現生種を対象に、生態と形態の関係を探る

主にニホンジカを対象に、生態が明らかになっている各地域集団の比較を通じて、生態と形態の対応関係を明らかにする研究に取り組んでいます。ニホンジカでは特に食性と形態の対応関係を詳しく調べてきました。

種内の地域集団間比較というアプローチは、ニホンジカに限らず、日本産哺乳類でまだまだ進化生態学的に興味深いテーマがありそうです。

絶滅種の古生態を明らかにし、進化を探る

現生種により明らかになった、生態と形態の関連性を絶滅種に適用することで、その種の古生態を明らかにできます。

生態を復元することそのものよりも、それから当時の古環境を推察したり、長い時間軸での進化を明らかにすることに主眼を置いています。

現在、研究対象として扱っている化石種としては、琉球列島の化石シカ類、ミャンマーの中新世~更新世の化石偶蹄類などです。

先駆的な形態解析手法で、新たな分野を拓く

伝統的な形態計測手法に加えて、より先駆的な形態解析手法にも取り組んでいます。

今、最も力を入れているのが共焦点レーザー顕微鏡を用いた、歯の微細摩耗痕の定量的評価と、その古生態復元への応用研究です。この手法はまだ世界的に研究拠点が少なく、アジアでは当研究室が唯一の拠点です。哺乳類のみならず、恐竜などの中生代爬虫類にも適用を試みています。

また、CTスキャンを用いた形態比較や、デジタルデータを3Dプリンターで造型など、形態評価にデジタルデータを積極的に利用しています。