八重桜がピンチなことについて

FFC遊休農地ゼロへ！　柳川　八重桜ジョイント栽培拡大に向けた調査・広報活動　調査報告書から許可を得て、転載しております。　フィールド・フォー・シチズン　P23〜24　より

八重桜摘みは、開花してから１〜２周間のうちに一気に行わなければならない「短期決戦」のため、その時期に集中して人手が必要である。しかし作業開始時期がその年ごとの開花状況によって大きく左右されるため、前もって人を確保しておくことが難しい。かつてのように農業主体の家が多かった時は問題にならなかっただろうが、農家自体が減り、会社などに勤める人が多くなった現在では人手の確保が難しくなっている。　

上記①の事情で摘み取りに従事できる人が減少する中で、長年摘み取りを担い続けてきた人たちが「60代、70代が中心。足腰が弱り、脚立から落ちる人もいる」（2017年4月24日付神奈川新聞）状況になってきた。①の人員不足の問題と、相まって、「この分だと10年後に摘み手はいなくなる」（同）との危機感が生まれているようである。

「80を超えたらはしごに登るのは難しく、10年後は自分も今のように（桜花を）もげるか分からない」（2017年1月12日号タウンニュース）とベテラン農家が話すように、長年摘み取りを担い続けてきた人が高齢になっていくとともに、高所での作業が大きな負担となり始めている。人手不足をボランティア等で補おうとする場合も、高所作業がネックとなって容易ではない。「摘み手不足問題を根本的に解決するには高所の花を摘み取る事のできる技術を習得した後継者の育成が不可欠」（2017年4月28号タウンニュース）とされるが、「こうしたスキルを習得するには経験を積む必要があるが、収穫期間は短く、農家にとっては繁忙期で、指導に時間をかけにくい。県外からのボランティア希望者もいたが、1回きりの参加では次に繋がらず、若者などの体験希望者が万が一落下したときの保険料を誰が払うかなどの課題もある」（2017年1月12日号タウンニュース）ため、育成が難しい状況である。