害蟲展 season4

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害蟲展season4 図録  (全44ページ ※表紙含)販売しています。

入選作品

最優秀賞

すめらぎ

山本 衣織

2001年静岡生まれ。2020年に多摩美術大学彫刻学科に入学し、現在も在学中。大学2年じから一貫して、虫がモチーフの作品をブロンズ鋳造や金属を用いて制作している。虫がその命を終わらせる時に放つ美しさや、その退廃的な美しさを表現する。

トノサマバッタの蝗害をモチーフにして、集団の恐怖感と退廃的な美しさを表現しました。蝗害というのは、バッタの群生相が大量発生することで起きる「災害」のことです。群生相というのは人口密度が原因で身体が変化した個体のことで、バッタが群生相になると色や体が変化し最大何千億匹もの大群で草木や農作物を食い尽くすことがあります。そんなトノサマバッタの群生相を約200匹作り、ブラックボックス上に合体させました。

優秀賞

大雀蜂

井上 郁

1991年千葉県出身。金属を使用して昆虫など生き物をモチーフとした作品を制作中。フリーのデザイナーとして活動しながら作品を作っています。
Twitter&instagram / @rittaikobo

スズメバチは害虫の中でも攻撃的で多くの人から恐れられています。亡骸になっても怖さは消えず、今でも針で刺そうとする気迫があります。群れの中のたった一匹の蜂ですがこの個体に刻まれた欠けや傷に歴史を感じ、生きた痕跡を残したいと思い制作しました。
鋳造という技法で制作し、表面の緑色は科学変化を利用して緑青で色を出しています。

 入選
(作者名・50音順)

『Silverfish』
atelier*zephyr  
『つむぎ
猪俣 碧
 Lethal Weapon
iMA   
『美しい棘には毒がある』 上松 和義  
祈り内山 翔二郎
『羽化』うつせみ標本屋
『ガイチュウがいっぱいでうれしい』
カミジョウミカ 
『自己形成』金兼
『ジュウニヒトエ』小林 雅央  
『Jewel Bug』サカマキリン
『ツリメブイブイ』芝﨑 由華 
『貝殻蟲』装花草庵
『潔白の証明』Violet
『Decomposer』Botanica del rame
『まなざし』
御手洗翅颺 
『なんとかなるかも』山中 千寿
『バランスゲーム』山本 理子
『Lost in a Twilight (Short Edit)』Little Creature Theatre 
(SNS賞)『ドブネズミのまなざし』
原 啓義 

開催会場

東京会場:MATERIO base
2023年9月2日(土)〜9月15日(金)
(10:00~17:00

https://materiobase.jp/

●MATERIO BASEのご紹介

2011年、カッティングシート®️の中川ケミカルが「MATERIO base」(東日本橋)をオープンしました。半世紀の間、素材の可能性を追求してきた中川ケミカルは、築30年余りの狭小変形のビルを鉄錆シートなどのユニークな素材でリノベートし、企業発信のスペースとして、様々な展示や活動を行っています。


害蟲展に寄せて

人間の勝手な都合から、不快な存在として悪者にされてきた害虫や害獣と呼ばれる生き物。それを、全く違った視点から再発見しようとするこのプロジェクトの勇気ある挑戦に深く共感します。MATERIO baseの空間の主役である“錆”も、排除したいと考える人が多いかもしれません。しかしながら、この場ではその美しさや味わい深さに焦点をあてています。このコンペの問いかけが人間に齎す気づきを、心から楽しみにしています。


大阪会場:箕面公園昆虫館
2023年9月20日(水)〜9月25日(月)

10:00~17:00(入園は16:30まで)

https://www.mino-konchu.jp/

箕面公園昆虫館のご紹介

箕面公園昆虫館は、大阪北部の森の中にある小さな昆虫館です。新たな発見と驚きを展示の柱とし、ここで体験したことを誰かに話したくなる、そんな昆虫館を目指しています。


害蟲展に寄せて

「害蟲」は人と身近すぎるが故に害をなすものと認識されるのだと思われます。人体に直接健康被害を引き起こすものから、農業害虫のように経済的な被害を与えるもの、そして「不快だから」という理由で害虫とされる「不快害虫」というものまで存在します。このような忌み嫌われるものたちをどうのように捉え表現されるのか、その発想と発見との出会いを心から楽しみにしています。

長野会場:白馬村  Re:Public
2023年9月30日(土)〜10月9日(月)
11:00~18:00)

https://www.mino-konchu.jp/

●白馬村  Re:Publicのご紹介●

約10年前にクローズした白馬村最後の書店「福島書店」を、新たにブックマンションを含めた古本屋、カフェ、宿泊施設を備えた複合施設としてセルフリノベーションにより復活させた、村の「知のインフラ」スペースです。


●害蟲展に寄せて●

白馬のような大自然のど真ん中で生きる人達は、全ての自然の要素がお互いに影響し合い、この世界に調和をもたらしている事を日々実感していますが、やはり感情を持つ生物として「好き・嫌い」で判断してしまう事も多々あります。害蟲展では、そんな一見ネガティブに感じがちなものが本当は美しく、我々と同じ自然の調和の一部なのだという事を思い出させてくれます。そんな生物の本質に迫る本展を大自然に囲まれた白馬村で開催できる喜びを、ぜひ地域の人達と分かち合いたいと思います。