2019年3月21日,高尾の森わくわくビレッジで行われた関東春ロボコン2019.
昨年の4月からロボコンを始めた1年生(当時)6人が出場し,
今回の関東春ロボコン2019のルールでは,ロボットが「お供え台」と呼ばれる台に「三宝」と呼ばれるお皿状のものを置き,2か所の「木」から2個ずつある「果物」を回収し,「三宝」に「果物」を決まった形で盛り付けると「神饌奉納」となります.さらに「お供え台」に「三宝」を置くときは「自律動作」でなければいけません.
赤青の対戦形式で試合が行われ,先に「神饌奉納」を達成したチームがVゴールとなり,勝利します.
それでは,関東春ロボコン2019で準優勝したチームとロボットについて紹介していきます.
今回のロボットは,操縦者がほとんどの動作をコントローラで操作しないといけないものでした.つまり,ヒューマンエラーを起こしやすく,練習時に何度も操作を誤って,壊しそうになりました.(ほんと危なかったぁ…)
練習では,本番を想定し,チームメンバーとのコミュニケーションの取り方について重点を置き,たくさんの練習を行いました.おかげで,本番でもチームメンバーからの合図を頼りに,冷静に状況を判断でき,練習通りにロボットを操縦することができました.
操縦では“「果物」を回収するためにロボットがどの向きで入るのか”等,いくつかの大事なポイントがあり,それらをまとめた戦術ノートを作成しました.
「果物」を回収するためには「木」に対して,ロボットを少しだけ斜めに侵入させる必要があります.この“少しだけ斜めにする”を覚えるのがとても大変であり,苦労しました.さらに時間短縮のために,ロボットが移動しながら向きを変える必要があったのですが,これもとても分かりにくく苦労しました.(どの向きにどこまで回転するのかわかりにくい!!)
そこでこれらを忘れないようにするために,戦術ノートにロボットの方向転換をする位置・タイミングをまとめたり,ちょっとした気付きをメモするようにしました.それを大会前日のテストランや,本番直前に確認することができ,落ち着いて操縦に臨むことができました.
思いついたアイデアはどんなものであっても,まずはメンバーに話してみることを心掛けました.
今回のロボットの機構はどれも単純なものですが,ほかの大学にはない,独創的なものになりました.このようなロボットを実現が出来たのは,チームメンバー同士がアイデアを出し合い,相談しやすい環境があったからだったと思います.このようなメンバー間で話しやすい雰囲気を作ることが,より良いロボットを作るために必要だと思いました.
1つ目は磁石を用いた三宝回収機構です.磁石を用いることで,三宝に近づくだけで素早く確実な回収が可能になりました.
2つ目は三宝カバーです.三宝カバーは,回収した3つの「果物」を格納する機構です.三宝の真上で底面を開放し,三宝に確実に「果物」を盛り付けることが出来ました.
他のチームにはない,この2つの独創的なアイデアを形に出来たということが,準優勝に繋がった理由の1つだと思います.
ロボット(左)から伸びたアームの先端に取り付けられた磁石によって床面に置かれていた「三宝(右)」を確実に取り上げ,回収する.
ハンドの「果物」に触れる面には吸盤を用いることで,ある程度位置が曖昧でも回収を可能にする.
回収した「果物」はカゴ状の三宝カバーの中に3つ格納し,「三宝(左,台の上)」の上空で底面を開放することで3つ同時に盛り付ける.
盛り付けた「果物」が跳ねないよう,「果物」の接する箇所に緩衝材としてスポンジを設けた.
「三宝」回収時に使う鉄板は傾斜が設けてあり,回収をより確実にした.
三輪オムニホイールを用いた足回りで、接地エンコーダ3つで自己位置推定を行う.
フレームにバンパーとなるスポンジを付けることで,「果物」回収時の位置決めを容易にした.
自律操作モードはロボットがスタートし,「三宝」を回収し、お供え台におき,スタート位置に戻ることを行いました.ロボットは移動距離により動作を決定していたため,「三宝」をうまく回収できるまで,何回もロボットを走らせて位置を調整していきました.非常に辛抱がいる作業でしたが,調整がうまくいったときの達成感は忘れることができません.
今回作ったロボットでは,制御と回路を別々に担当していたため,相互に連携を取ることを意識しながら制作にあたりました.また,大会前日にコントローラーの接続不良が問題になってしまったので,大会会場近くで調達できるもので応急的な処置として行いました.大会直前までできることをすることの重要性が身に染みて理解できました.
昨年の4月からロボコンを始めた私たちにとって,今回のような大きなロボットを作るのは初めての経験でした.そのため,アイデアが思いついても,その動きをどのようにしたら実現させれば良いかがなかなかわからず,開発ではとても苦労しました.そこで,先輩がこれまでに作ったロボットを参考にしたり,先輩にアドバイスを貰い,自分たちのロボットを作り上げていきました.
また,各メンバーがそれぞれの担当を越えて,お互いに協力し合えたことがロボットの完成,準優勝と言う結果につながったと思います.そのおかげで,例えば「三宝」や「果物」を早く確実に回収できるのかについてのアイデアを形にすることができました.
練習で苦労した点は,開発の遅れにより,練習時間を確保するため昼夜を問わず練習した点です.ロボットの開発に多くの時間を費やした結果,練習を行えるようになったときには,大会が3週間後に迫っていました.また,ロボットを動かし始めても,最初は思ったような動きを実現させることができず,とても苦戦しました.
しかし,それから毎日のように,スタートから「神饌奉納」までの一連の動きができるように練習を繰り返しました.本番を想定し,セッティングタイムや試合時間,メンバーの動きを意識した練習も徹底しました.中には徹夜で練習した日もあり,精神的にきついと感じることもありましたが,練習する回数を重ねるごとに神饌奉納までの一連の動きを達成できる確率は上がり,タイムも短縮されていきました.
そして迎えた本番では,メンバー間の声掛けや試合の流れなどの練習から意識して行ってきたことができ,決勝戦まで勝ち進むことができました.決勝戦では,相手チームに敗れて悔しいと感じましたが,これまで練習を重ねてきた甲斐があったと感じた瞬間でもありました.
開発でも練習でも苦労したことはたくさんあります.しかし,開発での苦労がなければ,ロボットを作り上げることはできなかったし,練習での苦労がなければ,本番でメンバーやロボットが思ったように動けなかったと考えます.
たとえ苦労があっても,投げ出すことなく最後までやり遂げようとしたことが今回の結果につながったと考えます.
今回の大会で,我々は未熟ながらも準優勝という結果を得ることができました.
勝因として,運もあったとは思いますが,十分な戦略を練れたこと,独創的なアイデアで勝負できたことが大きかったと思います.春ロボコンに取り組み始めた頃は,ロボコンを始めて半年ほどの初心者でしたが,終わってみれば自分たちのやってきたことがこのような結果となり,大きな自信となりました.
今回の春ロボコンで得られた経験は,今後のロボコンでの活動の大きな原動力となると思います.
自分たちのアイデアでロボットを動かし,勝負する.
そんなわくわくする体験を,東京工科大へ入学を考えている高校生や,新入生にもぜひ体験してもらいたいなと思います.
3月19日(大会2日前)時点での練習の様子です.セッティングタイムから通して行うことで,本番を意識した練習を行いました.(音声にノイズが乗ってしまったため,音声はカットしております)