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10/22(土) 14:00~15:00
講演:データからわかること
~医療・介護データを読み解き価値創造~
長谷川 敏彦、中山 健夫
ここ数年、「自然と社会と政治と自己」の関係を問い直す重大事件がたて続けに発生し、近代の価値観が揺さぶられている。実は「近代の終焉」はすでに始まっており、50歳以上人口が大半を占めることになる「人口遷移」後の社会に向けて、個々人が濃密な電子の網に絡み取られる「デジタル高齢社会」に突入している。日本がその最前線に立つ人類未踏の社会は課題も多く、当学会の対象である認知症もその重要な一つである。価値観の揺らぎは好機であり、全く異なる分野の自由な参加と創意が必須である。それを理念とする当学会の慧眼に敬意を表したい。
投薬を含む医療の日次データと日本では20年間にわたって蓄積された介護認定データを束ねて解釈することによって、多剤投与の問題や医療費の適正化に対処が可能になる。また、幼少期からの個々人のデータからその人を「わかる」ことによって生涯の幸福につなげることができるだろう。
「ポスト・トゥルース」の時代と言われる現在、デカルト以来の、手続きを経て専門家がデータを用いて証明する世界から、客観は無いとしてデータを用いてコミュニケーションする世界に代わっていく「コミュニケーションの革新」を、日本の自然の豊かさ多様性を反映し八百万の神や発酵文化に象徴される「ごちゃまぜ理論」を、今後想定される10人に一人を超える認知・軽度認知症の人との間の新たなメディア、「21世紀の日本語の開発」等の提案をする。さらにその基礎となるライフログデータベースの構築と、データ共有によって異なった価値を探り出すための「データ解釈学」の創設である。
10/22(土) 15:10~16:10
トークセッション1: 経験と想像の拡張
~VR×メタバースの可能性~
石川 翔吾、水野 拓宏、竹林 洋一
VRとメタバースは経験と想像の拡張に広く貢献する可能性がある。発達障害の当事者がメタバースの世界でコミュニケーションに参加するきっかけをつかみ、徐々に実社会に復帰できる可能性がある*。また、センサのデータや知識をメタバース空間に張り付けて、より深い議論ができるようにもなるだろう。
さらに、本学会名は認知症と銘打っているが、本来は英語名のHuman Cognitive Disorder(認知機能障害)で示すように幅広い認知機能障害を対象とし、認知を多角的に考えていこうとする点ついて、学会を発展する観点から議論していきたい。
*「VRで高齢社会をデザインする|【第13回心身健康デザイン連続セミナー】講演アーカイブ」を事前に見ていただくことをお勧めいたします。
https://www.youtube.com/watch?v=B_WC0pY1zj8
10/22(土) 16:20~17:20
トークセッション2: ケアの現場から生まれるデータ
田中 克明、結城 崇、大房 直人
毎日の介護記録業務、紙でメモして、あとでまとめて介護ソフトに入力となると、二重業務になったり、記録を忘れてしまったり、移動しなくてはいけなかったり... そこで、介護業務中に「声」を使ってその場で自動記録できれば、業務負担軽減だけでなく、利用者さんと向き合う時間をもっと増やせないだろうか...?という、介護現場の声から生まれたのが、「音声」で入力できるAIアプリの「ハナスト」です。https://hanasuto.carewiz.ai/
「ハナスト」を中心にケアの現場から生まれるデータについて「わかる」ことによって、ケア現場が「かわる」のではないかという観点で議論を進めたい。
10/22(土) 18:00 ~20:00
懇親会
日本橋のレストランをご用意しました。ゆったりしたスペースで立食ではなく座席に着いて、落ち着いた雰囲気で、対面では3年ぶりとなる交流を楽しみましょう。
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10/23(日) 11:00~11:30
発表オリエンテーション(Gather townのチュートリアル)
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10/23(日) 13:00~13:15
初日の振り返り
石川 翔吾
初日に参加できなかった方のために、短時間でポイントをまとめてご紹介していただきます。
10/23(日) 13:20~14:20
トークセッション3:ケアする人の認知拡張と行動変容
樋口 直美、上野 秀樹、青野 桂子
文筆家で認知症本人である樋口直美さん、医師として長く認知症本人や家族と向きあってきた上野秀樹さん、介護現場を経て認知症ケア教育に携わる青野桂子さん。この三人それぞれの経験・知見が相まって、ケアする人(家族、地域の人々、医療・介護従事者等)の認知拡張と行動変容について話題を提供します。
ケアする人の認知拡張をケアする人自身の行動変容に繋げ、ひいては認知症本人の生きづらさ(障害)の低減にどう繋げるのか、その答えを見つけるのは容易でありません。
この話題提供をきっかけに、ご視聴の皆様がなんらかの認知拡張をされ、なんらかの行動変容をされれば、社会全体がその答えに一歩近づくものと確信しています。
10/23(日) 14:30~15:30
トークセッション4:「生きづらさ」の背景が分かるとケアが変わる、地域が変わる
岡田 太造、的場 由木、西 ミキ
「生きづらさ」を抱える人の中には、「問題」と思われる行動をとる方がいます。市役所の相談窓口や支援の現場では、こうした方々の対応に悩んでいることも多いかと思います。「何故、こうした行動をとるのか」とその方の抱える課題について考える(認知拡張)ことで理解が深まり、共感できるようになると支援者の考え方が変わり、効果的な支援(行動変容)につながります。生活困窮者の支援の現場や市役所の相談窓口で活躍されている方と議論を深めます。
10/23(日) 15:40~16:40
インタラクティブセッション:「Gather townで実施」
座長:川﨑 一平
インタラクティブ発表演題登録募集終了
※演題募集期間を10月10日(月)まで延長しました
10/23(日) 16:50~17:50
オンラインごちゃまぜ交流会:「Gather townで実施」
インタラクティブセッションに引き続いて、Gather townを使って、本学会の特色である「ごちゃまぜ交流」を楽しみましょう。
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橋田 浩一
東京大学 教授/理化学研究所
1958年愛媛県生まれ。1986年東京大学大学院理学系研究科修了。理学博士。1986~2001年 電子技術総合研究所(1988~1992年 新世代コンピュータ技術開発機構に出向)、2001~2013年 産業技術総合研究所。2013年から東京大学大学院情報理工学系研究科ソーシャルICT研究センター教授。2017年から理化学研究所革新知能統合研究センター兼任。研究分野は自然言語処理、人工知能、認知科学など。言語処理学会会長、日本認知科学会会長などを歴任。本学会副理事長。パーソナルデータの分散管理による価値創造のための技術とビジネスモデルを提唱し、自治体や民間企業と連携してこのモデルの普及を進めている。
http://www.sict.i.u-tokyo.ac.jp/members/hasida/
https://aip.riken.jp/labs/ai_soc/decentralize_bigdata/
沢井 佳子
チャイルド・ラボ 所長
認知発達支援と視聴覚教育メディア設計を専門とする。専攻は発達心理学。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。同大学院人間文化研究科博士課程単位取得退学。幼児教育番組『ひらけ! ポンキッキ』(フジテレビ)の心理学スタッフ、文教大学人間科学部講師、お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科 研究員、静岡大学情報学部 客員教授を歴任。日本子ども学会常任理事、日本こども成育協会理事、人工知能学会「コモンセンス知識と情動研究会」幹事。幼児教育シリーズ『こどもちゃれんじ』(ベネッセコーポレーション)の「考える力」プログラム監修、幼児教育番組『しまじろうのわお!』(テレビ東京系列/2016年国際エミー賞子ども番組部門ノミネート、2019年アジアテレビ賞受賞)の監修など、多様な視聴覚メディアを用いた子ども向け教材・教育玩具の開発やテレビ番組の制作におけるコンテンツ開発に携わっている。
長谷川 敏彦
未来医療研究機構 代表理事
アメリカでの外科の専門医レジデント研修など15年の外科医生活、ハーバード大学公衆衛生大学院での学習研究を経て1986年に旧厚生省に入省し、「がん政策」「寝たきり老人ゼロ作戦」を立案。国立医療・病院管理研究所で医療政策研究部長として「健康日本21」「地域医療計画」「医師需給計画」「医療安全政策」をはじめとした医療予防政策と医療経営政策策定に、国立保健医療科学院で政策科学部長として「スリランカ国全体の国家医療計画」立案に関わった。
その後、日本医科大学で医療管理学主任教授を経て、2014年に未来医療研究機構を設立。現在、地域包括ケアや21世紀のための新たな医学、公衆衛生学、社会福祉学そして進化生態医学創設に向け研究中。最近では過去40年間の日本の医療制度改革の歴史分析を英語で出版。日本医師会公衆衛生委員会にて健康の新定義(2018年)健康格差の答申(2020年)ポストコロナの予防医療(2022年)に参与、日本医学会の120年後医療の在り方提言に参加している。この間複数の自治体と、医療介護保険データを統合したビッグデータにより根拠に基づくデータ科学駆動型政策形成の研究と実装を進めている。
<主な著書>
地域連携医療・看護・介護・福祉の協働と包括的支援 オーム社,2013
愛知県地域再生・まちづくり研究会報告書 2018
日本医師会公衆衛生委員会提案論文「コロナ後日本医療介護予防の在り方の提案」2022
<ウェブサイト>
一般社団法人未来医療研究機構 https://rifh.or.jp/
中山 健夫
京都大学 教授
東京医科歯科大学医学部卒業後、東京厚生年金病院(現在東京新宿メディカルセンター)や国立がんセンター研究所がん情報研究部 室長などを経て現在は京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 教授を務める。健康情報学を専門とし、公益財団法人日本医療機能評価機構Minds(マインズ)やEBM・診療ガイドラインに関する厚生労働科学研究にも携わっており、日本の医療情報の分野において大きく貢献している。
石川 翔吾
静岡大学 講師
2005年3月静岡大学情報学部卒。2011年9月 静岡大学 博士(情報学) 取得。研究分野は認知症情報学、子どもの発達理解、発達モデル、高齢社会デザイン など。 「コンピューターの力を使って新しい価値を創造する」として、全国の介護施設や病院と共同研究を続けている。 日本子ども学会、電子情報通信学会、情報処理学会、人工知能学会 各会員。情報処理学会高齢社会デザイン研究会主査。
水野 拓宏
VRコンテンツプロデューサー/株式会社アルファコード 代表取締役社長
1974年生。芝浦工業大学卒。 株式会社ドワンゴで数百万人規模のWebサービスのシステム設計を担当。2006年、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)により天才プログラマー/スーパークリエータに認定。2015年、前身の会社からMBOし「株式会社アルファコード」代表取締役社長 CEOを現任。 「バーチャル・リアリティ百科 深化するVRの現在と可能性」他、VRに関する寄稿・監修も行っている。
株式会社アルファコード https://www.alphacode.co.jp/
竹林 洋一
みんなの認知症情報学会 理事長
東北大学大学院博士課程修了。工学博士。東芝入社。MITメディアラボ滞在中に人工知能研究の巨人・ミンスキー博士の知遇を得る。東芝研究開発センター技監などを経て、静岡大学教授。これまで音響信号処理、人工知能、音声対話システム、ナレッジマネジメント、医療情報システムの研究実用化に従事。情報処理学会ヒューマンインタフェース研究会主査、情報処理学会高齢社会デザイン研究会主査、人工知能学会理事、情報処理学会理事などを歴任、情報処理学会フェローなど受賞。デジタルセンセーション株式会社取締役会長(2004年〜2017年)、株式会社エクサウィザーズ取締役フェロー(2017年6月から2019年6月)。現在、静岡大学創造科学技術大学院特任教授、日本子ども学会理事。
田中 克明
コクヨ㈱
結城 崇
㈱エクサウィザーズ
大房 直人
㈱ケアコネクトジャパン
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23日(日)話題提供者、座長
樋口 直美
文筆家
2013年に50歳でレビー小体型認知症と診断された。41歳でうつ病と誤って診断され、治療で悪化していた6年間があった。多様な脳機能障害の他、幻覚、嗅覚障害、自律神経症状などもあるが思考力は保たれ、執筆活動を続けている。
主な著書に『私の脳で起こったこと』(ブックマン社,2015年/ちくま文庫,2022年)日本医学ジャーナリスト協会賞優秀賞受賞。『誤作動する脳』 (医学書院 シリーズ ケアをひらく,2020年)。『「できる」と「できない」の間の人』(晶文社,2022年)。『認知症世界の歩き方』(ライツ社)監修。『VR認知症 レビー小体病 幻視編』(シルバーウッド)脚本。
上野 秀樹
千葉大学医学部附属病院
東京大学医学部卒業。東大附属病院精神神経科にて初期研修後、東京都立松沢病院にて認知症精神科専門病棟を担当して以来、認知症医療に従事。2009年から海上寮療養所で訪問医療(往診)に取り組み、診察した700人以上の中で、実際に入院が必要だったのはごく少数ということが判明。近著「認知症医療の限界、ケアの可能性」で日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞。認知症の見立て能力を育成する協調学習方式を開発し、全国で勉強会を開催。千葉大学医学部附属病院地域医療連携部 特任准教授。
青野 桂子
青野桂子事務所 代表
介護教育コンサルタント・社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員。バブル崩壊後バスガイドから介護職員に転身する。様々な事業所にて介護職員・ケアマネジャーとして従事。介護現場の経験を生かし年間250回以上の講義、講演、研修を実施。介護福祉士養成校にて介護教員も務める。全国初となる外国人向け介護福祉士予備校、ストレート介護福祉士予備校の校長も務める。一般社団法人CI CONNECT理事。
<出版> 介護福祉士受験対策予想問題・超重要キーワード360 日総研出版
<メディア> ニンテンドーDS「介護ナビDS」テクニカルアドバイザー(監修)、スマートフォン学習アプリ「青野桂子の介護福祉士受験対策600」
川﨑 一平
京都橘大学 助教
2019/03東京大学大学院 新領域創成科学研究科 国際協力学専攻 修士課程修了 修士(国際協力学)。専門分野は地域リハビリテーション、開発途上国のリハビリテーション支援、 在宅リハビリテーション。日本認知症ケア学会、京都府作業療法士学会、日本保健医療社会学会、日本作業療法士学会会員。
岡田 太造
兵庫県立大学 客員教授
1980年一橋大学経済学部卒業、厚生省入省。厚生労働省社会・援護局保護課長、年金局総務課長、内閣府共生社会政策担当審議官、厚生労働省障害保健福祉部長、社会・援護局長、2014年退官。厚生労働省では、生活保護や生活困窮者の支援、障害者の支援についての制度立案、運営等に従事。退官後は、NPO法人すまい・まちづくり支援機構寄りそい支援検定研修制度検討委員会委員長、一般社団法人パーソナルサポートセンター顧問、一般社団法人居住支援全国ネットワーク理事などとして、精神障害等様々生活課題を抱えて生活に困窮している方々の支援に取り組んでいる。
的場 由木
自立支援センターふるさとの会 理事
1979年東京生まれ。1997年「ボランティアサークルふるさとの会」にて生活困窮者支援に関わりはじめる。2001年「特定非営利活動法人自立支援センターふるさとの会」入社。2003年東京医科歯科大学医学部保健衛生学科看護学専攻卒業。現在「特定非営利活動法人すまい・まちづくり支援機構」理事、「更生保護法人同歩会副理事長」。保健師として、ふるさとの会の生活支援員を対象としたケア研修及び対人援助研修を実施している 。
<著書>「生きづらさ」を支える本―対人援助の実践的手引き 佐藤 幹夫【監修】/的場 由木【編・著】言視社,2022年8月
西 ミキ
加賀市 市民健康部 相談支援課長