トルコ南部のアダナ県で継続的に農家調査を実施しています。
アダナ県の季節農業労働市場において、労働者と農家間の関係性は薄く、労働市場が機能するために、仲介人が重要な役割を果たしていることがわかりました。
国内で移住した家族の子供の就学や労働への参加状況を分析し、非移住家族の子供と比べ、移住家族の子供は早期に働き出していることを明らかにしました。
近年、地球規模の気候変動を背景にして、西アフリカでは2050年まで平均気温が2度上昇すると予想されています。その影響で、世界第2位のカカオ生産量を誇るガーナではカカオ栽培適地が現在の2割程度に縮小すると予測され、カカオ園の気温低下に貢献できるアグロフォレストリーの導入が推奨・試行されています。
しかし、ガーナでは、未だアグロフォレストリーの本格的な導入には至っていません。その理由は何か? その解明のため、現在のガーナにおけるカカオ生産ならび関係政策や流通条件に関する実証分析に取り組んでいます。
今後のガーナにおける適正なアグロフォレストリー・システムの確立に向けて、ガーナと類似の自然条件を有するブラジル・アマゾン開発された小規模農園にも適応可能な遷移型アグロフォレストリー(Sistema Agroflorestal de Tomé-Açu: SAFTA(Sistema Agroflorestal de Tomé-Açu: SAFTA※)のガーナへの導入の可能性について調査研究を進めています(山田祐彰教授、加賀美思帆研究員との共同研究 )。
※ SAFTAは1929年創基のトメアスー日系入植地で日系移民とその子孫たちにより、長年にわたる試行錯誤を経て開発されたアグロフォレストリーである。栽培体系は短期作物(米、豆、果菜等)、1~2年で結果する蔓性作物(パッションフルーツ、胡椒等)、3~5年で収穫開始の熱帯果樹(カカオ、クプアスー等)、7~8年目から特用林産物や木材を産出する被陰樹(ブラジルナッツ、パラーゴム、マホガニー等)を組み合わせたリレー式(遷移)で、総合生産力と環境調整機能に優れる。主に1970年代以降形成され、現在、所有農地面積が25ha(一筆)から数千haに階層分化した200余の日系農場と、それらを取り巻く5,000戸の非日系農家(数~数十ha)で行われている。