"ベントス"という言葉をご存知でしょうか?
ベントスとは水底に生息する生物の総称で、フジツボ・貝類・海藻類などの生物が含まれます。海や川に行かずとも、皆さんの食卓ではアサリ、ヒラメ、ワカメなどの多様なベントスに出会うことができます。そう、ベントスはあなたのそばにいるのです。
このページでは、そんな身近なベントスを使った自宅でできる簡単な実験を紹介していきます。(専門家のみなさま、ネタを募集しています 笑)。
食卓ベントスの代表格、アサリを使った定番の実験です。
カルキを抜いた水道水に人工海水の素を入れて人工海水を作る*注意1。
人工海水1.5Lに牛乳小さじ1 (5ml)を加えて混ぜ、2つの水槽に半分ずつ入れてエアレーションする*注意2 。
片方の水槽にアサリ10個体を入れる*注意2。アサリはあらかじめ冷蔵庫から出しておき、急激な温度変化を与えないようにする。
定期的(例えば1時間ごと)に観察し、変化を記録する(全4-6時間)。
アサリなどの二枚貝類は、水中のプランクトンや有機物を鰓(えら)でこし取って(ろ過して)栄養を摂取しています。また取りすぎた餌や栄養にならない粒子は偽糞(ぎふん)として排出します。このような摂餌様式をろ過摂食(フィルターフィーディング)と言います。牛乳にはタンパク質や脂質などの小さな粒子が含まれていて、アサリを入れるとそれらの粒子がろ過され、結果として海水の透明度が上がっていく様子を観察することができます。身近なベントスも、よく観察すると面白い。調理の前に実験してみてはいかがでしょうか?上手くいったらシジミと比較してみたり、興味に応じて発展実験をしてみましょう。
*1 カルキを抜いた水道水1Lに対し、人工海水の素30g。多少前後しても大丈夫です。人工海水の素は数百円で購入できます。
*2 海水や牛乳の分量、アサリの個体数は厳密でなくても大丈夫ですが、牛乳は入れすぎるとアサリが弱ってしまうので気をつけましょう。エアレーション一式は安いものだと1,000円前後で購入できます。