20. café unsan サラリーマンと倉庫のネクストストーリー
福岡県久留米市に住むご夫婦のための倉庫リノベーション。
café unsanは住宅街の中にあり、車一台分ほどの細い道を通った先に隠れ家のように見えてくる。
ご主人の早期退職を機に、趣味であるコーヒーを生かし、近所の方々の憩いの場、コミュニティが生まれるゆっくり過ごせる場所(カフェ)。そういった空間をご実家の敷地内にある倉庫を改修して開きたいとのご要望だった。ご夫婦は、普段からコーヒー豆をご自身で焙煎して飲むほどのコーヒー好き。打ち合わせ中も会話の中で感じるご夫婦の人柄の良さ、コーヒー好きだとお話しすると、焙煎したコーヒー豆を頂いたりと、常にご夫婦のやさしさを感じる打ち合わせだった。そのため、ご夫婦とおしゃべりを求めて来るお客さんも多くなるだろうと想定し、各座席が店員さんから遠すぎず、こられるお客様みんなとお話ができるようにレイアウト等を検討し、近代的なカフェというよりも喫茶店のような、つい長居しちゃう。そういった居心地の良い空間を目指した。
また、予算の都合もあり、工事する場所、しない場所を明確にした。天井は解体した状態そのままに。壁はボード貼りまでを行い、お施主様と一緒に塗装をする工夫をした。その計画によって天井を解体して出てきた鉄骨の梁や、母屋、既存の腰板が空間の表面に出てくるようになり、以前の記憶(倉庫)とともに、新たな道(カフェ)へスタートするといった空間の意味が出たのではないかと思う。今回、壁の塗装をする際もお施主様と一緒に、「インテリアはどんなのにしようかな?」「どんな照明をつけようかな?」とお店の完成後を想像しながら楽しく行うことができ、お客様と一緒に空間を創っていることをとても実感した現場だった。