中央大学大学院博士後期課程修了 / 博士(哲学)中央大学
西洋近代哲学・倫理学(特にカント)
十代の終り頃、その厳めしい書名に魅かれて、岩波文庫版の『道徳形而上学原論』を読んで以来、イマヌエル・カントという哲学者と付き合い続けています。
とはいえ、ここしばらくは、カント倫理学の思想の核心、すなわち、感性的主体にとっての〈余剰〉としての「叡知的」なるものが倫理の根源であるという思想を横目に睨みつつも、その枠組みから抜け出すことも模索しています。
経験的主体としての「私」を超越するものは叡知界ばかりに存するとは限りません。この世界に現れつつも「私」を超越するもの、つまりは「内在的超越」とでも呼びうるものどもを、〈倫理〉という事態を構造的に可能にする「歴史的アプリオリ」の座に据えるべく召喚してみたいのです。それは例えば、歴史・記憶・他者・死者などであったりするでしょう。
人間主体の核にある理性そのものが、実はそれ自体として他者的な様相を帯びざるをえないということ、自己同一的なるものと目されもする「人格」とは、実はan sichに存在しうるものではなくして、歴史や共同体における他者との相関によって初めて生起しうるものだということ、そして、これらの事態こそが〈倫理〉の根源に他ならないということ。こうした茫漠たる考えに輪郭を与えるために助けを求めている先は、アーレントの政治哲学やA. Margalitの「記憶の倫理」、ダントーの物語論、レヴィナスの他者論、田邊元の「実存協同」の思想だったりします。
哲学演習(7)(15)
実践する哲学(1)
実践する哲学(2)
入門・哲学(前期)
哲学(後期)
Department of Philosophy / Chuo University