森林-人間系科学分野

対象領域

 森林をはじめとする自然環境は多面的な機能を有しています。例えば、森林は私たちに木材を供給してくれるだけでなく、生物多様性の保全やレクリエーションの場の創出などの機能を発揮しています。しかし、これらの諸機能に関心を持つ主体はさまざまであり、ときに利害関係が衝突することもあります。さらに、林野庁が所管する国有林とそれ以外の主体が所有する民有林にまたがるようにして保護地域(例.環境省所管の国立公園)が指定されているケースもあるので、土地所有者・管理者も考慮すると状況はますます複雑になります。

 このように、持続的に自然資源管理を行っていくためには、自然そのものだけでなく、そこにかかわる人間社会についても理解を深めていかなければなりません。森林-人間系科学分野では、一般的には森林政策学と呼ばれる学問領域を基盤としつつも、狭い意味での森林・林業政策にとどまらず自然環境と人間社会のかかわり全般に視野を広げ、持続的な自然資源の利用・保全を実現する方策について検討をしています。そして、政策科学的な視点から社会的課題の解決に貢献することを目指して研究活動を行っています。

具体的な研究テーマ

 森林-人間系科学分野では幅広い領域について問題意識を持っていますが、自然資源管理に多様な主体が参加する「ガバナンス」を中心に据えて研究を行っています。具体的には以下のような研究テーマに取り組んでいます。

(1)自然資源管理にかかわるNPO・ボランティアに関する研究

(2)都市公園や自然公園、その他の保護地域など、森林レクリエーション空間の管理運営に関する研究

(3)山村の資源管理および地域振興に関する研究

研究手法

 地域で生じている社会的課題について考えるうえでは“現場”を知ることが重要です。このような考えのもと、森林-人間系科学分野では、関係者に対する聞き取り調査や諸活動の参与観察調査といった社会調査の手法を主に用いて研究を進めています。もちろん、これらの調査と並行して文献・資料調査により情報収集を行っていくことも欠かせません。

 このほか、アンケート調査や計量テキスト分析などの手法も組み合わせながら、社会的に訴求力の高い研究成果を蓄積していくことを目指しています。

聞き取り調査の様子

研究フィールドの例

里山
二次草原
都市公園
自然公園
山村
ラムサール条約湿地