発声と聴覚

Post date: Jan 19, 2010 7:37:31 AM

タイトルとは無関係の本を読んでいたときに、その本の中に次のようなことが載っていた。

「トマティス博士(1920年フランス・ニース生まれ、耳鼻咽喉科医師)は、人は耳で聞いた音声しか声に出すことが出来ないということを学会で発表した。 これをトマティス効果という。トマティス博士は耳鼻科医をしていたころ、耳の聞き取りで、ある周波数が聞こえなくなった患者の声の成分を分析していて、奇 妙なことを発見した。何と耳で聞こえないその周波数の音は、声の中に見いだすことが出来なかった。しかし、耳が治療されてその周波数が聞こえるようになる と、声の中にその周波数があらわれた。人間が喉から声として出すことが出来る音の成分は、自分の耳で聞くことが出来た音だった。」

私はこれまで人間の発声と聴覚がのように一体であろうとは思ってもいなかった。我々シニア世代は耳の老化は避けられないので、いかにこれをくい止めるかが 今後とも合唱を続けていくうえでの課題であると思う。しかしながら耳年齢は、単に歳を取っているといった単純な問題でもないようだ。若い人でも、人の話に 耳を傾けようとせず、聞こうともしない人がいる。音楽も聴かず、自分の中で小さく閉じこもっている若年寄りのような人は老化した耳の持ち主だ。老化した耳 は高周波の聞こえが悪くなっているそうです。若々しい耳に保つためには、いつも自分が音楽の中にいるように心掛けることに尽きると思う。特に合唱するとき には、発声訓練と同様に、他のパートの声を聴きあうことが如何に大切なことであるかを知った次第である。 (T-1 松尾純一)