討、2月には年間トータルで同様の処理をし、次年度につなげる(紙は一切つかわずすべてクラウド上で)
こんな感じで、毎月の定例職員会議で必ず反省を入れるわけです。こうすると、スモールステップでの学校課題解決が可能になります。4~9月までの半年間の反省をまとめて10月に処理する従来の方法では、課題が大きくなりすぎて解決が難しいのです。GWS活用によりこまめに反省ができるので、次の計画も立てやすくなり、おそらくこれが定着すれば中間反省会議・年度末反省会議も不要になるでしょう。毎月の定例職員会議だけで十分ですよね。
PDCAにしろOODAにしろ、課題解決マネジメントを適切に遂行することが今の学校経営には求められています。これをDXで改革するのはまさに旬のやり方であり、ぜひ取り組んでみたいと私は考えています。これまでに作り上げてきた校務DXとリングマネジメント、そして羅高方式の働き方改革を土台として、さらに働きやすい職場環境のために、改革を進めます。
いつものように、躊躇無くグイグイと😁
ほかにもDXを入れられないか考えたいことはたくさんあります。引継ぎ問題の解決、属人化問題の解決、スクールポリシー改訂作業のクラウド化、など。要するに、すべての業務はクラウドに載せることが可能だ、という認識でいく必要があると思います。何でもクラウド上でやっていくうちに、それが当たり前の感覚となり、逆に紙で処理するという発想にならなくなるんです。羅臼高校は、だんだんそういう雰囲気になりつつあります。紙で何かが出てくることの方が少なくなってきていて、クラウドで回すのが当たり前になりました。
校務DXにこれから着手する学校も、最初から紙ゼロで行った方がうまくいくのではないでしょうか。従来型をすべて捨て去った方が効率よくDXが実現すると思います。
R6(2024).12.20 北海道羅臼高等学校長 古屋順一