相川研究室

研究テーマ：

星・惑星系形成

アストロケミストリー

星・惑星系形成およびアストロケミストリーを主な研究テーマとしています。星・惑星系形成の物理過程だけでなく星間物質の進化にも注目し、理論と観測の両面から研究を行っています。

ALMA による高空間分解能観測を活用し、惑星形成の現場である原始惑星系円盤の構造と進化を研究しています。ダスト熱輻射に加えて、さまざまな分子輝線を組み合わせた観測は、円盤の温度・密度構造・速度構造といった物理的状態を解明する上で不可欠です。

円盤内のガスおよび固体の組成は、将来形成される系外惑星の組成や表層環境を決定する主要因であり、近年では円盤ガス組成と系外惑星大気組成の比較研究も始まっています。また、惑星系形成の兆候は、若い原始星円盤でも見つかっており、星形成と惑星系形成の双方から注目されています。

私たちは、近傍の星形成領域で得られた詳細な観測結果をもとに、理論と観測を融合させ、星間雲から星・惑星系に至る物理過程と物質進化を実証的に解明することを目標としています。得られた知見は、大マゼラン雲や小マゼラン雲など近傍系外銀河の研究にも応用されています。

研究室メンバー

相川祐理（教授）
大橋聡史（助教）
折原龍太（研究員）
小道雄斗（D2）
今井爽人（B4）

研究室協力者・ビジター

野津翔太（地球惑星科学科助教）
古家健次（理化学研究所研究員）
Gerard Pareras Niel (JSPS研究員)

上記以外にも国内外の多数の研究者と共同研究を行っています。

最近の研究室メンバー(研究実施時)の主著論文

Hirano, Shingo, Aikawa, Yuri, Machida, Masahiro N. (2025) “Velocity Structure of Circumstellar Environment around Class 0/I Protostars: Uncertainty in the Protostellar Mass Estimation Using Circumstellar Velocities”, ApJ, 982, 166
Aikawa, Y., Okuzumi, S., Pontoppidan, K. (2024) “The physical and chemical processes in protoplanetary disks: constraints on the composition of comets”, in COMETS III
Komichi, Y., Aikawa, Y., Iwasaki, K., Furuya, K. (2024) MNRAS, 535, Issue 4, pp.3738 -3757
Suzuki, T., Furuya, K., Aikawa, Y., Shibata, T., Majumdar, L. (2024) “Chemical evolution of complex organic molecules in turbulent protoplanetary discs: effect of stochastic ultraviolet irradiation”, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society, Volume 532, Issue 2, pp.1796-1813
Yamato, Y., Aikawa, Y., Guzmán, V.V., Furuya, K., Notsu, S., Cataldi, G., Öberg, K. I., Qi, C., Law, C. J., Huang, J., Teague, R., Le Gal, Romane (2024) “Detection of Dimethyl Ether in the Central Region of the MWC 480 Protoplanetary Disk”, The Astrophysical Journal, Volume 974, Issue 1, id.83, 12 pp
Yamato, Y., Notsu, S., Aikawa, Y., Okoda, Y., Nomura, H., Sakai, N. (2024) “Chemistry of Complex Organic Molecules in the V883 Ori Disk Revealed by ALMA Band 3 Observations”, The Astronomical Journal, Volume 167, Issue 2, id.66, 32 pp.
Mori, S., Aikawa, Y., Oya, Y., Yamamoto, S., Sakai, N. (2024) “Synthetic Observations of the Infalling Rotating Envelope: Links between the Physical Structure and Observational Features”, The Astrophysical Journal, Volume 961, Issue 1, id.31, 17 pp.

相川が共著者になっている全論文はADSで検索できます。

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日本語の解説記事

メッセージ

近傍の星形成領域は近年ALMAなどで高分解能観測が可能になり、物理・化学素過程に基づく理論と観測が融合した研究が行われています。また星間物質から惑星物質への進化の研究は、天文学と惑星科学・太陽系物質科学の境界領域でもあります。このような学際的研究に興味のある学生を歓迎します。

アストロケミストリーには高校での（暗記中心の）化学の知識は不要です。大学教養課程レベルの物理化学の知識があれば当該分野の教科書を読みこなせます。

東大学内では、進振りのイメージで「天文学科は入るのが難しい」と思われがちですが、修士課程（天文学専攻）の定員は天文学科定員の2倍以上なので、学部３年生までの数学や物理の基礎をしっかり勉強していれば大学院入試突破は難しくありません。大学院入試では相川はAグループ（理論グループ）に分類されていますが、これは研究分野ごとに面接グループを作るのが難しいという事務手続き上の都合で決まった分類です。研究室には電波天文観測を専門とする大橋助教も在籍しており、研究室としては理論と観測の両方をカバーしています。

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