不要なワークスペースを消す

ワークスペースが勝手に切り替わるのが鬱陶しい!

チーム作業の時、他人の保存したAEPを開くと自分のAEのワークスペースが切り替わることがある。スクリプトパネル使って作業したい場合、いつものワークスペースじゃないと困るので毎回戻すことになる。UI上部のワークスペース名をワンクリックで戻せるのだが、カットごとに何回もやっていると正直鬱陶しい。

不要なワークスペースを消去することで、これが絶対に起きないようにする。誰が保存したAEPを開いても、自分のワークスペースのまま作業続行出来る。すばら。

そもそも、なんで切り替わるのか。仕組み。

プロジェクト(AEP)の保存時には、ワークスペースそのもののデータは保存されていない。ワークスペースの名前(例えば「標準」「アニメーション」など)のみが保存されている。今回は仮に「標準」で保存したとする。

これを開くとき、AEPから「『標準』という名前のワークスペースを使用している」という情報を読み取る。プロジェクトの状態を再現した後、そのAE環境に於いての「標準」ワークスペースを探して来て、それに変更する(してしまう)。

Aさんの「標準」ワークスペースと、Bさんの「標準」ワークスペースがあるとする。この2つのワークスペースは開いているパネルの構成だとか見た目が全然違う。でもどちらも「標準」という名前のワークスペースである。「標準」で保存されたAEPを開く時はそれぞれの環境での「標準」ワークスペースに切り替わる。

チーム内で「これをする時は『標準』ワークスペース」「あれをするときは『アニメーション』ワークスペース」という風にワークスペースの使い方についてルールを決めていれば意味はあるのかもしれないが、そのような必要を感じたことはない。各々が自分の使いやすいワークスペースを少なくとも1つ持ち、それ以外はほぼ使っていない、というのが現実。それでいいと思う。

切り替え先のワークスペースを持っていなければいい

これを防ぐには、該当の名前のワークスペースを持っていなければ良い。

「標準」で保存されたAEPを開くとき、開く側の環境に「標準」ワークスペースが存在しなければワークスペースの切り替えが起こることはない。

だって存在しないんだもの。単純な話。

じゃあ消しちゃお!

ワークスペースを消す前に

普段あまりワークスペースを意識して使っていない人は、ワークスペースの保存を一度行っておく。ワークスペースのメニューから「新規ワークスペースとして保存」を行う。この際、ワークスペース名を決めることが出来るが、チームや社内の他の人と被りにくいものにする。他人と同じワークスペース名をつけてしまった場合、他の人に迷惑を掛ける可能性が出てくる。

ワークスペースのメニューから「新規ワークスペースとして保存」でワークスペースを作成する

例えばAさんは「標準」という名前で自分の唯一のワークスペースにしたとする。このページを見て他のワークスペースを全て削除したAさんにとっては、どんなAEPを開いても他のワークスペースに切り替わることはない。Aさんは幸せだ。

だが一方、Bさんはワークスペースの削除を行っておらず、普段は「アニメーション」ワークスペースで作業しているとする。Bさんはワークスペースが初期状態なので「標準」ワークスペースも持ち合わせている。すると、Aさんが保存したAEPをBさんが開く度に必ず「標準」ワークスペースに切り替わってしまう。Bさんは「アニメーション」で作業したいのに!!

自分の知らぬところで他人の恨みを買いたくない。なので、自分だけしか持っていなさそうなワークスペース名にする。

Aさんのワークスペース名を「AAA」にしたとする。Aさんは名前を変更してもワークスペースを1つしか持っていないので、挙動は先程と変わらない。一方、Bさんは「AAA」というワークスペースを持っていないので、Aさんの保存したAEPを開いたときにワークスペースの切り替えが発生しない。双方幸せになれたね!

では不要なワークスペースを消していく。

Aさんが保存した「標準」のAEPを、Bさんの環境で開くと「標準」WSに切り替わってしまう。
他人が持っていない名前にしておくと、他人が開いても影響しない。

CS6とかの人

ワークスペースのドロップダウンから「ワークスペースを削除」というコマンドがある。これを使って残したいもの以外、全部消しちゃう。1つずつしか消せないので繰り返すのが面倒だが。

これでまるっと解決◎おしまい。(確か...)

例えばCS6では「ワークスペースを削除」コマンドがあった

「『ワークスペースを削除』がないです...」って人

CCのいつからか「ワークスペースを削除」というコマンドが消えた。誠に遺憾である。

代わりに「ワークスペーススペースを編集」というのが出来たので開いてみる。すると「ワークスペースを編集」ウィンドウの中に「削除」ボタンがある。

何だよ!消せんじゃん!「saka」以外はいらねー!ポチポチ消してやるぜ。

【2019】例えば2019では「ワークスペースを削除」は無い仕方なく「ワークスペースを編集」を実行
【2019】「削除」ボタンみっけ!

2019の人

ワークスペースの名前を選択して、「削除」!

を繰り返す。

あまり調子乗って、現在使っているワークスペースまで消すとエラーなるかもなので、慎重に。

これで一見、解決したようにも見えるのだが...

実は大概の人はこれでは解決出来ていない。

2020の人

ワークスペースの名前を選択して、「削除」!

出来ねぇ...。ボタンが押せねぇ...。

2020だと、オリジナルで作ったワークスペースしか消せない。初期から存在してるものは消せない。何の為に!?What For!?

別ルートからの方法を考える。

【2019】け...消してやったぜ...
【2020】初期状態から存在するワークスペースは消せない自作ワークスペースなら消せる

ワークスペース関連の設定ファイルを直に修正

2019の人も2020の人も一緒。もう我々にはこの道しか残されていない。設定ファイルを直接修正する。

該当のバージョンの環境設定フォルダを開く。

C:\Users\(UserName)\AppData\Roaming\Adobe\After Effects\(version)

そこにある

①📄Workspaces-J.xml

②📁ModifiedWorkspaces-J

③📁OriginalUserWorkspaces-J

の3つに対して修正をしていく。

ちなみに -J がついているのは日本語環境だから。JapaneseのJ。「Workspaces.xml」のように何もついていないフォルダ/ファイルが存在する人もいる。これらはAEを英語起動した時に使用されるファイル。英語起動したことがないなら存在しない。

実は使用言語ごとに設定ファイルが分かれている。複数言語を使い分けているなら、その全てを書き換える必要がある。

ワークスペースに関する1つのファイルと2つのフォルダ

📄Workspaces-J.xml

これはワークスペース名のリストファイル的なもの。このファイルに記載されているワークスペース名がAfterEffectsのUIに表示される。先程「ワークスペースの編集」ウィンドウから削除をした行為は、このファイルからリストを削除するのと同等の行為(と思われる)。

2020ではUI上から削除できなかったので、このxmlファイルを開いて編集・保存する。

2019ではUI上から削除できたので、既に不要箇所が削除された状態かもしれない。しかし、こちらの直接編集のほうがまとめて消せて楽だし、この後にも確認する場所があるので、最初からこっちのほうがいいと思う。

開くアプリは何でも良い。メモ帳でもよい。右図ではVSCodeというアプリで開いているので文字に色がついていたりするが、メモ帳でも同じ箇所を削除すれば一緒。

<ustring>ワークスペース名</ustring>

になっている行をすべて消す。自作したワークスペースはここには含まれない。初期から存在するもののみがある。

不要な行を削除したら上書き保存を忘れない。

これでUI上からは消えるはずだが、いくつか残る場合がある。つまりこれだけでは不完全なので次へ進む。

ちなみにこのファイルを削除した状態でAEを起動するとファイルが生成され、初期状態で復活する。

初期設定のワークスペース名が入っている
消してこの状態にする

②📁ModifiedWorkspaces-J/③📁OriginalUserWorkspaces-J

これらはやることは同じなので一緒に説明する。

この2つのフォルダはワークスペースの実データを保存している場所になる。

①でUI上のリストから消しても、ここにワークスペースのデータが残っている場合がある。そうすると、例えば「ModifiedWorkspaces-J」フォルダの中に「標準」ワークスペースのデータがあるとする。UI上からは「標準」が選択できなくなっていても、AE起動時にワークスペースの情報としてこれが読み込まれる。その状態で「標準」で保存されたAEPを開くと「標準」ワークスペースに切り替わってしまう。なのでこの中の該当データも削除しなければならない。

それぞれフォルダを開くと、中にいくつかファイルがある。ない人もいる。人によって数は違う。理由は後ほど。

これらのファイルがワークスペース1つ1つのデータである。

今回は4つのXMLファイルが存在した人によって数は違うが、すべてのファイルに同じことをする

中にあるファイルを1つずつ開いて中身を調べていく。メモ帳でも良いのでファイルを開く。

開いたら「UserName」で検索をかける。

<key>UserName</key>

と書かれた部分にヒットする。その1行下が、そのファイルのワークスペース名になっている。

そのワークスペースが必要なものなら、そっ閉じ。いらないものなら削除する。これを繰り返して、必要なワークスペース以外のファイルは全て消す。

「OriginalUserWorkspaces-J」「ModifiedWorkspaces-J」共に同様のことを行う。

終わり

必要なワークスペースのみ残せたらAfterEffectsを起動する。するとあらスッキリ。いらない奴らが消えているわ。

誰のAEPを開いてもワークスペースが切り替わらないわ。幸せ。

ただし。マイナーバージョン毎に環境設定があるので、AfterEffectsをアップデートする度に初期設定のワークスペースが復活する。

そうなったら同じことを繰り返すか、以前の①②③のデータをコピペで持ってくる。

【おまけ】📁ModifiedWorkspacesと📁OriginalUserWorkspacesの違いとは

ますはフォルダ名の意味から、単語の意味がわかればそのままの意味。

Modified Workspaces = 変更したワークスペース

Original User Workspaces = オリジナルのユーザーワークスペース

📁OriginalUserWorkspaces

ワークスペースのメニューから「新規ワークスペースとして保存」「このワークスペースへの変更を保存」した時、この中にワークスペースのデータが生成される。つまりワークスペースを保存(「新規ワークスペースとして保存」)、上書き保存(「このワークスペースへの変更を保存」)をした時点でのワークスペースの状態を保存している。

AEユーザーなら知らないはずがないが、プロジェクトパネルやタイムラインパネルなどの各種パネルはユーザーが広げたり閉じたり増やしたり減らしたり出来る。そうしていくうちに保存時の状態から全然違う状態になってしまうこともある。「保存したレイアウトにリセット」を実行すれば、保存した時の状態に戻すことができるわけだが、そのためのワークスペースデータがこのOriginalUserWorkspacesフォルダに入っている。

オリジナルの状態のワークスペースということ。初期状態からあるワークスペースも「このワークスペースへの変更を保存」をすればここに保存される。

📁ModifiedWorkspaces

「変更したワークスペース」の直訳通り、上記のオリジナルの状態から変更した状態のワークスペースがここに保存される。上述した

各種パネルはユーザーが広げたり閉じたり増やしたり出来る。そうしていくうちに保存時の状態から全然違う状態になってしまうこともある。

この状態のワークスペースが保存されている。

各種パネルを広げたり狭めたり...サイズ変更はちょくちょくしていると思う。でもそれって保存したことある?ワークスペースをこまめに保存している人はそうそういないと思う。でも次回起動時、その状態って復元されてない?されてますよね。なぜならその状態がModifiedWorkspacesフォルダに保存されているから。

初期状態からあるワークスペースは、それを選択した時点でここに保存される。

💡まとめると

Modifiedにはワークスペースの最新状態が、Originalには保存時の状態が入っている。リセットを行うことでいつでもOriginalの状態に戻すことが出来る。ということ。

初期設定のワークスペースたちにおいては、1度でも選択したことあるワークスペースは「ModifiedWorkspaces」に、さらに「このワークスペースへの変更を保存」を実行したことがあるワークスペースは「OriginalUserWorkspaces」にも保存されている。なので、選択したことがあるワークスペースの数によって存在するファイル数が変わる。途中で「人によって数が違ってくる」と書いたのはそういうこと。