アクシオン
偽情報で汚染されたインターネットのニュース流通機能を高度化するプロジェクト
プロジェクトの要点
偽情報やフィルターバブルに耐性のある、ウェルビーイングに配慮したハイエンド・ニュース・ツールを作るプロジェクト
大規模の偽情報・誤情報・情報操作による社会への影響を防ぎ、人類の幸福追求と知識の発達を促すニュース・コミュニケーションを目的とする
プロジェクト開始の契機は、ジャーナリストの吉田拓史が、2014年のインドネシア大統領選挙を取材していた際にソーシャルネットワーキングサービスを経由した大規模の情報操作に直面したことに依拠する。吉田はその後、2016年の米大統領選挙、ブレグジットの国民投票で行われた同様の混乱を目の当たりにし、プロジェクトの必要性について確信した。2017年9月、職を辞した吉田の個人プロジェクトととしてスタート。2019年4月に法人化された。
アクシオンの名前は理論物理学者がその存在を予見したダークマターに由来する。これはアクシオンが作るメディアプロダクトが未来を予測し、人々がその人の未来のためのアクション(Action)を取ることを促すことを含意としている。
プロジェクト発起人:吉田拓史
2014年、吉田がインドネシアで政治経済分野のジャーナリストとして取材していた際、同国大統領選挙期間中に展開された、ソーシャルメディアを利用した大規模フェイクニュース・キャンペーンに遭遇。選挙戦が情動戦略によって一種の内戦状態になってしまった。
米系デジタルマーケティングメディアの日本版創刊編集者として、ビジネス開発とデジタルメディアについて学び、フェイクニュースが生まれる背後関係を学び、2016年の米大統領選・ブレグジットの国民投票におけるフェイクニュースキャンペーンに遭遇し、これらの問題を解決するニュースサービスの開発を決意。詳しくは●ビジョン、ミッションページ●を参照。
人物の詳細は起業家としてのプロフィールサイトかジャーナリストとしてのプロフィールサイトにて。
開発・運営された製品
アクシオン|次世代ビジネスメディア。月間アクティブユーザー数(MAU)14万。月10ドルの有料購読者数が約100人の有料購読ニュースサイト。ブルームバーグ、フィナンシャル・タイムズ、The Economist、ニューヨーク・タイムズ、サイエンティフィック・アメリカン等の欧米一流紙の翻訳記事とオリジナルコンテンツによるニュースレターで構成される「日本で最も高品質な経済誌」。このウェブアプリケーションはMVP(Minimum Viable Product:最小限のプロダクト)であり、これを足がかりに機械学習(ML)を利用した大規模ニュースサービスを作る計画。日本のスタートアップ界隈において資金調達が難航し、MVPのままの展開が続いている。このプロジェクトは投資家を探している。
iOSアプリ。
プロジェクトの概要
Axion(アクシオン)というプロジェクトは、2014年、吉田がインドネシアの大統領選挙を取材している最中に、SNSを利用した大規模情報操作作戦が行われ、選挙が大混乱に陥ったのを目の当たりにしたことを契機としている。
吉田は帰国後、オンラインメディアのスタートアップを立ち上げようとしたが、いくつかの困難に直面し、米国のデジタルマーケティングメディアDIGIDAYの日本版の創業編集者に落ち着いた。DIGIDAYはデジタルメディアやデジタルマーケティングに関する深い専門知識を提供するパブリッシャーだった。
2015〜2017年のDIGIDAY[日本版]在職時はソーシャルメディアが成長のピークを迎えていた時期と重なった。その最中に2016年の米大統領選挙とブレグジットにおけるソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を通じた大規模キャンペーンに遭遇した。インドネシアでの経験とDIGIDAYで得た知識を基にこれらの混乱を考慮すると、吉田にとってそこで起きた問題が恐ろしいほど立体的に見えた。
吉田は既存のデジタルメディアの代替案を考え始めた。2017年9月に会社を辞し、個人プロジェクトととしてアクシオンを開始した。当初は投資家の関心を買うために、動画制作を行い、ユーチューバーの真似事をしていた(投資家から資金さえ得られれば好きに使えると思っていたのだ)。
インドネシア・中部ジャワ州ソロの自動車工場を取材時の記念写真
アクシオンは人々をスクリーンに張り付かせ、無駄な、あるいはトキシックな情報を取得するように仕向けることを正当化するインターネット経済の転換を図るプロジェクトである。詳しくはビジョンとミッションを呼んでいただけると助かる。これはコネクテッドデバイスが世界中に普及する中で、社会が不安定化し、その叡智を失ってしまうことを防ぐための挑戦である。
このプロジェクトは2019年4月から株式会社アクシオンテクノロジーズという形で法人化している。吉田は外部から投資資金を募って急速に成長するスタートアップ企業としてこのプロジェクトを定義した。日本のベンチャーエコシステムや日系テクノロジー企業とは様々なことがあり、恐ろしいほど多数の試練に直面し、これを書いている2023年1月11日現在もその試練の中にいる。
アクシオン(Axion)という名前は、プロジェクトの未来に対する態度の比喩である。アクシオンは存在が予言されながら未発見の素粒子で、わずかに質量をもつと考えられるダークマター(暗黒物質)の候補である。数ある暗黒物質は「得られている観測結果を説明するために存在しないとおかしい」と推定されている。高質なニュース、情報とは未来に関する情報を含んだもので、アクシオンと似た性質を持っているはずだ。このような情報を作り、フェイクやヘイトに変わって流通させるプラットフォームを作ることが、アクシオンという命名の含意になっている。