このページはここ『toVilla』の空間で巻き起こる架空の物語を、自称「扉の番人」がエピソードを交えて執筆しています。
ーa story ー
思いのほか早く目覚めた日曜日の朝
この一週間の勤務疲れが多少残っている
今日は一日ダラダラとしてやろうか、それとも。。。
気付くと横浜駅に向かい、YCATリムジンバス乗り場で羽田ではなく葉山方面行きに乗車していた。
11:00amに出発すると直ぐに高速道路に入り、左側車窓の工場群を堪能しながら乗車前に買った缶ビールをぐびり。
ラグジュアリーな気分に浸りながらくつろぎの一時間を楽しむと「立石」に到着。まだ昼前だ。
立石公園から浜辺に下りて秋谷海岸を右端から左端まで波音を聞きながら歩く。
人もまばらなオフシーズンの海辺は静かで穏やか空気がおいしい。
砂浜を歩くとちょっとした運動になる。お腹が減った。。。
浜から上がってR134に戻り、目的地『toVilla』に急ぐことに。
小路に入り急な坂に降り立ち、住宅街の一軒家のアンティーク扉を開けて中へ。
すると外観からは全く想像できなかった空間がそこに現れた。
店主に挨拶をするとカウンターでも中央のテーブル席でもなく、今日の気分の窓際お一人席に座ることにした。
オーダーはラムシチューとギネスビールと決めていた。
舌鼓を打ちながら本棚から選んできたデザイン系の本をパラパラとめくる。
食後のドルチェはチョコレートのテリーヌ、これに合わせて数種選べるグラスワインの中から”ベルルーシュ”をチョイス。
ほろ酔い気分が昨日まで頑張った自分を優しく包んでいる。
本棚に戻り好みの本を探しながらエスプレッソをオーダー。
何時間でも居れてしまう不思議。
会計を済ませて16:00pm店を出るとまたビーチに向かい、今度はゆっくりと浜辺を右端まで。
さっきとは違う夕焼け空が刻一刻と変わってゆく。
深呼吸してみる。時を忘れる、目まぐるしかった日常を忘れる。
「立石」16:36発の横浜駅行きリムジンバスに乗り込み、「さぁ帰ろう・・・。」
作 : 扉の番人
ー a story ー
episode M
その女性は今日も来ていた。いつものカウンター席に座ると楽し気にmenuを眺めている。
どうやら頭の中でオーダーを組み立てている様子だ。
この店のファンであるというこの女性、いつも遠方からわざわざ通って来ている。
確か以前、可能な限り全menu制覇したいと店主に告げていたのだ。
まずはプチパイに菜の花とセミドライトマトのサラダ、そして白ワイン・シャルドネをオーダー。
この店はワインも小皿料理も数種から選べるのが嬉しくも悩ましいのだろう。
グラス片手に窓に目をやると、木々はこの時期やせ細って枝だけなのだが
その中にピンクと白の花びらが散りばめられていて、「春」を感じさせてくれている。
空は青く花びらとのコントラストがなかなか良い。 来月は外のテラス席を楽しもうとふと思う。
メインに頼んだボロネーゼが運ばれてきた時、赤ワイン・ピノノワールを注文した。
窓辺のアラジンストーヴの上の古いやかんからシューっと湯気が音を立てる。
来たる春と冬との共演、そんなあいまいな季節・・・悪くない。
ちょっとほろ酔い気分になって、もしここにハンモックがあったなら
好きな本を読みながら多分数ページで撃沈するだろう。
酔い覚ましにハンドドリップ珈琲とまた悩ましい数種のドルチェから食べたことのない2種を選ぶ。
本当に美味しそうに顔を緩めている。 至福感が溢れている。
また来月、お会いしましょう。
作 : 扉の番人
ー a story ー
episode U
遅い時間に扉を開け、男の子を連れ立って彼は訪れた。
いつもは一人で開店と同時に来て、本を読みながらゆっくりとしていくのだが。
彼の息子が“石”にはまっていて、鎌倉から始まり逗子、葉山と海岸を南下して来た最終地だそうだ。
店主に収穫した石を見せながら得意そうに話す姿を横目で見ながら微笑んでいる彼。
『toVilla』の前身である恵比寿にあった『anotherDoor』からの付き合いで
律儀な彼は月に一度は必ず訪れて自分時間を存分に楽しんでいる。
この日は息子に振り回されて多少疲れ気味に見えるが、見つめるまなざしがとても穏やかだ。
ドルチェを食べながら家の中とは違う自然の中での親子の時間はとてもやさしい。
まだ肌寒いテラスに出て川の流れを見つめ、いろんな鳥を指さして興味津々。
タイミングが合えば、リスに餌をやってる男の子の姿が見たかった。
いつか川に下りられるように君に約束するよ。
そしたらパパが読書にふけっている間、川遊び出来るね。
なんなら、すっと下って海まで歩いて行こうか。
さて陽が片向いてきたのでそろそろバスに乗って帰ろうか
オレンジ色の夕焼けの海を見ながら。。。
作 : 扉の番人