育種・生物工学
研究分野の紹介
ゲノム=生物の持つ遺伝情報
農業や畜産業の対象になっている作物や家畜はすべてが育種されています。ところが世界で養殖されている魚介類約700種魚介類のうち、きちんとした育種がなされているのは全体の10%以下です。育種が進まないと生産が安定しなかったり、抜本的なコストダウンがはかれないといったことがあります。そこで育種・生物工学分野では、生物の姿形、色や大きい・小さいなど様々な性質を決定している遺伝情報(ゲノム)を利用して、水産物の育種に関する研究を進めます。人にとって望ましい、成長が良い、病気に強いといった性質を持つ魚や魚介類をどうしたら効率よくつくれるかを考えます。性質を決める遺伝子の研究やその遺伝子を対象にしたゲノム編集などにも取り組みます。
予定している卒業研究のテーマなど
家系情報やゲノム情報を利用した養殖魚の育種に関する研究
ゲノム編集による魚類の育種に関する研究
その他
研究成果
日本に強みの技術でもうかる養殖業へ,AFCフォーラム2017年9月号, pp 3-6,afc_forum1709.pdf (jfc.go.jp)
トラフグの育種技術ーバイオテクノロジーをフグ養殖へ利用する,フグ食の科学,生物研究社 2021年 (ISBN: 9784909119193)
養殖魚でのゲノム編集 -肉厚マダイ・トラフグの作出を例に,ゲノム編集食品 : 農林水産分野への応用と持続的社会の実現,エヌ・ティー・エス 2021年 (ISBN: 9784860437169)
TILLING法を用いたトラフグ優良品種作出技術),よくわかる! 種苗生産と育種,緑書房 2014年
福井県立大学公開講座、「ゲノム情報を利用した魚類の育種」,2021年10月29日オンライン実施(下に掲載)
植物で開発された品種改良技術のTILLING法を用いて作出した高産肉性トラフグ(ミオスタチン有用変異トラフグ)
筋肉量を調整するミオスタチンというホルモンに特定の変異(有用変異)が導入されると身が肉厚になります。通常のトラフグに比べて約1.4倍食べる部分が多くなります。
写真上:高産肉性トラフグ(ミオスタチン有用変異トラフグ)、写真下:通常トラフグ(変異なし)