研究概要

タンパク質工学の発展により、タンパク質集合体のデザインや、タンパク質1分子の機能改変・付与は可能となってきた。次なる課題は、より高次な生体分子システムの再現である。生命活動は複数の機能(筋骨格による力学的運動、代謝やシグナル伝達、呼吸などの化学的物質変換)の有機的な組み合わせによって維持されている。「生命のような自律駆動システムの構築には、力学的運動 (メゾスケール構造機能) と化学的物質変換 (触媒機能) の連携を可能とする設計指針が必須となる。


本領域はタンパク質工学の最先端技術「構造機能設計」「触媒機能設計」「分子進化法」を統合した次世代のタンパク質デザイン学理、『Superior Protein Engineering by Evolution and Design (SPEED)』を提唱する。

Phase 1

Phase 2

『SPEED』は、Phase1. Rational (合理的) デザインと分子進化を組み合わせた天然を凌駕する機能性タンパク質の創出、Phase2. それらを有機的に組み合わせた機能性タンパク質集合体の創出と分子進化から成る。またPhase 1と2において、分子進化の過程の解析に基づき、Rationalデザインを革新する。


生命のような自律駆動システムは、複数の機能要素が階層的に統合された環境適応型の非平衡系といえる。自律性や適応能力の実現には、シグナルに応答して時間変化する非平衡性パーツが不可欠である。本領域は「メゾスケール構造変化能と触媒機能が連関する非平衡システム」の構築を通じて、高次機能性タンパク質集合体の設計学理『SPEED』の実証を目的とする。