michaelj.mahoney

Michael J. Mahoney

マイケル・J・マホーニー

Michael J. Mahoney氏は,アリゾナ州立大学で行動分析学と行動療法を学び,その後,スタンフォード大学で,Albert Bandura教授のもと,博士号を取得。

ペンシルバニア州立大学,カリフォルニア大学・サンタバーバラ校,ノーステキサス大学にて教授を歴任し,晩年は,サルヴィ・レジーナ大学のホリスティック・カウンセリング研究科長,およびセイブルック大学院・研究センターの特別顧問教授として教鞭を執った。

心理療法の理論と実践において,過去30年ものあいだ,常に最前線で活躍してきた心理学者として著名である。1974年にCognition and Behavior Modificationを出版。この著書は,後にCitation Classicを獲得し,心理療法における「認知革命」と認知行動療法の発展につながる最も先駆的な貢献と評されている。

また,この分野初の専門誌であるCognitive Research and Therapyを創刊し,心理療法における認知の研究とその臨床的実践をリードしてきた。研究テーマは認知に関するものにとどまらず,およそ70誌もの多岐に渡る専門誌で編集者を務め,また300を超える論文を発表している。

アメリカ心理学会(American Psychological Association)からもその貢献が認められ,1981年には心理療法分野の”Master Lecturer”に選ばれ,1988年には” G. Stanley Hall Lecturer”を務める栄誉を受けている。また同学会からは,「臨床心理学」「理論・哲学的心理学」「人間性心理学」「心理療法」「スポーツ心理学」部門のフェローにも選ばれている。

旧アメリカ心理学協会(currently Association for Psychological Science; formerly American Psychological Society)の創立メンバーとしても心理学の普及にも貢献し,1989年には世界最大の科学団体であるアメリカ科学振興協会(American Association for the Advancement of Science)から「人間発達と心理療法のプロセスの理解に対する著しい理論的・実験的貢献」を称えられ,フェローに選出された。

1980年代なかば以降は,幅広い研究テーマと人間観は,従来の学問の壁を越えた思潮である「構成主義」という枠組みで捉えられ,またその思潮を主導してきた。1996年には,構成主義の初の国際学会,Society for Constructivism in the Human Sciencesを設立し,構成主義の理論,研究,また実践の発展に深く貢献した。その学会誌,Constructivism in the Human Sciencesは,現在,世界30ヶ国以上で購読され,実験研究のみならず,調査研究,フィールド研究,理論的研究,また体験の語りや詩歌,写真などの投稿も受け付けるきわめて刺激的な媒体となっている。

構成主義のテーマを一言で表現するならば,「人間とは,複雑な活動をおこない,社会のなかで生き,ダイナミックに自己組織化するシステムとして発達する存在である」ということである。とりわけ,人間のもつ,意味を発見し,創造し,そして変化させようとする欲求と能力を強調する。また,身体性,情動,象徴的認知,間主観性,実践的行為のそれぞれのプロセスが,不可分に織り合わされていると考える。

このテーマを通して,Mahoney氏は,心理学にとどまらない様々な分野間での国境を越えた対話を実現してきた。また,氏が30年以上の臨床実践と研究をもとに作り出した構成主義心理療法は,氏の亡き今日も,多くの国で実践,また研究がなされている。

主な著書

参考

マイケル・マホーニー氏の公式ウェブサイトはここをクリック。

文責:菅村玄二