11月6日(水)に別海町役場(写真)にて「令和6年度根室管内学校における働き方改革推進会議」が行われ、実践発表者として参加させていただきました。本校では校務DXからスタートして、働き方改革までつなげるべく日々取組を積み重ねていますが、私が以前から述べている「KX(校長トランスフォーメーション)」や、本校で取り入れている「チャット決裁」について発表しました。特にKXについては、これまで長い間続いてきた「校長への忖度」を排除する考え方であり、ある意味これまでの学校の常識を壊す挑戦的なものです。私は自分が校長になったら、必ずこれを実行しようと心に決めていました。やるなら今しかないと思い現在実行していますが、それが各方面から注目されるようになってきたのはうれしいことです。教頭の多忙感については局報告の数が多いとか、保護者対応が大変、危機管理が大変とよく言われますが、それよりもはるかに教頭を苦しませるのが「校長対応」です。これは私自身が感じてきたことであり、かつ教頭仲間、副校長仲間が口を揃えて言っていることです。教職員と校長との板挟みとなり、ねじれや矛盾を教頭が全部飲み込まなければ学校が回らない。そんな現実が未だにあちこちに散見されます。校長によっては、教頭にいろいろな経験をさせないと成長しないと考え、不当に重い仕事を与えたり、理不尽で感情的な言葉を浴びせているケースもあります。校長室という密室において、パワハラも少なからず発生していることでしょう。自らの正義をふりかざす校長に翻弄され、疲弊する教頭がまだあちこちにいます。
ここをなんとかしない限り、教頭のなり手は増えないでしょうし、教頭の働き方改革も全く進みません。私ごときにできることは微々たるものですが、問題提起として一石を投じることは今後も続けていこうと思います。校長が校長のあり方を批判的に論じるわけですから、リスクもありますけれど、もはや怖いものはありません😁私は私として、闘っていく覚悟です。味方になってくれる人が徐々に増えてきたと、実感しています。すべてのトランスフォーメーションに共通するのは「攻めの姿勢」です。少々のリスクを避けて何もしないのは、もはや許されません。
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今回の会議でも「自走」というキーワードをいくつか目にしました。リーディングDXスクールのオンラインセミナーでも「自走する学び」という言葉を聞きましたが、これから学校に求められる重要なキーワードだと思います。校長が引っ張るだけの学校経営では、結局校長個人の器量から抜け出すことができません。それでは学校の改革にはあまりつながらないし、そもそも教職員から見れば校長のワンマン経営にしか見えず、ウェルビーイングなど到底実現できないでしょう。生徒も先生も、これからは自分たちで何をすべきか探り、方法を考えて、見たことのない結果を生み出すという活動をしていかなければ、国際的にも競争できません。今までは「学校づくり」という観点で学校経営をしてきたのだと思いますが、これからは「世界をどう構築するか・持続させるか」という観点での学校経営を考えなければ、生き残れないと思います。そうなってくると、もはや校長一人だけではにっちもさっちも行かず、みんなの叡智を借りなければ何も進まないことになります。
もう一つの観点として「シェアする」ということが今後大切になると見ています。今回の会議では、根室市立北斗小学校の飯田校長先生の発表を聞かせていただいたのですが、旧来からの慣習にとらわれない斬新な取組が多岐にわたって進められており、なるほどそういうことか!と心の中で大きく頷いてしまうことが多々ありました。羅臼高校でもそのまま真似できそうなものがいくつかあり、早速試してみようと考えています。
以前から先進事例をシェアして、多くの学校の経営改善をしようと試みが積み重ねられているわけですが、これからはそれをもっと深いレベルで進めることが鍵だと感じています。DXも働き方改革も、ゼロベースで考えないと始まりません。しかし学校現場は、ゼロベースがなかなか難しいですよね。既存の枠組み、長年蓄積されてきたノウハウ、先輩が築いてきた伝統、といったものを壊すことができないんです。それによる良さはあるかもしれませんが、悪さも同時にあるわけです。今は、その悪しき伝統みたいなものを完全に壊して、全く新しい概念と方法を編み出すべき段階に来ています。何かを守ることも意義がありますけれど、今はそれよりも壊して更地にしてみる段階だと私は思います。壊さないと、何も始まらないのです。
組織を自走させるためのアイデアは、孤軍奮闘ではなかなか見いだせないと思います。今こそみんなでスクラムを組み、情報を日頃からシェアして、同時多発的にトライ&エラーを積み重ねることが大事なのではないでしょうか。そして、そのシェアのための切り札となるのが、DXなんですよ。
もう、止められないDX。そして働き方改革。
いやむしろ、やっと始まったと言うべきでしょう。
みなさんで協力して、管内、圏域、全道、全国と輪を広げていきたいものですね。
R6(2024).11.7 北海道羅臼高等学校長 古屋順一