私たちの研究室では、『進化分子工学*』を駆使し、未だこの世の中にはない、「あったら面白い」、「こんなことができたらすごい!」という酵素を創り出す研究を進めています。
*変異と選択を繰り返す人工進化サイクルを高速で繰り返し、目的の機能や性質を持つ生体分子を生み出す技術。2018年度ノーベル化学賞を受賞した分野。
HPではお伝えきれない「面白い」研究が進んでいます。大学院進学(修士・博士課程)を考えている方、お話しを聞くだけでも大丈夫です。いつでもご連絡(hayashi[at]bio.c.u-tokyo.ac.jp)ください。
石油の枯渇は世界規模での問題であり、石油を代替する資源の開発は喫緊の課題です。石油は主に脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素に分けられます。前者はエネルギー資源(燃料)として、後者は工業製品原料(プラスチックなど)に用いられています。脂肪族炭化水素(アルカン)は、それを生成する酵素群が発見されて以降、遺伝子組換え微生物による脂肪族炭化水素の物質生産が可能となりました。一方で、芳香族炭化水素を生成する酵素は1種類しか報告がなく、物質生産の報告例はありません。本研究では、『進化分子工学』に加え、得られた配列を使った『深層学習』を駆使し、この世にはない芳香族炭化水素を生成する酵素を創成し、微生物によるバイオ生産を目指しています。HPではまだお話しできない内容もございます。ご興味のある方はお気軽にご連絡ください。
生物の作るアルデヒドには、香料や医薬品原料となる有用なアルデヒドだけでなく、疾患のストレスマーカーとなるアルデヒドも存在する。しかし、アルデヒドは反応性が高く、生成後、すぐに他の分子に変わってしまうものもあり、その場(in situ)で、直接その分子を検出することは困難です。本研究では、細胞内で生成した特定のアルデヒドについて、非侵襲的、かつ、リアルタイムに検出できるバイオセンサーの開発を進めています。このバイオセンサーは、アルデヒドを生成する酵素の活性を、非侵襲的に評価できるだけでなく、細胞内のアルデヒド生成における時空間解析をも可能にする画期的なセンサーです。まだ、立ち上げているテーマであるため、HPには掲載しておりません。ご興味のある方はお気軽にご連絡ください。
繊維状ファージの電子顕微鏡写真 (Wikipediaより引用)
タンパク質の進化分子工学では、多数の変異体タンパク質集団を作成し、各変異体の活性を評価・選択し、この変異と選択を高速で繰り返すことで、目的の機能や性質(熱安定性など)をもつ新しいタンパク質を短期間に創出する革新的な手法です(2018年ノーベル化学賞受賞分野)。さらに、深層学習、機械学習と組み合わせることで、より高機能な変異体タンパク質が作られるようになってきました。深層学習や機械学習を利用する場合、学習するアミノ酸配列(機能や性質がラベル化されたアミノ酸配列)の数が大きいほど、その精度は向上することが知られています。本研究では、ファージを使い、既存の手法では扱うことが難しい100万種を超える大規模な変異体タンパク質集団の中から高活性な変異体蛋白質をを数日で評価・選択できる手法を開発しています。次世代シークエンサーによる大規模塩基配列解析と組み合わせ、既存の”機械学習+進化分子工学”を超える高活性、あるいは、新奇なタンパク質の創出を目指しています。ご興味のある方はお気軽にご連絡ください。
本務である環境安全研究センターでは、東京大学のすべての構成員に向けた環境安全教育を進めております。環境安全教育は、世界環境、身の回りの環境だけでなく、自分の周りの環境、すなわち、「身を守る」・「命を守る」教育にも力を入れています。どのようにすれば、危険を察知し、どのように行動すればよいかを、わかりやすく、身に着けることができるか、を日々考え、適した教育内容・教材開発を進めております。本研究は、環境安全研究センター全員で協力して進めてます。